ワンタッチでスマホが1000倍の顕微鏡に「TIPSCOPE」

普段の生活ではあまり使う機会はないかもしれないが、顕微鏡はポピュラーな実験器具でありながら高性能なレンズを備えていることからその価値は高い。
およそ肉眼では捉えられないようなものでも、顕微鏡を通してその姿を目で確認できるという機能は、人類史において大きな役割を果たしてきた。

微生物や最近の研究、生物学の発展などは顕微鏡なしには成し得なかったもの
だが、もう少し気軽に顕微鏡が入手できるようになれば、ミクロな世界に興味を持ち、科学研究に貢献できるような人材の育成にもつながるはずだ。

顕微鏡を高価にしているのは、何より専門性の高い性能を持ったレンズを備えていることにあるのだが、「TIPSCOPE」はスマートフォン向けに1000倍もの倍率を備えた外付けレンズとして開発されたプロダクトとなっている。

どこでも持ち歩ける小型レンズ

顕微鏡のデメリットは、まず何と言ってもその小回りの利かなさにあるだろう。肉眼では捉えられない小さなものを見る力があっても、本体そのものが大きくては弊害も大きい。

たとえば身近な生物を調査するにしても、顕微鏡でその様子を確認したい場合はわざわざ顕微鏡のある教室や家まで生き物を持って帰る必要があり、常に大掛かりな顕微鏡を持ち運ぶのは効率が悪く、何より破損の危険性もある。

顕微鏡に慣れ親しむためには、できるだけ数多く使用の機会を設ける必要があるはずなのだが、既存の顕微鏡ではそれが難しいところに課題が置かれていると言えるだろう。

しかし顕微鏡の最大の魅力でもある、レンズのみを持ち運べるようにすれば、あとは別のもので代用することができるかもしれない。TIPSCOPEはその点に目をつけたプロダクトで、スマートフォンに搭載されたカメラとレンズの拡張パーツとして誕生した簡易顕微鏡キットである。

TIPSCOPEはわずか4センチ程度の小さな拡張パーツだが、その実力は侮れない。iPhoneなどのスマホにピタリと装着するだけで、最大倍率1000倍にもなるインスタント性が魅力だ。

TIPSCOPEを使えるスマホモデルは特に指定がなく、ポピュラーなスマートフォンであれば基本的になんでも使用することができるはずだ。重量も5グラムにとどまっており、ポケットのスペースを圧迫したり、スマホを扱う際に手が疲れてしまう心配もないだろう。

ワンタッチでスマホが1000倍の顕微鏡に「TIPSCOPE」

1000倍と聞くと少しやりすぎな倍率と感じるかもしれないが、顕微鏡の倍率はあればあるほど嬉しいものだ。実際に400倍の写真と1000倍の写真を見比べてみるとわかるように、600倍の差があれば、顕微鏡に求められる解像度に大きな違いが現れる。

ワンタッチでスマホが1000倍の顕微鏡に「TIPSCOPE」

1000倍もの倍率があれば、普段肉眼で目にしているものも、また違った側面からそれらを捉えることも可能になる。見慣れた柄に独特のパターンが細かく刻んであったり、紙の質が絵の印象にどれだけ貢献しているかなど、TIPSCOPEを通じた世界をみることでそのディテールに対する認識能力も向上するはずだ。

スマホカメラの利点を生かしたアウトドアな顕微鏡

TIPSCOPEはスマホカメラの倍率を顕微鏡レベルに拡張するレンズキットであるため、いつも通りのスマホカメラの機能も併用した撮影も行うことが可能だ。ただ様子を見るだけでなくミクロの世界を気軽に静止画に収めたり、ビデオ録画によって微生物が動き回る様子などを動画で撮っておくこともできる。

これまで顕微鏡を使った撮影を行う場合、専用の撮影キットを用意しておく必要があったが、TIPSCOPEであればそんなコストをかけなくても気軽に撮影ができるため、子供の自由研究などにも絶大な力を発揮していくれることになりそうだ。

TIPSCOPEはあくまでも外付けのレンズとなっているため、バッテリーなどを必要としない点も魅力的だ。顕微鏡は対象を鮮明に捉えるためにバックライトを点灯させる必要があり、電源を引っ張ってくる必要があるモデルがほとんどだった。そのためやはり顕微鏡を扱える場所は限定され、取り回しは決して良いと言えるものではなかったのである。

ワンタッチでスマホが1000倍の顕微鏡に「TIPSCOPE」

一方、TIPSCOPEはスマホのバッテリーに依存した使い方となるため、スマホのライトを使って顕微鏡と同等の機能を得ることができる。どこでも十分な光量も得られ、倍率としても不足のないこのレンズを使えば、アウトドアでの活動でも活躍する。

TIPSCOPEは現在Kickstarterで注文を受け付けており、一台当たり4500円程度の出資で購入することが可能だ。

製品は日本から発送されるため、国内からの注文はもちろん、世界各国への配送も対応している。