IoT、そのITサービス事業が市場を牽引

IDC Japan株式会社、国内IoT向けITサービス市場予測を発表

モノのインターネット(IoT)と一口に言っても、この新しいテクノロジーの利用分野は多岐にわたり、適用範囲は広い。
スマートフォン等を使った人や車両の動態分析、ICタグによる商品や貨物の在庫管理および追跡、生産ラインや発電機の稼働監視および保守、圃場や植物工場の環境と生育データの記録、つながる家電、コネクティッドカーなどなど――。生産、マーケティング、消費、社会インフラといった様々なコトやモノの仕組を、IoTは変えていく可能性がある。

それにいち早く目を付けたのがドイツである。数年前から政府が旗を振り、産官学一体となって第四次産業革命"Industrie 4.0"を押し進めている。その様子は、'14年7月の「日本機械学会」の資料でも明らかだ。
また、米国では"Industrial Internet"が、製造業のみならず、ライフサイエンス/ヘルスケア、エネルギー、公共、運輸といった分野で進められている。このイニシアティブを取るのはゼネラル・エレクトリック社(GE)であり、インテル、IBM、シスコシステムズ、AT&Tとともに立ち上げた「Industrial Internet Consortium」(IIC)は現在、日本や欧州、中国の企業なども参加する巨大な共同体になっている。
その日本での活動を支える一般財団法人「日本OMG」の代表理事兼IIC日本マーケ担当吉野晃生氏('15年6月総務省資料)によると、昨年時点でIICメンバーは世界の230社。日立、東芝、三菱電機、富士電機、富士通、NEC、富士フイルム、トヨタ、ルネサス、リコーが名を連ねている。

国内で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた中核技術の一つとして、IoTの活用が急速に進みつつあると見ているはIDC Japan株式会社だ。
IT専門調査会社の同社は、「国内IoT向けITサービス市場」の調査結果と予測を公表――。\'16年に急拡大した同市場は今後も成長率の観点から、IoTそのもののサービスよりも、IoT向けのITサービスが大きく上回るとする。
一年前、まだ黎明期にあったIoT向けITサービス市場は、ITコンサルティングやSIなどのIoT導入支援を行うプロジェクトベースのサービスが主で、組立製造業を中心とする製造業や公共分野等での支出額が大きかったとした。そしてこの年までに実施された多数のPoC(Proof of Concept)案件から本格的なSI案件化が進むことや、ERPや生産管理システムなどの基幹系ITシステムとの連携拡大、製造業以外の産業分野における新たなビジネス創出に伴う「IoT向けITサービス」需要の拡大といった様々な要因により、予測期間の後半においても、前年比50%を超える高い成長率で市場が拡大すると予測してる。

「同市場は2016年~2021年の年間平均成長率64.8%で成長、2021年には6,670億円に」など、詳細な調査および予測データは、IDC社発行のレポートで得られる。