東陽テクニカ・Perforce Software主催、
「Perforce on Tour 2019 TOKYO
~ Productivity Improvement under Work Style Reform ~
アフターレポート

東陽テクニカおよびPerforce Software社主催によるセミナー「Perforce on Tour 2019 TOKYO ~ Productivity Improvement under Work Style Reform ~」が2019年11月6日(水)に東京国際フォーラムで開催された。

基調講演:『"あおぞら"らしい働き方改革について』

株式会社あおぞら銀行 インフラストラクチャーマネジメント部長 田中暁氏

あおぞら銀行の働き方改革について、同行インフラストラクチャーマネジメント部長の田中暁氏が登壇し、同行の「働き方改革」の基本的な考えと、働き方改革を支えていくIT環境の整備について説明が行われた。

あおぞら銀行の雇用人数は約2,000人。旧日債銀(日本債券信用銀行)出身、あおぞら銀行の新卒、中途採用といった3つの異なるバックグラウンドを持つ雇用者で構成されている。男女比率は男性55%、女性45%。拠点人数は本社が60%を占める。こうした条件のもと、働き方改革が進んでいった。


株式会社あおぞら銀行 インフラストラクチャーマネジメント部長 田中暁氏
株式会社あおぞら銀行 インフラストラクチャーマネジメント部長
田中暁氏


同行における働き方改革は2015年からスタートした。田中氏は「長時間労働や付き合い残業の状況を変え、新しいことに取り組んでいかないとこの先、生き残っていけない」とそのような危機感から改革を進めていったことを明かした。「20時最終退行」といった施策から始め、2016年度から実施が加速化していったという。大きな転換期は2017年5月の本社移転。「これを機に改革の意識が全体に広がっていった。文書の電子化やフリーアドレス制を進め、1年間で詰め込んで実施した」と説明した。


"あおぞら"らしい働き方改革もポイントにある。その考え方とは従業員目線を第一としたことにある。「従業員と銀行がウィンウィンの関係になることによって、銀行は持続的成長を達成できる」と、田中氏は目的意識を持って進めていることを強調した。


具体的には働き方改革を推進するために働き方改革協議会を設置し、副社長を委員長とすることで、マネジメントがコミットしながら、スピーディな施策実施に繋げている。また、施策実施主体の経営企画部、人事部、事務企画部が行内に向けて、一体感のあるメッセージを発信することで、施策実施に繋げている。さらに従業員組合の参加によって行員の声も反映されている。


人事面での働き方改革は3つの施策をもとに進めている。1つ目は2017年1月から実施している「全行20時最終退行」である。ただし、残業が必要な場合には、上司と部下が十分にコミュニケーションを図ったうえで実施できることがポイントである。その結果、平均在館率は現在、約7%(約80名)に留まっている。2つ目は2016年8月から実施している「フレックスタイム制度利用推進」。当初は利用実績が0%に近い状況だったが、部署ごとにトライアルを繰り返した結果、現在、非管理職の約3割が利用している。3つ目は2017年4月から実施している「在宅・モバイル勤務」である。この利用者の事例には育児利用のほか、母親の介護のために利用している「本部管理部50代・男性」を挙げた。青森県に住む母親の介護のため、東京本社勤務日数を月5日のみに抑え、残りは青森で在宅勤務を実施しているこの事例は、マスコミで好事例として取り上げられているという。


在宅・モバイル勤務制度の利用者にアンケートした結果、メリット、デメリットの両面があることもわかった。メリット面は「往復の通勤時間の有効時間」や「一日の業務内容を上司に報告することによる業務の見える化」といったものがあり、デメリット面は「上司、同僚とのコミュニケーションの取りづらさ」「その都度、電話やメールするのが煩わしい」といった声がある。


働き方改革アンケート結果から、「仕事の満足度が変わっていない」「各種制度があるが、利用しづらい」といった声もあり、中には「業務プロセスの改善において、管理者は改善できていると回答した一方で、非管理者からは改善されていないとの回答結果が出ている」といった課題が明らかになったという。現在、これらの課題を改善すべく、着実に施策を実施している。


IT環境の改善による働き方改革についても説明を行った。主に本社移転にあわせて実施されたIT環境の改善は「iPhoneの内線・外線共用化」「社内無線LANの導入」「モバイルPCの刷新・拡充」「ビデオ会議システムの導入」といったものがある。ビデオ会議システムの導入によって「コミュニケーションの質が改善できた」という声が寄せられている。


これら改善による効果について田中氏は「社内のどこでも業務が可能となり、社外・社内同等の業務も可能、さらに拠点間の物理的距離を意識せずに業務可能になった」と述べた。


電子文書管理システム(ECP:エンタープライズ・コンテンツ・パートナー)の導入についても紹介。本社移転に伴って、保管スペースの削減を余儀なくされたことから、ペーバーレス化を進めたという。新たに、回議書の承認・回覧をペーパーレス化で行うためのワークフロー=電子文書管理システムを構築。文書の保管・廃棄プロセスやルールの明確化、個人情報流出防止のためのセキュリティ強化、改ざん防止機能の開発を行うことで、包括的に電子署名を実装し紙管理よりも強固な保管体制を築くことができたという。意思決定スピードは格段に上がったと好評である。


最後に田中氏は「"あおぞら"らしい働き方改革はまだ道半ばではあるが、貴重な声を伺いながら進めていきたい」と述べ、締めくくった。



講演2:『Perforce Software社の最新情報とポートフォリオ』

Perforce Software社 Director of Sales-International Philip O'Hara氏

Perforce Software社の最新情報について、同社のDirector of Sales-Internationalを務めるPhilip O'Hara氏が説明を行った。

最初に、「Perforce Software社のミッションは、世界中の開発チームが全力を出し切って、よりスピーディにイノベーションを生み出せるようにサポートすることである」と述べてから、同社の現状と今後の戦略についての説明を始めた。

O'Hara氏によれば、Perforce Software社は堅調な成長路線にあり、昨年の新規顧客獲得数は過去最高を記録。製品改善のための投資を怠ることなく続け、さらに既存顧客の維持率についても非常に高い水準を保ち続けている点に誇りを持っているという。


Perforce Software社 Director of Sales-International Philip O'Hara氏
Perforce Software社 Director of Sales-International
Philip O'Hara氏

Perforce Software社の製品はすべて、DevOps開発環境の実現をサポートすることにより、開発者の生産性の向上と早い周期での製品リリースを支援するものであり、「アジャイル管理」、「コード管理&チームコラボレーション支援」、「自動テスト」、「アプリケーション&コンポーネント管理」の4分野に分かれている。これらの製品提供を通じ、エンタープライズ規模のDevOps開発をどのように支援していくか、という観点から同社の戦略が説明された。

続いて、O'Hara氏はPerforce Software社のグローバル展開、技術開発力およびサポート力の強みについて解説した。常にスピーディなサポート対応ができるよう、世界中に製品知識豊富な100人以上の技術サポートスタッフを配置しており、日本においても、東陽テクニカと非常に密接な協力関係を築くことで、現地オフィスのある国に劣らぬサポート水準を保っているという。また、技術力に重きを置いている同社の社員の61%以上は技術スタッフで、年間収益の25%を製品開発・向上のために再投資している。

Perforce Software社は、ゲーム、自動車、IoT、コテクティッドデバイス、テレコム、ヘルスケア&保険、金融など、幅広い業界の大手グローバル企業を多く顧客に持つ。同社の扱う製品が、多種多様な業界でどのように利用されているのか、どのような問題の解決に役立っているのか、を前述の4つの製品群別に簡単に説明した上で、O'Hara氏はそれら製品のユニークな点についても紹介した。そして、Perforce Software社はDevOps開発のワークフロー全体を網羅するように数多くの製品を取り扱っているが、すべての製品が「大規模DevOps開発の実現」と「生産性向上の支援」を目的としたものであるという点では共通していると纏め、プレゼンを締めくくった。

講演3:『「Helix Core」機能ハイライトとクラウド環境での利用について』

Perforce Software社 Senior Consultant Jonan Karlsson氏

Perforce Software社のSenior ConsultantであるJonan Karlsson氏からは、高速ソフトウェア構成管理ツール「Helix Core」について説明が行われた。

Karlsson氏はまず、「Helix Core」の非常に便利だが未だあまり知られていない機能として、ストリーム機能を紹介した。この機能を利用するメリットは多くあるが、特筆すべきは、開発プロセス内での自身の作業の立ち位置(扱っているコードは開発用かリリース用か、どこにマージするべきか、どこからコピーするべきかなど)が明確になる点だという。ストリーム機能には5つのタイプがあり、それぞれに異なる役割と用途がある。例えば、「バーチャルストリーム」には不要なものをフィルターにかけて除外するという機能があり、ディスクスペースやSyncにかかる時間、マージ回数の削減ができる。ストリーム機能を使ってみたいと考える「Helix Core」ユーザー向けに、クラシックディポからの移行ガイドなどが用意されている。

次に話は「Helix Core」のクラウド環境での利用に移った。「Helix Core」は、クラウドのみで完結する開発環境から、クラウドとオンプレミスのハイブリット環境やマルチクラウド型デプロイメント環境まで、さまざまなクラウド開発環境での利用が可能である。既に多くのデータやツールがクラウド上で管理され、マルチサーバー構成も主流になってきている昨今、「Helix Core」もクラウド環境に移行・展開することによって得られる、管理面・コスト面でのメリットは大きい。さらに、拡張性や可用性の向上、セキュリティ強化やコンプライアンス確保の点でも多数のメリットがある。AWSやAzureを利用した構成とそのユースケースを紹介した。

続いて、「Helix Core」を含む"Helixプラットフォーム"の機能改善に対するPerforce Software社の戦略・方針を明らかにした。Helixプラットフォームは現在、「エンドユーザーの効率の最大限化」、「カスタマイズ可能なワークフロー」、「大規模環境での高パフォーマンス」、「監査性/トレーサビリティ」の4つを成功の柱として重点的に取り組み、6つの差別化要因、「クラウド環境での柔軟性など拡張性の高いアーキテクチャ」、「エンタープライズレベルのセキュリティ」、「カスタマイズ可能な自動ワークフロー」、「統一化された信頼できる情報源」、「コンプライアンス」、「世界クラスのサポートとコンサルティングの提供」に注力している。

Perforce Software社 Senior Consultant Jonan Karlsson氏
Perforce Software社 Senior Consultant
Jonan Karlsson氏

現在力を入れている機能として、(複数チームが部品ごとに開発を行い、最終的にひとつの製品を作り上げる)コンポーネントベース開発を行う上で必要不可欠な、コードと構成をセットでバージョン管理するため機能を紹介。複数ストリームをまとめて扱う機能やクラシックディポをストリームに自動変換する機能など多くの機能追加を予定しているので、期待して欲しいとのことだ。

次に、Gitとの連携に関連する各種機能を挙げ、「Helix Core」はGitと連携することで、さまざまな管理システムの「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)」としての役割を果たすことができると説明した。

また、「Helix Core」の一番の強みとも言える、拡張性とパフォーマンスについても更に磨きをかけていく方針で、さらに、各種コーディング規格や多要素認証(MFA)、シングルサインオン(SSO)をはじめとする認証方式への対応も欠かさず、規格や認証への対応をサポートするサービス提供を計画している。

今後の取り組みとして、ゲーム業界に多くの顧客を抱えていることから、アーティスト向けのデジタルアセット管理機能についても注力していく意向だ。多くのゲーム技術が他業界にも広がっている傾向を捉え、この点での機能改善に対する潜在的なニーズは大きいと予想する。2020年には何らかの成果を見せられるだろうとKarlsson氏は語った。

さらにPerforce Software社では、デジタルアセット管理におけるコードレビュー機能(「Helix Core」ライセンスを持っていれば無料で利用できる「Helix Swarm」)の使いやすさ向上にも重きを置いており、さまざまなワークフローに対応できるカスタマイズ性やCIツールとの連携についても強化していく計画だ。

最後にKarlsson氏は「Perforce Software社では、全製品の機能を継続的に追加・改善している。連携できるツールやバージョンも日々増えているので、古いバージョンのHelixプラットフォームをまだ使っている場合は、ぜひこの機会にバージョンアップを検討して欲しい」と述べ、プレゼンテーションを終了した。

講演4:【「Helix Core」導入事例紹介】
『小~中規模事例 "Unreal Engine 4×Helix Core ヒストリア運用レギュレーション紹介"』

株式会社ヒストリア 代表取締役/プロデューサー/ディレクター 佐々木瞬氏

Helix Coreを活用している中小規模のゲームスタジオの事例として、Unreal Engine専門の開発スタジオであるヒストリアの運用レギュレーションについて同社代表取締役/プロデューサー/ディレクターの佐々木瞬氏が説明を行った。佐々木氏は会社の代表を務めると共に、ディレクター業や設計にも携わる。Helix Coreとの付き合いは12年にわたり、7年前に同社を立ち上げた当初からHelix Coreが導入されている。

同社の事業は、家庭用、アーケード、VRのゲームコンテンツ制作を中心に、建築、自動車、放送業界の非ゲーム分野のコンテンツ制作、Unreal Engineの技術コンサルを行っている。進行中のプロジェクト数は多く、現在、10ライン以上が走っている状態という。インフラ環境はシンプル。3つのサーバを運用し、それぞれHelix Coreが導入されている。なお、専門のインフラ管理者は置いておらず極力運用コストを低く抑え、社内メンバーが外部からアクセスする場合はVPNを使用、外部協力会社からのアクセスはP4Adminから固定IPでアクセス制限をかけて対応している状況である。


株式会社ヒストリア 代表取締役/プロデューサー/ディレクター 佐々木瞬氏
株式会社ヒストリア 代表取締役/プロデューサー/ディレクター
佐々木瞬氏


Helix Coreの導入理由として、Unreal Engine 4の開発元であるEpic Games社がHelix Coreを採用していてバージョン管理では一番相性が良いことや、クリエイターが使用するUnreal Engine 4 Editorに公式プラグインが標準で装備されていること、最初の環境セットアップは公式ドキュメントに従えば操作しやすいことを挙げている。このほか、機能の優位性として、エディター上からサブミットできることやファイル履歴が見られることに加えて、Blueprintの差分閲覧とマージが可能で、プログラムの簡易のDiffがとれると説明した。

Unreal Engineでバージョン管理を扱うときの注意点として、ビジュアルスクリプティング機能であるBlueprintの保存形式がバイナリデータであることを挙げた。Blueprintはイテレーションが早く、小規模のゲームタイトルの場合、Blueprintでプロジェクトが完了することもあるくらい強力な一方で、バイナリデータのためファイルの履歴のトレースやマージには弱い。これについて佐々木氏は「プロジェクトの特性により例外もあるが、大規模なタイトルになるほど、C++の比率が上がる。プログラマーはC++と Blueprintを同時に扱うことになるため、Blueprintはチーム間で同時編集しないように気を付ける必要がある」と述べた。

また同社では扱うプロジェクト数が多いため、メンバーのプロジェクトスイッチコストを下げることとHelix Coreで管理するファイルを明確にすることを目的に、運用レギュレーションにおける統一の方針を固めている。社内レギュレーションは、P4V/Unreal Engine 4 Perforceプラグインの運用、Helix Coreのディレクトリ構造、ネットワークドライブのディレクトリ構造の3篇からなり、それらドキュメントも公開した。

ブランチ・Streamの方針は「(実装がグラフィックやBlueprintのバイナリデータと紐づいていることが多いため)ほとんどのデータがマージ不可と割り切る」「ストリームを使用しない」「ブランチは体験版などの時のみ」としている。また、ファイルのロックの方針については「チェックアウトしてもロックはかけない」ことに統一し、複数人のチェックアウトを許可している。佐々木氏は「Perforceプラグインで使用すると、誰がチェックアウトしているかがすぐにわかる。ロックせずにこれがわかる点が、Helix Coreを導入している理由の一つだ」と強調した。

このほか、サブミットコメントのレギュレーションとしてコメントの先頭へのタグ付けや、Shelve機能の利用を推奨している。Shelve機能は、リポジトリにアップせずに他人にファイルを渡す機能として使われている。Changelistごとにファイルを共有できるため、機能とアセットをセットでの実装やデバック機能の受け渡し時に利便性が高いという。

最後に佐々木氏は「案件特性や弊社の体制に寄った内容の話になったが、アレンジして使って欲しい」と述べ、プレゼンテーションを終えた。

講演5:『大規模開発環境におけるかんばん方式の活用』

Perforce Software社 Senior Consultant Jonan Karlsson氏

Perforce Software社のKarlsson氏が再び登壇し、かんばん方式の大規模開発環境での活用方法と、同社のプロジェクト管理ツール「Hansoft」で最近実施した機能改善ならびにロードマップについて説明を行った。


Perforce Software社 Senior Consultant Jonan Karlsson氏
Perforce Software社 Senior Consultant
Jonan Karlsson氏

プロダクトバックログを管理できるツールは色々とあるが、"プロダクトバックログ管理のために設計された製品"という点で、「Hansoft」は唯一無二だとKarlsson氏は考える。また、多様なプロジェクト管理手法(かんばん方式、ガントチャート方式、スクラム方式など)を柔軟に扱うことができる点でも、「Hansoft」の知名度は高いという。

今回のテーマでもあるかんばん方式は、物理的なボードにタスクを書いた付箋を進捗状況に分けて貼るのが一般的。この方法でも、その場に作業を行うチームが揃っている場合は、何ら問題はないだろう。しかし、世界中に開発チームが分散するようなケースになると話は変わってくる。

この物理的なかんばんボードを、概念はそのままに大規模で利用するにはどうすればいいのか。その方法を考えるにはまず、かんばん方式の基本概念に立ち返る必要があるとKarlsson氏は言う。作業の進捗やボトルネックの見える化、"リソースの最適化"から"価値の創造"への方針変更、無駄の削減などがあるが、どれも付箋を使わなくとも、大規模環境に展開したとしても実現可能であり、何ら問題がないことが分かる。

かんばんボードを大規模環境に取り込む方法の一例としてKarlsson氏が挙げたのが、個別チームで使っているかんばんボードをまずデジタル化し、プログラム(またはプロジェクト)レベルのボードを作成、そしてポートフォリオボードを作成していくというものだ。

かんばんボードをデジタル化するメリットは、分散開発環境への対応、セキュリティ強化、トレーサビリティや開発者の生産性の向上など、非常に多岐にわたる。「デジタル化が済んだら、ぜひ一歩下がって全体を見てみて欲しい」とKarlsson氏は勧める。これを行うことで、各チームが抱える仕事量と全体像がわかり、ボトルネックが簡単に把握できるようになる。デジタル化の次は、プログラム(またはプロジェクト)レベルのボード作成。「Hansoft」では、選択したタスクの依存関係がハイライトされ、高リスク状態のタスクを一目で見つけることができるので、リリース計画の見直しに活かせる。

そして、ポートフォリオボードの作成で同時進行中の作業を見える化することによって、管理者は適切に作業負荷を管理できるようになり、さらに、高度な分析や組織のハイレベルな戦略・目標設定が行えるようになる。

複雑な設定なしの簡単3ステップで、「Hansoft」のかんばんボードの利用が可能になる。

プレゼンテーションの後半は、この1年で実施されたHansoftの改善点について説明した。前半で紹介した大規模開発環境向けのかんばんボードの機能改善に加え、ユーザーグループ管理機能も大きく変え、プランニングレベルを個人からチームへとシフトさせることで、管理者がより簡単にグループマネジメントできるようにした。また、チームでの「Hansoft」利用を推進するため、技術スタッフ以外のユーザー(アーティストや管理スタッフなど)からのフィードバックも拾い上げ、通知機能やスケジュールのPDF出力機能を改良した。さらに新機能として、TO DOリストやダッシュボード、Slack連携をWebクライアント上で使えるようにした。

「Hansoft」のクラウド環境での利用も可能になり、AzureやAWSを自身で利用する方法以外に、より簡単な選択肢として、Perforce Software社がクラウド環境上に用意する「Hansoft」サーバーを使う方法もあるという。

その他、JIRAからの移行を考える顧客向けの機能追加やアイテム間の依存関係をより明確にするためのリンク機能の改善、WebクライアントでのQA機能のサポート、APIを用いた他ツールとの連携パフォーマンスの向上の予定も明らかにした。

「Hansoft」のリリース周期は「Helix Core」と比べても非常に短く、重要なバグ修正や新機能を含む新しい「Hansoft」が2週間に1度という非常に速いサイクルでリリースされている。ただ、2週間ごとのサーバー更新が必須な訳ではないので、好きなタイミングで更新していって欲しいと言い添えて、Karlsson氏はプレゼンテーションを終えた。

講演6:【「Helix Core」導入支援事例紹介】
『クリエイティブワークを支えるHelix Core』

スマイルテクノロジーユナイテッド株式会社 情報システム部 部長 大河原哲氏

スマイルテクノロジーユナイテッド株式会社 情報システム部 部長 大河原哲氏から、Helix Core導入支援事例の説明が行われた。同社は2014年2月創業のゲーム開発やCG映像制作向けのコンサルティングおよび開発業務を中心に行う企業である。3DCGツールをはじめとした各種DCCツール活用の制作現場を技術で支援している。

Helix Coreの活用現場をサポートすることも多く、今回、映画『アルキメデスの大戦』『シン・ゴジラ』などを手掛けたCG映像制作会社・白組でのHelix Core導入支援について紹介した。大河原氏は「バージョン管理の仕組みを制作現場へ導入したいという相談を受け、Helix Coreの導入を支援した。サポート内容は、週一開催の定例ミーティングやサーバ設定の支援、主にデザイナーへHelix Coreの操作説明を行うハンズオンセミナーの実施、チャットツールでのヘルプデスク対応などを行った」と、支援の経緯と実施内容について説明した。


スマイルテクノロジーユナイテッド株式会社 情報システム部 部長 大河原哲氏
スマイルテクノロジーユナイテッド株式会社 情報システム部 部長
大河原哲氏

また、大河原氏はゲーム開発においてHelix Coreが選ばれる理由についても分析した。「大きなバイナリファイルでもスループットが低下せず、問題なく扱うことができる。集中管理型で同一のマスターデータを多数のメンバー間で確実に共有できる。ワークスペース機能で作業に必要なデータを絞り込んで扱えることも魅力。P4VやP4Merge、P4AdminなどGUIでの操作環境が充実していることも大きい。ゲームエンジンが標準対応していて、DCCツール向けの拡張機能が配布されていることもアドバンテージである。一番重要なポイントは、代理店&メーカーの確実なサポートが受けられること。Helix Coreは有効なツールと考えている」とまとめた。

DevOpsでの活用についても触れ、そのメリットについては「ビルド工程自動化の基盤として、ワークスペースとストリーム機能が自動化の際に有効に活きる。Helix Coreに蓄積されていくメタデータをもとにして、さまざまな場面での自動実行に絡められるのも大きな特長である。また、複数拠点間でのデータ共有においては、プロキシ構成やレプリカ構成に対応しているので、ワークロードに沿った構成を選択できることも大きなメリットである。集中管理方式でデータ共有の省力化ができ、意図しないバージョンの不一致を回避することができる」と説明した。

Helix Core活用のポイントについては「純正GUIクライアントがしっかりしていることが特長にある。他のバージョン管理ツールと比較しても機能豊富で動作に安定感がある。具体的には、時間を追っての差分やコメントなど変更履歴が詳細に追えて視覚的にわかりやすい。また、サーバ管理にもGUIがあり、特にアクセス権設定の際に重宝している。カスタムツールを作ろうとする前に、P4Vを正しく活用することが工数削減につながる。Helix Coreに慣れる時間をしっかりと取り、ハマリどころを事前に押さえてチームメンバー間で共有していくことが一番効果的かと思う。メーカー純正ツールは信頼性と安心感があり、わからない挙動があった時に問い合わせができ、もし不具合があってもフィードバックすれば対応してもらえる」と解説した。

一方で、課題も指摘した。「開発者向けの機能は充実しているが、デザイナー受けは・・・?デザイナーが使いたくなるポイントが欲しい」と述べ、GUIクライアントのP4Vのさらなる活用として、P4VでRedmineなどのWebツールとの連携や、P4V上でのファイルプレビューの拡張例を紹介した。

具体的には、「ファイル選択くらい楽したい」「ファイルの中身をサクっと確認したい」「ファイルの変更点をパっと見でつかみたい」といったユーザー視点での要望を挙げた。そして、「P4Vに内蔵されているApplets機能で、P4Vの制御やP4コマンドの実行、P4V設定の集中管理ができる。Applets機能を活用すればP4VでWebツールとの連携ができる。さらに、P4Vでは標準対応していない3Dモデルのプレビュー表示も実現できる」と紹介した。最後に、実装例として、P4VからRedmineのチケットに記載されたURLのファイルが選択される動作や、アニメーション付きのFBXファイルの3D表示再生など、クリエイティブワークを支えるためのP4Vのカスタマイズや拡張をとりまとめたデモンストレーションを披露し、締めくくった。

講演7:『モバイルアプリ&WEBアプリ向け継続的テストプラットフォーム』

Perforce Software社 Managing Director - International Konrad Litwin氏

最後のセッションにはPerforce Software社のManaging Director - InternationalであるKonrad Litwin氏が登壇し、モバイルアプリケーションテストについての説明と、新しく日本での提供が始まったモバイルアプリ&Webアプリ向け継続的テストプラットフォームの紹介を行った。

Litwin氏は冒頭に、DX(デジタルトランスフォーメーション)市場におけるモバイルテストの重要性を説いた。「モバイルプラットフォーム上での開発需要がDX市場で高まっている今、手動でのテスト作業をどう減らすかが大きな課題となっている。DX市場の成長は著しく、日本の状況だけ見ても、モバイル端末を利用した購買行動は過去2年間で95%増、銀行取引は65%増えている。と同時に、ユーザーのモバイルアプリ品質に対する考えもより厳しくなっているため、顧客離れをおこさないためには、モバイルテストを十分に実施することが重要であり、さもなければ、ビジネスに多大なダメージをもたらすことになる。」

モバイルアプリの開発にあたって、DevOps開発プロセスを迅速に回すためは、開発者が新しい技術の開発や問題解決自体に時間を費やせるよう、できる限り多くの作業を自動化する必要があるが、実際にはテストフェーズで躓くことが非常に多いという。


Perfecto社Managing Director - International Konrad Litwin氏
Perforce Software社 Managing Director - International
Konrad Litwin氏

というのは、電源ボタンやカメラなどハードウェアに関する機能に関わるものが多いモバイルアプリのテストは、実端末と手作業を必要とすることが多いため、開発サイクルの最終段階まで実施できない状況に陥りやすい。問題の発見が遅れれば遅れるほど、その修正に要する時間や手間は増え、"やり直し"作業の増加は開発チームの士気の低下にも繋がる。また、Jenkinsなどの一般的な自動化ツールは、モバイル開発向けでないことが多く、テストを外注するにしても、開発工程の早い段階では不可能だ。自分たちで実端末を使ったテストを行う場合には、テストが失敗した際に原因が端末側にあるのか、アプリ側にあるのかを切り分けられるよう、端末の接続、電源、ネットワークの状態にまで注意を払わなければならない、という大きな課題がある。

理想的な継続的テストプロセスとは、開発者自身が日々、スプリント単位でテストを実施し、信頼できるテスト結果をもとに、直ぐにコードの修正を行えること。テストを実施することで、より良いコードを書くための信頼できる価値ある情報を適切なタイミングで得られれば、開発者の生産性もテストに対するモチベーションもアップする。

しかし、継続的テストプロセスの実現を急ぐと失敗するケースが多いとLitwin氏は警告する。失敗を避けるためには、モバイルアプリのテストに定評のある自動化ツールを選び、まずは主要なテストに絞ってシンプルなスクリプトを用意する。そうすることで、スクリプトの問題によるテストの失敗を無くし、開発者が信頼できるテスト結果を得ることができる。開発者の信頼を得ることに成功したら、日々の開発サイクルに組み込んで、テストカバレッジを広げていく、という慎重なアプローチをLitwin氏は勧める。

また、複数のテストスクリプトを同時に走らせることができる仕組みや、多種多様なテスト用実端末を常に最新かつテストに適した状態で用意できるラボの存在も、継続的テストプロセスの実現には不可欠である。

Perforce Software社が提供する「Perfecto」は、上記をすべて叶えることが可能だという。テストの実施・自動化・結果分析のためのプラットフォームの提供から、24時間365日稼働のテストラボの運営、テスト用実端末の管理、専門家による技術サポートが"ワンパッケージ"になっている。「Perfecto」はクラウドベースのサービスとして提供されるが、オンプレミスのDevOps開発環境への組み込みが可能な点も大きな強みだ。なお、「Perfecto」はモバイルアプリのテストに限らず、Webアプリのテストにも対応している。

さらに、開発中のコードが外部に漏洩することが無いよう、「Perfecto」はセキュリティ面も充実させており、そのセキュリティレベルは各国の大手銀行も信頼を寄せるほどだという。「Perfecto」は世界中の幅広い業界で何千もの企業に利用されており、さまざまなOS、デバイス、キャリアに対応するために、数百もの実端末をラボに置きテストを実施している顧客もいるという。

「Perfecto」は、既存のDevOps開発ツールとシームレスに連携して、実端末を用いた自動化テストを可能にし、さらにAI技術を用いてテスト結果の詳細分析まで行える点で、単なるデータセンターや外部テストラボとも、端末をシミュレーションしてテストを行う他のサービスとも大きく異なっている、と改めて強調した。Litwin氏は「ライブデモや利用中のDevOpsソリューションを使った実証実験(PoC)もできるので、興味を持たれた方はぜひ、東陽テクニカまで連絡して欲しい」と、プレゼンテーションを締めくくった。