生物と同様の構造で飛行する最新型のロボット「MetaFly」

人間の空を飛びたいという希望は長年追いかけられ続けてきた夢の技術で、現代でも日夜研究が続けられている分野である。飛行技術の追求の中では様々な形でその研究成果が現れてきた。プロペラ機やジェット機、ヘリコプターやドローンなど、形もその飛行方法も全く異なるものの、人間にとって高い実用性を備え私たちの生活を支えてくれている。

人間が人工的に飛行物体を生み出す際、そのフォルムは自然界に存在する飛行する動物などとやや異なるケースが多いのも特徴である。例えばジェット機などであればまだ鳥のような輪郭を残していると言えそうだが、ヘリコプターやドローンに関しては自然界では見ることのない形状をしており、とても動物や虫が参考になったとは思えない。

これには実用性の面でそのような形態を諦めたということもあるが、もう1つ大きいのは自然界に存在する動物が、どのようにして飛行しているのかがはっきりと分からなかったということもあるのだ。

つまり動物や昆虫を完全に似せた模型やロボットを飛行させることは至難の技であったのだが、今回発表された「MetaFly」はそのような技術的困難を乗り越え、極めて自然界に存在する生き物に近い形で人工的に生み出された飛行ロボットである。

小型でもパワフルなMetaFly

手のひらサイズで動作するMetaFlyは、ラジコン操作で思いのままに空を飛んでもらおうことができる。その挙動はラジコン飛行機やヘリコプターとは全く異なり、まるでチョウや鳥が空を飛んでいるような姿で空を自由に駆け巡る。

その様子は遠目から見るとまるでラジコンやドローンとは思えないほど自然で、人によってはそれを本物の鳥などと勘違いしてしまう人も出てくることだろう。

生物と同様の構造で飛行する最新型のロボット「MetaFly」

MetaFlyの最大速度は18キロと、その小ささの割には非常に素早くパワフルに動き回ることができる。本体が小さいと体は軽くても馬力に替えるということもあるが、18キロものスピードが出るのであればこのサイズだと十分と言える。

コントローラーとの最大距離は100メートルで、目視で追いかける分には十分な受信距離を備えていると言える。MetaFlyは元々のサイズが小さいためあまり距離が離れると見えなくなってしまい、あまりに長い距離を操縦できるとなるとかえって本体を見失ってしまうという可能性もあるため、ラジコン操作で扱う分には最適な飛行距離と言えるだろう。

屋内外で活躍の機会も

また、MetaFlyは屋外ではもちろん、屋内での使用にも最適な一台となっている、本体の小ささもさることながら、素材は何か他のものと接触しても良いようにカーボンファイバーやリキッドポリマーといったソフトなものが用いられているため、強い衝撃が発生してもMetaFlyや接触物に対してダメージを残してしまう心配はない。
屋内であれば天候や風の影響を受けることもないため、むしろ存分に楽しむことも可能なはずだ。
最大飛行時間は8分で、一度飛行した後は12分のチャージ時間を要する。8分の飛行となると少し物足りないような気もするが、わずか12分の充電で再度飛行できるのであればそこまでストレスとなる心配もない。実際自然界に存在する飛行生物の継続飛行時間も似たようなものであることも多く、自然生物に近い存在であることを前提に作られているのであれば、納得のいく性能であると言えるだろう。

MetaFlyの開発の歴史は長く、およそ50年にも及ぶ入念な調査とトライアンドエラーを繰り返した結果が今回のMetaFlyの開発者の祖父の時代、つまり1960年代から人工の飛行生物の開発が始まっており、開発者もまたそのような祖父の姿を見ながら育った。

生物と同様の構造で飛行する最新型のロボット「MetaFly」

本人も航空工学を学ぶなど製品開発に意欲的で、2014年にはクラウドファンディングによってプロトタイプの開発に成功している。クラウドファンディングで資金調達を行うにはプロダクトのクオリティだけでなくデベロッパーの信頼性も大きく左右するが、MetaFlyに関してはその点もクリアしたプロジェクトとなっている。

MetaFlyは現在Kickstarterで出資者を募っており、1万円程度の出資でスターターキットを一台入手することができるリーズナブルなものとなっている。プラス1000円でアップグレードキットが付属したものも購入可能で、こちらは追加のパワーバンクなどが付属する豪華モデルとなっている。