デスクトップサイズの3Dセラミックプリンタ「Digitalceram」
3Dプリンタはプラスチック素材で出力するものが一般的で、原料費も比較的安価のことから何度も利用されてきた。一方で近年は新しい素材を用いて3Dプリンティングを行う技術も進歩しており、これまでの3Dプリンタ製品では実現できなかった作品や工業製品の生産も、容易に行えるようになってきた。
「Digitalceram」は3Dプリンタの一種だが、プラスチックではなくセラミックで3Dモデルをアウトプットできる上、小型のデスクトップサイズで誰でも気軽に導入することができるところが最大の特徴となっている。
セラミック製品のあり方を一変させるかもしれない3Dプリンタ
セラミック、いわゆる陶器は古今東西で重宝されてきた材料の一種で、器や工芸品など、その使用用途も多様であった。現代でも好んで使用されており、食器棚に並んでいる多くの品はセラミックという家庭もあるだろう。
ただ、セラミック製品は耐熱性などに優れる反面、ハンドメイドで作る分には非常に手間がかかってしまうため、大量に生産するのは難しいという側面も抱えている。
そのため他の素材の製品に比べて価格も効果になってしまいがちだったのだが、3Dプリンタによって量産が可能になったことで、一気にリーズナブルな価格でこれらの製品を手に入れる可能性も開けてきているのである。
また、3Dプリンタでセラミック製品を作ることができるようになったことで、非常に複雑な設計やディテールを持った製品も、瞬時に生み出すことが可能になった。
例えば複雑な幾何学模様を有したオブジェや、ディテールの細かい花瓶など、従来のハンドメイド技術では非常に高価になってしまうようなものも、Digitalceramを使えば3Dモデルのデータさえ用意すればいくらでもアウトプットすることが可能になる。
まさにセラミック製品の価値を大きく転換する可能性を秘めた性能の高さと言えるだろう。
高精度・スピードを誇る一台
セラミック3Dプリンタはすでにいくつか世に出回っているが、Digitalceramはその最新型の1つである。プリントアウトのスピードは他社製品と比較して40%も向上しており、大量生産の需要にしっかりと応えてくれる性能を秘める。
また、最先端のPCBコントロールシステムとエアーコンプレッサーシステムを導入しているため、プリントアウトの精度も非常に高いものとなっている。
一般的な2Dのプリンターでさえ、時として印刷ミスが発生することもあるが、3Dプリンタは立体物を出力することもあり、少しでも狂いがあると全ての出力が失敗に終わってしまうことも珍しくない。
また、ただのデータを実際に立体物としてアウトプットするとなると、どれだけデータに忠実に出力しようとしても、技術上の問題で実現しなかったことも多いが、Digitalceramであれば表面の質感など、自在に表現することができるようになっている。
ハンドメイド並み、あるいはそれ以上の精巧さを秘めていると言えるだろう。
ノズルは0.6~3mmのものを使い分けることができるので、用途に応じて適切なものを付け替えれば、より効果的なプリントアウトが可能になるはずだ。
Digitalceramの使用方法は実にシンプルで、プレッシャースイッチを設定し、データファイルを本体にアップロードするだけだ。RepetierやSimplfy 3D、curaといったモデリングソフトに対応しているので、自分の使用しているソフトが対応していないといったトラブルが発生することなく、そのままインポートすることができる。
またDigitalceramはサイズも非常にコンパクトで、幅50センチとミシンなどと変わらない大きさで利用することができる。大型の3Dプリンタを導入する予算もスペースもないという人でも、気軽に導入できるのがこのプリンタの嬉しいところだ。
Digitalceramは現在Kickstarterで注文を受け付けており、300ドルの出資で一台購入することが可能だ。