ハードウェアとソフトウェアの両方の開発に使えるキット「Geko-HAT」
いわゆる理系科目と呼ばれるSTEM教育への注目だが、一言でSTEMや理系と言っても、その専門分野は多岐にわたり、それぞれの分野において、全く異なる技術と知識が必要になってくるものだ。
ロボティクスやエンジニアリングといった分野においても同様で、そもそもロボットやコンピューターの本体を作るというハードウェアを専門とするのか、それらの中で動作するソフトウェアやアプリケーションを作りたいのかによってでも、学習するべきカリキュラムは違ってくるものだ。
「Geko-HAT」はそんな多様化するSTEM教育の円滑な実施に対応すべく誕生した初学者向けキットで、ハードウェア・ソフトウェアを問わず開発を行うことができるプロダクトだ。
ハードウェア開発の楽しさを手軽に味わえる
Geko-HAT本体が備えているパーツの中で、まず目を引くのは小型OLEDディスプレイの存在だ。ビジュアルによるアウトプットが可能となっていることで、簡単にプログラミングによってテキストを表示したり、ライトアップのパターンを操ることができる。
そのため、初めてプログラミングを扱うという初心者や子供たちにとって、刺激あるアウトプットを体験してもらうことが可能になる。
プログラミングやロボットの組み立てというものは、地味な作業が連続で続くため、よほど好奇心が強くなければ、辛抱強く取り組むことは難しい。
Geko-HATの場合、ディスプレイという、誰にでもわかりやすい形でのアウトプットを行うことができるよう作られているため、誰でも簡単に楽しむことができるのだ。
Geko-HATが必要とする電力は、備え付けのアダプターから電力を直接供給するか、充電可能なバッテリーを搭載することで確保が可能だ。
備え付けのロボットなどを組み立てるのであれば、電源から直接供給する手法を選べば良いし、リモコン操作などで自由に部屋を駆け回るロボットということであればバッテリー搭載を検討することができる。
電源の供給はロボットにとってなくてはならない存在だが、好きなように手段を選ぶことができるのは嬉しいところだ。
単なるラジコン操作だけでなく、Geko-HATは音声を使ったやり取りも可能なようセットアップされている。
Geko-HATにはデフォルトでオーディオアンプが搭載されており、Amazon Alexaのような音声認識コントロールを可能にすることもできる。
スピーカーと受信機を搭載すれば、自ら作り上げたロボットと、会話するといったこともできるようになるはずだ。
スマートスピーカーに代表されるように、音声認識によるハードウェアの操作は当たり前になりつつあり、今の子供たちが大人になる頃には、当たり前のように音声操作が普及しているとも考えられる。
そういった時代に適応できるようになる上でも、早いうちから自ら音声認識機能を組み上げることでその仕組みを学び、効果的に運用できる感覚を養っておく必要がある。
Geko-HATはそんな先進的な取り組みに対応しているという意味でも、非常に価値のあるキットと言えるだろう。
プログラミングも組み上げるだけで楽々構築
先進的なロボット開発においては、ソフトウェアの構築も欠かせない。Geko-HATでは、初心者でも簡単にプログラミングが行えるよう、積み木を積んでいくような運用ができるシステムが採用されている。
通常のコーディングは一から手動でテキストを入力していく必要があり、少しでもテキストにミスがあるとエラーが発生し、一つづつミスした箇所を確認していかなければならない。
一方でGeko-HATのプログラミングは、あらかじめコードがブロック状に分けられており、それぞれのコードブロックを組み立てることによって、プログラムを構築することができるようになっているのだ。
プログラムに疎い人や子供でも気軽に扱えるため、プログラミングをもっと身近に感じてもらうことができるだろう。
Geko-HATは現在Kickstarterで注文を受け付けており、一機あたり1,600円ほどの出資で注文が可能だ。