バイオ燃料で空を飛ぶ

石油は地球の血液だ。取り過ぎるとこの星が枯れてしまう――。 いまほど二酸化炭素の排出抑制や、「エコロジー」が課題になっていない頃、筆者はワシントン州の山の中でネイティブアメリカンに出会い、そんなふうに言われたことがある。

いつだったか、ある空港で、「ジェット機の燃料は何でできているか知っていますか?」というポスターを見た。
柱の裏にまわると答えが書いてあった。灯油に近いものだ、と。
原油を蒸留するときに、ガソリンの次に出てくる物質が灯油。つまりそれは、重油とは違い、相当精製度の高い高級品である。だがバイオ由来の代替品の研究も進んでいる。トウモロコシやサトウキビで車を走らせたり、藻類に油を作らせたり――。中でも効率よく重油相当の炭化水素を生産して細胞内に蓄積する「オーランチキトリウム」は、日本人が発見(筑波大学が発表)した有望株であり、産官学でその生産技術の確立が急がれている。

そしてバイオジェット燃料、2030年以降の航空分野におけるCO2排出量の削減の切り札として世界的に導入の機運が高まっているという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、これまで要素技術の開発で、微細藻類を用いた大量培養技術では藻を安価に回収することや、木くず等のガス化ではガスの性状を安定化する技術の開発など、ジェット燃料を安価かつ安定的に一貫製造する技術の開発が課題として明らかになった
。そこでこのたび、これらの課題克服に向け、「バイオジェット燃料生産技術開発事業」において、微細藻類や木くずなどのバイオマス原料からバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの技術開発に着手するとした。

具体的には今回、2テーマの一貫製造プロセスの技術開発を採択し、10,000㎡規模の微細藻類の培養設備を構築するなどパイロット規模の検証試験を行う。また、より高効率な工業化(設備の規模拡大等)のための課題の抽出とその対策を盛り込み、安定的な長期連続運転や製造コスト低減などの検証を行うとした。
2030年頃のバイオジェット燃料製造の商用化を目指す、その基盤となる今回の技術開発における採択テーマと委託予定先は、以下の通りだ。

<高速増殖型ボツリオコッカスを使ったバイオジェット燃料生産一貫プロセスの開発>
【委託予定先】株式会社IHI、国立大学法人神戸大学

<高性能噴流床ガス化とFT合成によるバイオジェット燃料製造パイロットプラントの研究開発>
【委託予定先】三菱日立パワーシステムズ株式会社、中部電力株式会社、東洋エンジニアリング株式会社、 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

――いろいろな意味で日本が好きだと言っていた、あのネイティブアメリカンに教えたいニュースだ。