スマート ファクトリーにデジタルな処方的メンテナンスが必要な理由

プロセス自動化の初期、私たちは、a、b、c、そして次にd、e、fという予測可能なパターンに従っていました。しかし、世の中がより複雑化するに伴い、ビジネスオペレーションをより便利にするプロセスも複雑になってきています。

例えば、オンラインで車を購入できたり、バーチャルで新しい家を内見したり、盗まれたクレジットカードを素早く交換したりすることができます。

今日、人々は物理的にも組織的にも広く分散される一方で、これまで以上に繋がっています。情報はさまざまなデバイスから収集されます。また、企業は、顧客に約束した成果を達成するために、複数のベンダーやパートナーと協業する必要が高まっています。

企業・組織が依存していた線形プロセスは、今日の分散型の複雑なエコシステムにおいて制限が大きすぎるため、顧客、従業員、パートナー、またプロセスのエッジで動作するIoT デバイスにとってはやっかいな存在です。

その代わりに、企業・組織は密接かつ相互に連携しながら、より流動的で柔軟なプロセスを必要としています。これが世の中の流れであり、プロセスとは何か、どのように自動化されているのかを異なる角度から捉える必要があります。

自然界において、物事は予測不可能で完全に分断されているように見えるかもしれませんが、遠くから俯瞰で捉えると、そこにはパターンがあることに気づきます。例えば、秋になると木の葉が落ちる。冬になると動物は南へ移動する。たとえそれが私たちには見えなくても、一定の規則性をもって現象が起こっています。

自然界だけでなく、ビジネス界でも、予期せぬ出来事が常に発生し、遭遇したときに対応を再調整することを余儀なくされます。実際、サービスへの期待が高まり、パーソナライズされたコミュニケーションが増える中、今日では例外がルールとなっています。

今日のプロセスを再定義

今日の自動化は、何百万もの順列が超高速かつ広範囲で起こっていることを意味します。しかし、それは決して無計画なことではありません。物事を動かし続けるためには何らかのプロセスが必要ですが、過剰にプロセスを適用することは、制限を伴うため、顧客はそれを回避し始めます。

企業・組織は、ユーザーに柔軟性のないパターンを強いることなく、応答性を高めるために「最適な」プロセスを適用する必要があります。一部のトランザクションでは、監査可能な規制プロセスなど、他よりも多くのプロセスが必要になりますが、一般的な顧客への問い合わせ対応では、顧客にとって簡単にするために必要最低限なものだけが求められます。企業・組織では、複雑さを拡大することなく、シンプルさを実現するのに最適なプロセスを提供することが理想的です。

シンプルなエクスペリエンスほど、洗練されたテクノロジーが必要

お客様は通常、何がどのように、なぜ機能するのか、舞台裏で起こっていることは気にしていません。彼らは自分のエクスペリエンスがシンプルであることを気にします。

例えば、今日の車は、フォード社のモデルTよりも複雑な構造となっていますが、運転することは劇的に簡単になっています。クラッチ、チョーク、スターターについて考える必要はありません。

また、最新の自動車技術は、自動的にある車線にとどまること、衝突を避けるためにブレーキを作動すること、または自動運転などを実現しています。しかし、このシンプルなユーザーエクスペリエンスを実現するには、高度なテクノロジーレイヤーが必要となります。

テクノロジーが目指すゴールが物事を容易にするということなら、複雑で分散され、かつ予測不能な世界ではすべてを一つにまとめるのに最適なプロセスが必要となります。そのために、プロセスオートメーションテクノロジーは、すべての分散されたピースを結び付けることで、顧客や企業・組織が目指す結果に基づいて、一貫したプロセスの構築を可能にするファブリックのように機能する必要があります。

業界の一部は、この新しいアプローチを「ハイパーオートメーション」と呼んでいます。RPA、AI、ローコードなどのテクノロジーを一貫した方法で組み合わせることで、エクスペリエンスを合理化し、顧客にとってはより優れた、そしてビジネスにとってはより効率的なものとします。

物事をよりシンプルに

プロセスが複雑かつ分散されるほど、エンドユーザーの操作性が簡単になります。タスクは常に同じ順序で実行されるとは限らないため、顧客は自分のプロセス(使用するチャネル、連絡するタイミング、問い合わせの内容)をコントロールしたいと考えることがよくあります。

The 56 Groupの創業者で「CRM at the Speed of Light」の著者であるポール・グリーンバーグ氏は、「普通のことを簡単にする必要がある」と述べています。例えば、私たちは喜びを求めて銀行に行くわけではありません。残高を確認し、小切手を入金し、手間をかけずに送金したいだけです。プロセス自体が私たちの邪魔をするのを避けたいのです。

今日のプロセスは予測できない方法で運用され、システムが必要に応じて介入する仕組みとなっていますが、カスタマーエクスペリエンスを妨げるほどではありません。

企業・組織は、特定のプロセスで発生するタスクをすべて予測することはできないので、今日のテクノロジーでは、AIとリアルタイムデータでパターンを特定し、APIを介して点と点をつなぎ合わせ、ボットを使用してプロセスを合理化する必要があります。

イベントの発生が顧客の行動からであろうが、「エッジ」でつながっている 数々のIoTデバイスであろうが、イベント駆動型である必要があります。そして、それはそれぞれのユニークなカスタマージャーニーに適応するために、流動的でなければなりません。

未来に向けて、バランスの取れた「最適な」プロセスを実現するには、洞察力、革新性、オープンマインドの組み合わせが必要となります。

筆者:Don Schuerman(Pegasystems CTO)

ドン・シューマン Pegasystems Inc. 最高技術責任者 兼 製品マーケティング担当バイスプレジデント

ドン・シューマンは、最高技術責任者および製品マーケティング担当バイスプレジデントとして、 Pegasystems社のプラットフォーム製品とCRMアプリケーションを担当しています。20年にわたり、 Fortune 500に名を連ねる企業に対し、デジタル・トランスフォーメーション、モバイル、分析ツール、BPM、クラウド、CRMといった領域で、エンタープライズソフトウェア・ソリューションを提供してまいりました。アメリカン・エキスプレス、シティバンク、JPモルガン・チェース、BPといった Fortune 500企業のマネジメント層、技術担当役員などへ、技術面、アーキテクチャ面でのコンサルティングを行い、エンタープライズ・ソフトウェアの導入を牽引してきました。ドンは、ボストンカレッジにて物理学と哲学の学士号を取得しています。