リーズナブルな価格で手に入るソーシャルロボット「Iris v2」

世の中には様々な種類のロボットを見かけるようになったが、これから私たちの生活圏内で最も見かけるようになるとされているのが、ソーシャルロボットと言われる種類のロボットだ。

ソーシャルロボットはその名の通り、人間との社会的なコミュニケーションを担う機能を備えている。例えば受付のスタッフや娯楽施設のマスコット、あるいは過程における愛玩犬などのペットに変わる存在として、人のコミュニケーションの相手となることがソーシャルロボットの仕事だ。

ソーシャルロボットは完全な人間のようなコミュニケーションを取れる技術は未だ備えていないが、犬や猫などの動物と同レベルの対話であれば、かなり近いクオリティで再現することが可能となっている。「Iris v2」はそんなソーシャルロボットをより身近に体感するための、大きな一歩になるポテンシャルを秘めたプロダクトだ。


ロボットとしての愛らしさを追求


現実に存在するソーシャルロボットに近いロボットは、これまで幾度となく映画やアニメなどのフィクション作品の中に登場してきた。しかしながら、現実はまだまだ彼らのように多くの人から愛されるロボットを作るには時間がかかるし、何より一台当たりの単価が非常に高額となってしまうため、普及は難しいと考えられている。

一方、Iris v2の開発チームは、そう行ったフィクション作品におけるロボットたちの愛らしさを、見た目ではなく、内面の成熟に見出している。例えば映画「スターウォーズ」に出てくるR2-D2は、人間の言語を話すわけでもなければ、人に近いルックスを備えているわけではない。

このことから、ロボットへの愛情とは外見ではなく、内面が愛されるに足るクオリティに達しているかどうかが問題になっているのだ。

そこで、Iris v2の開発チームは外見ではなく、内部のソフトウェア開発に大きな力を入れている。外見は必要最低限の予算のみを投じ、質の高いソフトづくりの末、Iris v2にたどり着いた。

ただ、内面に力を入れているとはいえ、Iris v2は全くハード面に力が入っていないわけではない。胸の部分には5インチのタッチスクリーンを備えており、ここからロボットに関連する全般の設定や、トラブルシューティングを行うことができる。

技術的な側面だけでなく、Iris v2の感情もこのスクリーンから読み取ることができる。ハードでは表現しづらい複雑な感情表現を、ディスプレイの映像によって再現することで補完しているのだ。

リーズナブルな価格で手に入るソーシャルロボット「Iris v2」


ディスプレイ上のバッテリー残量などのステータス表示とエモーションの表示はワンタッチで切り替えることが可能となっている。

ユニークな一台に育て上げることが可能に


そしてIris v2を最も特徴付ける機能の1つとなっているのが、人の動作に対するリアクションがプリセットで搭載されておらず、環境から学習してオリジナルのものを身につけていくようになるというものだ。

Iris v2は知識を何も持たない状態でユーザーの手元にやってきて、周囲の環境のみを手掛かりに社会性を獲得していくことになるため、誰もが予想しなかったようなリアクションを獲得する可能性もある。ただ、あらかじめ「笑顔」がポジティブな意味を持つなど、原始的なレベルでのリアクションの意味の解釈を行える能力は備え付けられているため、あまりにシチュエーションから離れた行動を行うことはないとされている。

人間のハンドサインやジェスチャーに対する意味づけや、特定のオブジェクトを発見した際の反応など、状況に応じて様々な反応を示すようになる様子を楽しむことができるだろう。

周囲にIris v2を持つユーザーがいれば、お互いのロボットがどのようなリアクションを覚えたのかシェアしあうのも楽しいアクティビティとなりそうだ。

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また、Iris v2はインターネットに接続せず使用できる点も特徴となっている。SiriやAlexaなど、スマートスピーカーに搭載されているAIは確かにコミュニケーションに長けたものであることは間違いないが、常にインターネットに接続されている以上、個人情報の漏洩につながってしまうかもしれないという、未知のリスクが頭をよぎる。

一方、Iris v2はインターネット未接続で使用できるだけでなく、常に周囲の音を聞いているため、高い学習能力とレスポンスでユーザーを楽しませてくれるはずだ。

Iris v2は現在Kickstarterで注文を受け付けており、1台当たり469ドルで購入することができる。