携帯型インシュリン注入器クーラー「Cool-ins」

糖尿病は時として生死に関わったり、体運動機能にも大きく影響を及ぼしかねない現代病の1つだが、厄介なのは家の内と外ととを問わず体調管理に気をつけなければいけない点だ。
インシュリン注射は糖尿病患者が最も煩わしいと感じる治療法の1つで、病院の外でも定期的に注入を行わなければ深刻な問題に発展しかねない。

しかもただ単にインシュリンを注射するだけでなく、インシュリンの品質管理に気を配っておかなければ、いざ注入を行った際に期待していた効果を得られず、正しく摂取できないということも起こりかねない。

「Cool-ins」はそんなデリケートなインシュリンを安全かつ品質を低下させることなく保管するための携帯型クーラーで、糖尿病患者の健康と快適な日常生活を守ってくれる。

暑さに弱いインシュリン

糖尿病患者が最も頭を悩ませるのは、夏の暑い日であるということはあまり知られていない。インスリンはタンパク質であるため、卵を熱すると白身が固まっていくように、インスリンも高温の環境に長時間晒してしまうと性質に変化が生じてしまう。

常温でインスリンに変化が起こることは稀だが、室温や外気温が40度近くまで達すればインスリンのタンパク質が変性し、品質に大きく変化が生じてしまう。

特に夏場は気温が40度に達することはなくとも、直射日光で暖められた室内や自動車内は50度近くまで達することもある。夏場は生鮮食品同様、直射日光を避けることはもちろん、常に保冷しておく必要がある。

そんなデリケートな性質を持っていながら、インシュリン注射はどこにいくにも持ち歩いて定期的に摂取する必要がある。家で生活しているうちは大した問題にはならないが、例えばアウトドアに出かけたり、海外旅行へ行く際には外へ持ち出す必要があるため、外でもその性質が変化しないよう、インシュリンに保冷用のケアを行ってやる必要がある。

一般的なのは保冷剤などと一緒に保管したり、保冷バッグにインシュリンを保管しながら外を移動しなければならなくなってしまう。このような手間暇を日常的にかけるのはかなり骨の折れる仕事で、糖尿病患者とその家族にとっては大きな負担となる。

携帯型インシュリン注入器クーラー「Cool-ins」

そしてただの保冷バッグよりもさらに効果的なのが、電気の力で動く冷蔵庫である。電気冷蔵庫であれば常に氷を持ち歩くストレスから解放され、手元がかさばってしまう心配もない。

世界最軽量級の冷蔵バッグ

Cool-insはインシュリン注入器に最適化された形で誕生したコンパクト電気冷蔵庫で、まるで筆箱のような感覚で注入器を冷却しながら持ち運ぶことができる。

Cool-insの内部にはインシュリン注射器を最大2本まで収納することができるため、1日分の注入には十分なキャパシティを持つ。旅先であっても、外出の際はCool-insに1日分のインシュリンを収納しておき、残りは部屋に保管しておけば困ることもないだろう。

ケースの重量はわずか200グラム程度に収まっており、バッグなどに軽く忍ばせておくということも容易だ。子供でも持ち歩ける利便性も備えている。Cool-insは保冷バッグではなく電気の力で冷却するため、氷などを必要としない。そのおかげで軽量かつコンパクトなデザインの実現に成功していると言えるだろう。

携帯型インシュリン注入器クーラー「Cool-ins」

Cool-insは電気で動いているが、内蔵バッテリーは存在しない。その代わりに外付けのUSBポータブルチャージャーから電力をまかない、最低限のエネルギーで効果的に冷却を行えるよう作られているので、驚きの軽量性を実現している。

使い方もいたって簡単で、ポータブルチャージャーから電力を供給してやれば、あとは自動的に冷却・保冷を行ってくれる。5000mAhのバッテリーを使えば最大で20時間ほどの保冷も可能なため、ポータブルチャージャーとともに外で持ち歩いておけば、どんなに暑い日でもインシュリン注射に支障をきたすことはないだろう。

自動車でCool-insを保冷する場合には、車に備えつけられているシガレットアダプターからチャージを行うこともできる。対応のUSBアダプターは日本のコンビニなどでも気軽に手に入るため、電力が不足してしまった際にも安心だ。

Cool-insは現在Kickstarterで出資者を募っており、85ドル以上の出資でCool-ins本体を一台購入することができる。

発送は世界各国に対応しており、製造が完了次第すぐに手元へ送られてくる予定だ。