小さく力強い、そしてオープンソースのAIシステム「OpenCV AI Kit」
こういったAIの活躍は、AIというテクノロジーそのものの偉大さが貢献している一方、AIのテクノロジーを実践的なレベルにまで押し上げた人が存在している事実も注目値する。
人工知能が私たちの生活で活躍するほどにまで進化と発展を遂げたのは、AIに携わる研究者が増え、少しづつ研究のための優れた環境構築も整っていったためだ。
つまり、少しでも便利な人工知能を世に送り出すためには、人工知能に特化した環境の整備も非常に重要な役割を果たすのである。
「OpenCV AI Kit」はそんなAI開発において、さらに多くの開発者の参入を促進するために誕生したプロダクトで、誰でも気軽にAIを開発し、さらに複雑な研究を進めていくための第一歩となることが期待されている。
高精度な認識能力
OpenCV AI Kitの認識能力は非常に高く、カメラが捉えた対象の正体を正確に見抜くポテンシャルを備えている。
例えば人間のデータをしっかりと読み込ませれば、たとえリアルタイムでカメラが捉えている人物であっても正確にトラッキングし、その対象が人であることを正確に読み込んでくれる。
カメラが捉えている映像がどこの何であるかを認識させるのは、一からコンピューターに学習させるとなると、非常に時間を要する作業となっている。
一方、OpenCV AI Kitを活用すれば、こういった基礎的なAIの学習環境を容易に整えることができるので、速やかに機械学習を進め、望み通りのAIを生み出すことも夢ではなくなる。
また、4K、30フレームレートでのリアルタイム映像の認識が可能となっているので、高精度カメラのパフォーマンスを遺憾なく発揮することも可能だ。
コンピューターの認識能力を超えたカメラ性能を持っていると、せっかくの能力も無駄となってしまうのだが、OpenCV AI Kitであればそのような問題も発生しないのである。
OpenCV AI Kitの場合、映像に収めたオブジェクトは、立体的に認識することも可能なのが優れている点だ。
多くのコンピューターはたとえ映像であったとしても、対象を二次元的なデータとしか捉えることができず、精度の面における限界が生じていた点もあった。
しかしOpenCV AI Kitの場合は、対象の立体性、つまり映像の奥行きについてもしっかりと判断することができるので、顔形なども、しっかりとカメラ一台で立体的に捉えることが可能である。
あらゆる用途と環境に適応可能
また、このキットはセットアップにおいても非常に短時間で済ませることができるよう設計されている。
ハードとソフトの両方の環境を整えるのに、OpenCV AI Kitはわずか1分以内の時間しか必要としない。そのため、いかなる場面においても作業効率を失わないパフォーマンスを期待することができる。
OpenCV AI Kitの活用方法は非常に多様で、幅広いアプリ開発に応用することができる。
例えばオブジェクト認識機能を活用し、フルーツの判別用センサーの開発に生かすこともできれば、接近する自動車を検知し、自動運転や自動ブレーキなどに応用するようなことも可能だ。
オブジェクトだけでなく、人間を詳細に捉えることも難しくない。
前述のように、人が遠巻きに歩いている様子を認識するだけでなく人の顔の特徴をしっかりと捉え、顔認識を行えるようなアプリケーションを組み上げることも可能となっている。
セキュリティの場面などにおいても、しっかりと安全性を担保しながらの活躍が期待できるだろう。
テキストや画像など、二次元データの判別もしっかりと行える。現実世界、デジタル世界を問わず、高い精度の認識能力を有しているおかげで、その活躍の幅は多彩と言えるはずだ。
OpenCV AI Kitは現在Kickstarterで注文を受け付けており、一台当たり99ドルの出資で購入することが可能だ。