ロボットが同僚になった

資生堂グループ、化粧品業界で世界初、組立工程に人型ロボットを試験導入

自動車工場で働いている姿をテレビ映像などでみる。ロボットは、ものすごい速さと正確さで、部品を組み込んだり、塗装をしたりしている。電子機器の工場で、スロー再生しても動きが把握できないほどのスピードで配線や半田付けなんかをしている姿も、みかける。が多くはロボットというよりも、「機械」の印象が強い。産業用マシンであり、回転寿司店やスーパーマーケットのバックヤードでしゃりを握る、ロボットと寿司職人との差は、その見かけにおいて歴然だ。

だが、資生堂が掛川工場に導入したロボットをみれば、そんな考えを改めることになるだろう。そこにはもはや未来がある。
微細な動きにも対応できるという、ヒト型ロボットの姿は菅笠を被ったサムライのようだし、あおった写真にはSF映画を彷彿させられる。ロボットと人の協働風景では、頭からすっぽり青い防塵スーツをかぶった従業員と、ロボットたちがまるで一体となって、ずっと以前からそうであったかのように、作業工程に溶け込んでいる。

人の好みの多様化に合わせ、多品種少量生産に挑む――。新たなモノづくりが化粧品業界の課題だ。特にメーキャップ製品の生産ラインは、構成材料が多く、各種工程が複雑なうえに、人の感性を要する工程内検査を機械化できず、人手による生産が主流となってる。一方、日本国内では労働力不足が深刻になりつつある。化粧品業界でも人手による生産体制を見直し、人の能力を最大活用できるモノづくりへの変革が、喫緊の課題だという。

資生堂はそうした課題に対処する、世界初のプロジェクトに挑んだ。経済産業省「平成28年度ロボット導入実証事業」を活用し、ロボットシステム開発で先進するグローリー株式会社とともに、「人とロボットの協働作業」による新たな生産システムを開発、実証、導入したとのことだ。