ペガジャパン、デジタル・プロセス改革の実現~~トレフラーCEO来日、国内事業報告~

ペガジャパンは本社ペガのCEO/創業者であるアラン・トレフラー来日にあわせて8月27日にプレス向けブリーフィングを開催した。

デジタル変革が起こるなか、ペガはさまざまなビジネス課題を解決するため「プロジェクトfnx」を立ち上げ、時代に合わせたソリューションの提供を提案している。トレフラー氏とベガジャパン代表取締役社長の渡辺宜彦氏は「デジタル・プロセス改革の実現」をテーマに講演を行った。 

日本オフィス100名規模に拡大へ、エコシステム強化の日本版リリース

 米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くペガは1983年に創業以来、時代が求めるソリューションを提供し続けている。売り上げ規模は年々右肩上がりに増加、現在世界30か国にオフィスを展開、4500人の従業員を抱える。

日本オフィスは2011年に設立し、渡辺氏がペガジャパン代表取締役社長を務め、日本市場におけるペガソフトウェアライセンスの販売や各種付随サービスの提供を行っている。渡辺社長は日本オフィスの現状について「ペガの日本現地オフィスの展開は今年で8年目に入る。着々とビジネスを進め、従業員数は現在60名。デジタル改革に対するニーズの広がりから、60名のうち半分は技術者で占める。技術要員採用を今後も積極的に行い、来年は100名を超える従業員数を見込む。国内の体制を整えていく」と述べた。

ペガの代表的なソフトウェアと言えば、「Pega Infinity™(ペガ・インフィニティ)」である。顧客エンゲージメントとデジタルプロセスオートメーションを結ぶ革新的なソフトウェアをシリーズ提供している。顧客エンゲージメント(CRM)シリーズには「Pega Marketing™」「Pega Sales Automation™」「Pega customer Service™」「Pega Customer Decision Hub™」などがあり、デジタルプロセスオートメーション(DPA)シリーズには「Pega Robotic Automation™」「Pega Workforce Intelligence™」「Pega Platform™」などが代表例だ。カテゴリーとしては「リアルタイムオムニチャンネルAI」や「エンドツーエンドロボティクスオートメーション」「ジャーニー単位の高速デリバリー」「ソフトウェアを自動生成するソフトウェア」「クラウドの選択肢」などがPega Infinity™シリーズに含まれる。渡辺社長は「ペガのソフトウェア上で改革を実現すれば安心ですよ、というプロジェクトの進め方を提供している」と説明する。

 日本においてペガSIパートナーは25社以上、テクノロジーパートナーを含めると50社以上と取引関係にある。アクセンチュアをはじめ、日立製作所、富士通、NTT、KDDIなどの国内パートナー企業が並ぶ。「パートナー企業と一緒にやっているケースが日本では多い。国内でのエコシステムの拡充を図っている。既存の大手SIだけでなく、中小規模のSIにもすそ野を広げさせてもらえるよう努めていきたい」と渡辺社長は話す。
 
ペガジャパンのさらなるエコシステム強化のために、「Pega Academy Web Training」日本語版を正式リリースしたところで、SAE v8は8月末に、Robotics Essentialは9月末にリリース予定である。渡辺社長は「エコシステム強化に必要である技術者を増やしていくために、教育面を現地で対応させていくことが大事だと考える。今回、需要の高いEssentialとRoboticsにおけるオンラインアカデミーを実施する。これまではペガのスキルを身に着ける資格をとるのにハードルが高かったが、無償で提供することによって、すそ野が広がるのではと期待している」と説明した。さらに「University Academic Program」パイロット版を今年6月に実施した。これについては「某大学理工学部で正式プログラムとして採用され、120名が在籍する正規クラスでデジタル改革について講義を行った。今後は本格的にいくつかの大学でデジタル改革の手段のひとつとして実施していく」と補足された。

2年前に「プロジェクトfnx」立ち上げ、クライアントの成功に強くコミット

続いて、トレフラーCEOはペガ全体の事業について説明を行った。まずは今企業が置かれている環境について「デジタル変革が求めているなか、ソフトエンジニアの一人として、今の世の中はデジタルのカオスに陥っていると感じている。毎年何百もの新しいテクノロジーが生まれ、バズワードも生まれて、一瞬で盛り上がるが、数年以内に消えていってしまう」と解説した。さらに、こうしたなかで「善意からくる3つの過ちを起こしている」と指摘した。3つの過ちとは「ジャーニーではなく、チャネル」「アウトカウムではなく、タスク」「エンドツーエンドではなく、サイロ」だという。具体的には顧客がチャネル間を移動できず、一貫性のないエクスペリエンスが発生するなどの問題が起こっている。また、システムや地域、事業部門間での共通プロセスが欠如していることによって、まとまりのないカスタマーエクスペリエンスも生み出してしまっている。トレフラーCEOは「日本の銀行や通信会社でも、こうした問題が実際に起こっている」と話す。

そして、この3つの過ちから生じるのが「デジタルギャップ」であり、多くの企業がお客に奉仕したいと思っても、このデジタルギャプに吸い込まれてしまう。さまざまな組織がこれを解決しようと試み、この問題について真剣に考えた時に、描かれ方に問題があることがわかったという。さらに、デジタルギャップに橋を架けるのがリアルタイムのオムニチャネルAIとエンドツーエンド自動化&ロボティクスである。ペガのPega Infinity™はまさにこの考え方に基づくものであり、3つの主なビジネス課題を解決する方向に導くのだという。「自動化を同時にドライブし、ブレーンを繋げることによって、中央から外に寄せていく。既存のシステムを取り除いて再スタートさせるわけにはいかないから、ひとつひとつのジャーニーごとに実現していきたい。ペガはスマートな意識決定や仕事の効率化、時に顧客のブレーンになるサポートも行っている。Pega Infinity™のモデルを使うことによって、将来のテクノロジーに対応することもできる」と説明があった。さらに、トレフラーCEOは具体例を挙げ、「例えば住所変更の場合、ユーザーはカスタマーセンターに一本電話すれば、システムブレーンが適切な対処をすることを望んでいる。同じく口座開設の場合もウェブ上で行うことによって、マイクロジャーニーが進んでいくものだと考えている。既に持っているアドバンテージを活かしていく考え方が大事である。実際にグローバルで成功しているアメリカンエキスプレスはペガの顧客であり、ペガのソリューションを使うことによってビジネスのオペレーションがスムームになり、顧客をエンゲージメントしている」と述べた。

ペガは2年前から「プロジェクトfnx」を立ち上げ、ペガの顧客は最先端のクラウドケイパビリティを使えるようにもなった。この狙いについてトレフラーCEOは「新しいユーザーエクスペリエンスのかたちにフィットしたものだ。ビジネスのニーズを把握しながらソフトウェアに反映するのはコンピュータープログラムの大きな進展とも言える。我々は今のバリューだけを追求するのだけでなく、将来的なテクノロジーに対応できるシステムを目指すべきだからである」と説明した。

最後にトレフラーCEOは「ペガは今年で創業35年目になる。これまで顧客と一緒に成長してきた。周りの環境やニーズも変わり、テクノロジーにも変化があるが、創業時のクライアントが今でもクライアントであることが誇りだ。つまり、クライアントの成功に対して強くコミットしているということだ。設立当初は自分を含めて3人から始めたが、現在は世界で5000人の従業員数に拡大した。これもコミットしてきた結果だ。今後も新しい領域に進んでいく。日本においてはまだ始まったばかりだが、金融 行政、通信分野で大手企業と良いパートナーシップ関係を築けている」とまとめ、会を締めくくった。