オープンソースで使える家庭用ドローン「Falcon X」
ハイエンドなモデルのドローンは依然として高額ではあるものの、一方で小型の家庭用ドローンであれば、ラジコンのような価格で買えるものも少なくない。
誰でも気軽にドローンという最先端技術に触れ、自分なりに自由に体験してみることが出来るようになったのは、ここ数年の大きな変化の一つと言えるだろう。
ただ、メーカーから様々なドローンが販売される一方で、消費者のクリエイティビティに訴えるような製品があまり出回っていないのも事実である。
せっかくの先端技術を、単に消費するだけではもったいないものだ。自分なりにカスタマイズや実験を繰り返し、新しい発見や楽しみ方を生み出していくのも、一つのあり方である。
「Falcon X」はそんなDIY精神あふれる消費者に向けて企画された新しいドローンで、オープンソースで誰でも気軽にクリエイティブを発揮できる製品を目指すプロジェクトだ。
既製品に負けないオープンソースのドローンを開発
現在世に出回っているドローンは、非常に優れた性能を持っており、安定感にも定評のあるメーカーも増えてきた。
ただ、こういった既製品のドローンは、品質に優れている分改良の余地が少なく、カスタマイズの自由度については高いとは言えない。
せいぜい外付けのパーツを換装する程度のカスタマイズ性にとどまっており、内部から根本的な改良を加えることは、難しい規格となっているのだ。
そこで今回誕生したのが、完全オープンソースでの完成を目指すFalcon Xだ。
アメリカのジョージア州アトランタで誕生したこのプロジェクトは、オープンソースの飛行用ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて完成させるドローンとなっている。
オープンソースで提供されているデータは、インターネットを通じて世界中のエンジニアに向けて共有されており、日本からでも自由にダウンロードして、出力することが可能となっている。
Falcon Xはインターネットで公開されているオープンソースのデータを組み合わせ、3Dプリンタによって出力したパーツを組み立てることで完成する。
シャーシなどは既製品を使用するものの、本体を構成する大部分を3Dプリンタで生成したオープンソースのパーツとなっている。
完全オープンソースのドローンを目指して
オープンソースのパーツの使用は、いくつかのメリットを持っている。例えば、パーツがなんらかの事故などで破損しても、すぐに新しく生成して補うことが出来る。
これが特注パーツなどであれば、メーカーに注文して到着まで待つ必要があるだけでなく、価格もそれなりの値段となることがほとんどだ。
コストパフォーマンスという意味では、オープンソースのパーツは非常に優れた存在なのである。
また、使い勝手という意味でもオープンソースのパーツは優れており、誰にでも公開されているだけあって、ネットで調べれば運用方法なども簡単に検索することが出来る。
これが専門のメーカーのパーツとなれば、一つ一つの規格についての知識が必要となるが、オープンソースのパーツは基本から応用まで、多くの運用方法について知ることが出来る。
また、オープンソースのハードやソフトはそれぞれにコミュニティが存在し世界各地のユーザーの運用方法や、質問などが自由にネット上で公開され、自らも参加することが出来る。
困ったことがあれば、すぐに教えてもらうことが出来るのも魅力の一つと言えるだろう。
オープンソースが優れているもう一つの利点は、頻繁なアップデートが繰り返される点である。
例えばそのパーツに何らかの欠陥が見つかった場合、ユーザーからすぐにコミュニティへ報告が入り、改善が行われる。
ユーザーと設計者がリアルタイムでコミュニケーションをとりながら改善が進むため、信頼性も徐々に向上していくことになるのだ。
Falcon Xにおいては、このようなカスタマイズ性の担保とコミュニティベースのドローン開発が進められている。
Falcon Xは現在Kickstarterで寄付を受け付けており、10ドルから支援を行うことが可能だ。