スマホでコントロール可能な最新補聴器「Open To Hear」

ただ、現代は補聴器があるおかげで多くの人が救われているのも事実で、これがあるとないとではライフスタイルに大きな違いが出てくることも多くの人の経験によって語られている。
また、時代に合わせて優れた機能を持つ補聴器の存在は常に求められているが、「Open To Hear」はそんな現代の難聴者に向けて非常に高いパフォーマンスを発揮してくれる一台となっている。

難聴がもたらすデメリット
難聴の症状が厄介なのは、自覚症状を覚えづらいという点が1つの特徴としてあげられるだろう。音の聞き取りにくさは目が見えないという症状に比べれば分かりづらく、感覚的なものに頼ることになるため、主観的には判断しにくいのである。
例えば、老眼であればなんとなく文字が見えづらくなってくるため、新しい老眼鏡を買わなければということに気づくことができるのだが、難聴は全く耳が聞こえなくなってしまうわけではないものの、ちょっとした声や物音が聞こえづらくなってしまうだけで済むため、特に対策を取らなくとも普通に生活をすることができるのである。
一方で、周囲の人は今まで以上に大きな声を出してその人に接しなければならず、ちょっとした用事でも声を張り上げなければいけなくなるため、非常に大きなストレスを抱えることになってしまう。
自覚症状がないためこのストレスを理解されずに悩むことにもなってしまうので、時として難聴が家庭環境をギクシャクさせてしまったり、ビジネスにも影響を与えることもあるため、少しでも耳が遠いなと感じたら積極的に補聴器の導入を考える必要があるものだ。
ただ、これまでの補聴器には高額なものも少なくなく、きちんと聴力をアシストしてくれるものとなると1セットで数十万円もするモデルが一般的になってしまうため、所得がよっぽど高いということでなければなかなか手が出るものでもなかった。
Open To Hearの考案者も難聴を患い、生活への影響が深刻になっていくことを懸念して検査を受けたものの、非常に高額な補聴器を勧められたため、新たにリーズナブルな補聴器を開発することを決めたというストーリーを持っている。
高性能コンピューターであるスマホの存在に注目
考案者が目をつけたのは、私たちが一人一人スマートフォンという高性能なコンピューターを所有しているという点である。Open To HearはBluetooth接続で手持ちのスマホと接続し、スマホからあらゆる操作をコントロールすることができるという仕組みを採用している。
また、補聴器は何よりも信号処理の速度が非常に重要な意味を持つことになるため、高性能なものを使用しなければ聞こえ方に遅延が生じるなどの弊害が生まれかねない。Open To Hearはデジタル信号処理システムを導入しているため、高いパフォーマンスをここに期待することができるだろう。
さらに、補聴器は単に聞こえてくる音を拡声して耳に届けるだけでなく、必要でないノイズを除去することで耳の聞こえやすさを手助けすることも求められるのだが、Open To Hearは多層ノイズリダクション機能を搭載しているので、装着前よりもクリアな聞こえ心地を実現することに成功している。
ボリュームについては専用のスマホアプリから自由に変更することも可能で、ノイズキャンセリングもそのレベルを切り替えることが可能だ。
使用しないときは電源をオフにして耳から離しておけば良いのだが、電源を再び入れ直しても直前の設定がしっかりとセーブされているため、何度も同じ設定を繰り返す必要もない。
コントロールできるスマートフォンはiOSおよびAndroidのどちらにも対応しているため、まさに誰でも使える補聴器となっている。
特にシニア向けのスマホはAndroid製品が目立つため、補聴器を活用することになる世代を確実に捉えた仕様であるとも言えるだろう。
Open To Hearは現在Kickstarterで出資者を募っており、1セットは500ドルの出資で購入が可能だ。