水を入れるだけで起動する緊急用バッテリー「JAW BATTERY」

ただ、それだけに電気は一度災害などで供給が止まってしまえば、復旧までに大きな不便を被ってしまうことも少なくない。公共のインフラに頼らず、いつ何が起きてもしばらくは安定した生活ができるよう、日頃から電源を自らそな得ておく必要もあるだろう。

「JAW BATTERY」はそんな緊急時にも対応できるような備蓄用バッテリーだが、何よりの特徴は水が内部に侵入することでバッテリーとして機能するというユニークな性能だ。

水分で動く次世代の単三電池

JAW BATTERYはいわゆる単三電池の一種である。充電式のバッテリーが標準的になった今日でも、ちょっとしたリモコンやデバイスなどには現役で使われている、世界で最も利便性の高い電池の１つと言えるだろう。

最近では単三電池を装着することでスマートフォン用のポータブルチャージャーとなるような機器も販売されているため、災害時の備えとして単三電池を購入しておくのは悪くない選択肢なのである。

ただ、JAW BATTERYの場合は少し内部の構造がユニークなものとなっている。JAW BATTERYを水に浸し、内部に水が染み込むことでバッテリーとして機能する仕組みを採用しており、従来の電池のように環境に害をもたらす可能性のある物質は使われていない。

JAW BATTERYが必要とする水分は、種類を選ばない。飲料水や生活用水はもちろんのこと、お茶や牛乳、炭酸飲料、あるいは尿でも動くという。災害時に水は貴重品となるため、なるべく綺麗な水は大切に使いたいものだが、JAW BATTERYは水分であれば大抵の場合問題なく機能するため、大いに重宝することになるだろう。

JAW BATTERYは環境負荷だけでなく、人体にも配慮した作りとなっている。これまでの電池は外部に漏れ出すと周りのものを汚してしまったり、体内に入ってしまうと人体に悪影響を及ぼす物質が使われていることがほとんどであった。また限りある資源とされているレアアースも用いられていたため、石油などの化石燃料同様、大量消費は地球環境に悪影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。

一方JAW BATTERYの場合、こちらは有害物質が外に漏れ出てしまう危険性もなければ、レアアースも使われていない。人にも地球にも優しい次世代の電池と言えるだろう。

使い方・携行も簡単

JAW BATTERYの使い方は、主に4つのパートに分かれている。まずはじめに下部に取り付けられているリブを時計回りにひねり、水が侵入してきた際にそのまま発電できるよう準備する。逆にうと普段使用しないときはプロテクトがかかっており、うっかり水に濡らしてしまって勝手に発電を始めてしまうという心配はないため、安心して保管することができる。
未使用で数年間保管していても、いざという時には問題なく使える設計となっているため、劣化の心配をすることもないだろう。

次に水の中に浸す行程だ。JAW BATTERYを稼働させるにはコップ一杯ほどの水分を用意しておき、そこに1分間漬け込むことで使用可能になる。実際に一本の電池でコップ一杯の水を消費するわけではないため、同じ水で一度に何本ものJAW BATTERYを稼働可能にすることが可能だ。

1分間浸した後は、再び先ほどひねっていたリブを反時計回りに戻す。これでフル充電された単三電池を使用することができる。使用する前に、JAW BATTERYを乾かしておくことが必要となる。乾かすといっても乾燥させるのではなく、周りをタオルで拭き取るだけで良いため、乾ききるまで使えないという心配はない。

災害時でなくとも、JAW BATTERYは様々なシチュエーションでの活躍が期待できるだろう。例えば夜のドライブ中にエンジントラブルが発生した際、緊急用のランプを点灯させる際にJAW BATTERYを活用したり、自転車のランプ切れにも重宝することだろう。

JAW BATTERYは水を使って電気を作り出すため、水辺に出かける際は特に重宝する。フィッシングや川遊びなど、アウトドアでの活動の際には手元に置いておきたい存在となるだろう。山や海へ行くと電源を探すのも一苦労だが、遭難などの際の緊急時の電源として持っておくのに最適だ。

JAW BATTERYは現在Kickstarterで出資者を募っており、10ドルの出資で４本パックを１つ購入することができる。現在単四型、9V型のJAW BATTERYも開発が進んでおり、近日の発表が予定されている。