(BP-Affairs編集部)
糖尿病や高脂血症等の生活習慣病、がんといった様々な疾病と、発症時に生体内で増加するガスとの相関が以前より研究されている。
胃がんの原因となるピロリ菌や肝臓 疾患との相関が報告されているアンモニアに着目し、被検査者への精神的、身体的な負担 の少ない非侵襲な検査法として、呼気による早期診断用簡易検査機器への応用を模索してきたという。
日本電波工業(株)は、北九州市立大学国際環境工学部 李 丞祐教授との共同研究により、呼気中のアンモニアガス成分を高精度に計測可能な QCM(Quartz Crystal Microbalance法)センサを開発した。
今回の開発品は、体外診断や食品検査市場を想定した同社の商品化済み小型バイオセンサシステム"NAPiCOS Lite"をガス計測に応用し、30MHz QCM ツインセンサ(同社オリジナル技術)の一方の電極に形成した選択膜でアンモニアを捕捉し、反応量に応じて低下する周波数変化量 からその濃度を算出するもの。このことにより、非侵襲かつオンサイトでの検査に応用可能だとした。
呼気中の化学物質による検査法では、ガスクロマトグラフィーや赤外線分光法等、専門技術者を必要とする大型の機器を用い、複数のセンサで取得した情報パターンの違いから判定する方法が主流で、複雑な判定作業が必要となる。
だが今回の開発品は、1 枚のセンサで差分計測することにより、水分などの影響を相殺低減させ、アンモニアに特化したハンドヘルドサイズの小型機とすることで、大病院だけでなく小規模クリニック等での簡易検査を可能にする。
高感度化することで現在採用されている診断薬の服用が必要な呼気試験法に代わる診断薬服用が不要なピロリ菌簡易検査への適用を推進するとともに、がん等、その他疾病の簡易検査法としても提案していく、と同社はいう。
実物は、4 月 19 日(水)から21日(金)まで東京ビッグサイトで開催される医療用エレクトロニクス展「Electro MED Japan」のNDK ブース――Hall6 No.3912において、確かめられる。