プログラム可能・トランスフォーム可能な家庭用玩具ロボット「Robosen T9」

ロボットは用途に応じてその形を様々に変えながら、今や生活のあらゆる場所で活躍する存在となっている。工業用のアームロボットは機械製品の製造効率を飛躍的に向上させ、PCのプログラムとして活躍するソフトウェアタイプのロボットは人間の効率的なコンピューティングを行う上では多くの処理を担い、難しい知識やスキルがなくとも複雑な操作をユーザーが行えるようアシストしてくれる。

一方こういったロボットの活躍は頭では理解することができても、実感を伴って彼らの働きに対して親しみや尊敬を抱くことは難しい。古典的なロボットアニメや映画の中で活躍するようなロボットの存在は非現実的かもしれないが、老若男女を問わずロボットに対して関心を抱くための良いきっかけとなるのだ。

「Robosen T9」は、そんな昔ながらのロボットを最新テクノロジーを導入して玩具に特化した形で誕生した子供向けのプロダクトである。

Robosen T9はロボットアニメからそのまま現実に出てきたようなデザインが特徴的だ。メタリックでシルバーのカラーリングがまず目を引くところであるが、通常時は自動車に、そして使用時にはロボットへと変形できるトランスフォーム可能な仕様が最大の特徴である。

変形ロボットの玩具はこれまでもいくつか発売されてきたが、従来の変形ロボットはトランスフォームが複雑で、スムーズに展開させるには必要な工程が多く、いまひとつ決まらない頼らなさがあった。

しかしT9の場合は映画「トランスフォーマー」のように滑らかな変形を行えるのがポイントである。滑らかな動作で自動車の状態から瞬く間に二足歩行のロボットへと変形し、その変形シーンを眺めるだけでも十分に楽しめる仕上がりである。

そしてT9は模型ではなくプログラムがあらかじめ組み込まれているロボットであるため、人間のマニュアル操作で本体を展開したり、自動車の状態へ戻す手間はかからない。一般的なおもちゃであれば自分の手などを使って変形する必要があったが、現代のトイロボットは映画の世界に追いつきつつあるテクノロジーを備えているとも言えるだろう。

またロボットの状態に変形できるだけでなく、T9は乗用車の状態でも十分な機動力を備えている。自動車モードで自走できるのはもちろんのこと、方向転換など一般的なラジコンカー並みの動きを行えるため、見かけだけの変形ロボットではないと言える。

T9の滑らかの挙動を支えているのは、内蔵されている全部で22にもなる高精度のサーボモーターである。これらがT9の動きに柔軟さと滑らかさを与え、ただ機能を備えているだけではない見た目の美しさを生んでいる。

またT9の柔軟性はあらかじめプログラムされている動作だけでなく、ユーザーが自らプログラミングすることによってT9に様々な動作をさせることができる。例えばT9に歩行させるだけでなく、しゃがんだり座り込んだり、腕立て伏せをさせるなど、まるで二足歩行に特化しているロボットのような動作も問題なく行える。

あるいはキャラクターボイスを設定し、好きな声をT9に吹き込むことができる。単なるロボットではなく愛着の湧くような存在にカスタマイズして、自分だけの一台を作り上げることが可能だ。
T9は単なる玩具としてではなく、プログラミング教育の第一歩として活用することもできる。T9のプログラミングは一般的なコーデイングとは異なり、ブロックを組み立てるようにビジュアルでわかりやすく、ケアレスミスも発生しにくいシステムで行うことができるので、プログラミングがどのようにして成立しているかを構造的に理解する際には大いに役立つことだろう。

プログラム可能・トランスフォーム可能な家庭用玩具ロボット「Robosen T9」

操作方法は専用のアプリケーションからリモートコントロールができるほか、ボイスコントロールにも対応している。まるで映画の主人公のように声の力で操作することができれば、臨場感のある体験が可能となるだろう。

Robosen T9は現在Kickstarterで注文を受け付けており、299ドル以上の出資でT9本体を一台購入することができる。

おもちゃとしてはやや効果かもしれないが、上記で紹介したような高いスペックと知育玩具としての役割も考慮すると妥当な価格と言えそうだ。