ソフトバンク、IoTの準備着々

ソフトバンク株式会社、IoT推進の一環として、eSIMプラットフォームを開発

ソフトバンクによる英半導体設計大手ARM買収は、IT業界関係者をあっと言わせた。大手メディアも挙ってその目的、「孫さんが描く未来」を推測した。
昨年夏の一大事件であり、まだ記憶に新しい。情報プラス通信のICT業界人たちは、買収額や孫さんの「再挑戦」に驚いたのではない。買収ニュースに衝撃を受けたあと、「その手があったか・・・・・」とつぶやいただろう。

ARMの設計は、世界で年間150億個近くも出荷されているスマートフォンの頭脳の中に組み込まれている。ほかにも、マルチメディアやソフトウェアの技術にARMテクノロジーが活用されているのだ。そのため、プレスミーティングにおいて、ある記者がスマホ市場での中核技術の独占を懸念し質問したそうだ。
だがそんな目論見なら孫さんの志は小さく、「再挑戦」にならないだろう。
世界は、あらゆるモノがネットに繋がり動き始めようとしている。いわゆるIoT(Internet of Things)を制する者が、第四次産業革命の覇者になれるのだ。

そのIoT推進の一環として、ソフトバンクは、eSIM(embedded Subscriber Identity Module)に対して通信ネットワーク接続に必要な情報(プロファイル)を、遠隔で書き込みや切り替えができるeSIMプラットフォームを開発。同プラットフォームの運用を2017年中に開始する予定だと発表した。

視線の先には、「つながる車」がある。M2M(Machine to Machine)管理プラットフォームとeSIMプラットフォームを連携させて、コネクティッドカー(Connected Car)をボーダレスにする。だけでなく、タブレットやウエラブル端末などを、eSIMプラットフォームによって、柔軟かつ弾力的に運用できるようにする計画だ。

つながる車を実現しても現状では、それを海外で販売する場合、販売先の国の通信事業者ごとに通信ネットワーク接続に必要な情報が書き込まれた専用のSIMを用意する必要があった。しかし今後、IoT製品やM2M機器にeSIMを組み込むことで、各通信事業者のネットワーク接続に必要な情報を、M2M管理プラットフォームからeSIMプラットフォームを通じて遠隔で書き込んだり切り替えたりすることが可能になるという。

同社は目の付けどころが、やはり違う。