感情を読み取ることができる顔認識システム「Emotional Data」

人工知能を活用した顔認識機能は、今や世界中の至る所で使用されるシステムとなっている。人によって微妙に特徴が異なる顔形を読み取らせ、個人を特定する技術は非常に進化しており、人間ではとても処理し切れない数の人間の顔を、AIはものの数秒でさばいてしまうのである。

顔認識機能は主にセキュリティ分野においての活躍が目覚ましく、空港など高いセキュリティレベルが求められる現場においての使用が目立つ。

しかし最近ではスマートフォンのロックの解除にも使われるなど、身近なテクノロジーとなったことで、高度なセキュリティ技術を手軽に利用できるようにもなりつつある。

「Emotional Data」はそんな顔認識システムを次の段階へと導く新しいテクノロジーとなっており、人間の表情から、彼らの感情をリアルタイムで読み解くことで、さらなる活用を期待することができるよう促すプロダクトだ。

AIの顔認識技術の進化を促進

個人の顔形を機械が読みとる際、現在主流なのは、顔の3Dデータを認識し、個人を特定するという手法だ。顔の表面の微妙な凹凸の違いを機械学習によって大量にインプットし、どこが個人を特定するためのポイントなのかを、AIに独自に判断させるのである。

この手法によって、人間の顔をかなりの確率で特定することが可能となり、顔認識機能として様々な用途に活躍するのである。

しかしながら、個人の顔形までは特定できても、彼らが何を考えているのか、どういう感情を抱いているのかについては、これまではあまり注視されることはなかった。そのため、顔認識機能の運用はあくまでも個人の特定の段階に留まっていたので、その運用方法は限定的だったとも言える。

Emotional Dataは、そのようなAIの限界をさらに広げてくれる機能を持ったシステムとなっており、人の表情の変化から感情を読み取り、データ化する能力を備えている。

人の感情は、その時々によって刻一刻と変化するものである。喜怒哀楽という極端な変化はもちろんだが、その時その時の気分の浮き沈みや、スポーツ中の一秒一秒の環境の変化による微妙なプレーヤーの感情の変遷など、その違いを読み取ることは、まだまだ人工知能で読み取るには複雑すぎる要素が多いことも事実である。

Emotional Dataは、その人の顔の変化はもちろんのこと、その人の周囲の環境の変化も評価の対象に入れることによって、精度の高い認識機能を実現する。視覚や嗅覚、触覚、聴覚といった、対象者の五感で捉えているものが何かを判断することで、その浮かべている表情の意味をより深く探るのである。

感情を読み取ることができる顔認識システム「Emotional Data」

読み取られた感情は数値化され、その人がどういった思いをどれくらいの割合で胸中にしながら、その表情を浮かべているのかを客観的に判断することができる。悲しみが56%、怒りが7%、嫌悪感12%といったように、ただ単に不快な表情というだけでなく、どういった意味合いの不快感なのかを、正確に読み取るのだ。

顔認識機能の運用の幅はさらに広がる

感情を読み取る能力は、人間にも持ち合わせており、同時にリアルタイムでの表情の変化から、繊細に感情を見抜く力も備えている。ただ、Emotional Dataのように、人間が感覚的に捉えた感情を数値化することはできず、よほど鋭敏に感情を捉える力を有していなければ、どういった思いを胸に秘めているかを見抜くことまではできない。

Emotional Dataの使い方としては、例えばカスタマーサービスや接客対応の際に役立つだろう。対応しているお客がどういった思いを秘めて相談にきているかや、本当に欲しいものを感情の変化から細かく読み取ることで、適切な接客であったり、本当に欲しいものをクライアントに提示し、満足のいく買い物や取引を終えてもらうことができる。

感情を読み取ることができる顔認識システム「Emotional Data」

これまではセキュリティ分野を中心に活躍してきた顔認識機能だが、Emotional Dataがあれば、AIの顔認識機能の活躍の幅は、より広がっていくことになりそうだ。

Emotional Dataは現在Kickstarterで出資を受け付けており、600円ほどの出資で、1年間の利用ライセンスを受け取ることができる。