謎解きは、カヤックを漕ぐ手で

面白法人カヤック、人工ニューラルネットワークの新技術に関する特許出願!人工知能研究開発室「カヤックAI部」を設立!

近年、実話を基にした映画が多い。ベネディクト・カンバーバッチ主演の『イミテーションゲーム(The Imitation Game)』もその一つだ。
原作は英国ロンドン生まれの数学者アンドリュー・ホッジスによる伝記『Alan Turing:The Enigma』。第二次世界大戦中、絶対に解読不能といわれたドイツ海軍の暗号「エニグマ」に勝利した、研究室いっぱいの大型計算機をつくったアラン・チューリングの物語である。

解読に用いた普遍的計算機の数学モデル「チューリングマシン」は、実際のコンピュータと多くの類似性を持っている。(広辞苑より)
彼は当時の文化・社会的不寛容により、エニグマを破った功績等を剥脱され、悲しみに包まれた。晩年を過ごしたマンチェスターでは公園に銅像が置かれるなどしたものの、彼の名誉が正式かつ完全に回復されたのは2012年――たった42年にも満たない生涯を閉じてから、約60年後のことだという。

「コンピュータサイエンス、数学者、論理学者の父であり、戦時の暗号解読者であり、そして偏見の犠牲者」
碑文にそう記された彼の没後4年目のことである。「形式ニューロン」がチューリングマシンと同等の計算能力を持つモデルとされていて、それを参考に「パーセプトロン」が1958年に発表された。

パーセプトロンは現在、機械学習アルゴリズムの基礎となっている。人間の脳力に近づけようとする、ニューラルネットワークの最小単位であり、学習効果を現実のものにするためには膨大な数を必要とする。つまり、ニューラルネットワークの構築および利用には莫大な投資を伴うということだが――。鎌倉市の株式会社カヤック(東証マザーズ:3904)は、投資負担を軽減する、パーセプトロンのみで分散構成するための技術に関する特許を出願。と同時に、人工知能研究開発室「カヤックAI部」を設立した。

アメリカ人と仕事をしているとき、「日本のビジネス社会はエニグマだ」と言われたことがある。そんな不可思議が、カヤックの発明した技術によって解明される日を、筆者は想像する。