次世代の多目的電動車イス「AbleChair」

最新の車椅子は足が不自由な人でもある程度自由に移動ができるほど高機能なものも増えており、初期の車椅子のように手押しで進むだけのタイプを見かけることが少なくなっているほどだ。

もちろんそういった高性能な車椅子は価格の面で高額になってしまうものだが、それでも技術力の向上によって少しづつ一般人にも高性能な車椅子が手の届きやすい価格になりつつある。

技術発展には単一の企業だけでなく、さまざな企業や団体から新しいモデルが発表されることで開発競争が進むことも重要なのだが、「AbleChair」はそんな車椅子の可能性をさらに広げてくれる次世代の多機能車椅子として発表された。

多機能車椅子の必要性

車椅子は歩行に不自由のある人などに向けて、健康な状態との差異を少しでも小さくするために生まれたツールであるが、ただ座りながら移動できるというだけではこの問題を解決したとは言えない。

室内での生活であれば座って移動できるだけでも大きな手助けとなるかもしれないが、外で生活する場合はドアの開け閉めやエスカレーターなど、立って移動する人に向けたデザインで何事も設計されているため、ある程度の不便を被ってしまうことは致し方ないところもある。

最近はバリアフリーの設備が街中では整ってきているため、車椅子の利用者でも滞りなく交通機関や公共空間を利用したりできるようにはなっているが、やはり健常者に比べると不便であることは多い。

AbleChairはそんな車椅子利用者が、室内はもちろん外出先でも自由に行動できるよう開発された車椅子だ。

車椅子を使う人の事情は様々だが、彼らの傾向を一般化すると様々な特徴も浮かび上がる。例えば車椅子利用者は平均して10~14時間車椅子に乗って生活していたり、6~12回ほど席を離れる機会があるなど、彼らの生活に注目すれば健常者にはない生活リズムが存在していることがわかる。

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車椅子は生活には欠かせない体の一部のように機能するが、それは本物の体ではない以上、車椅子の使用が時として負担となってしまうこともある。長時間体にあっていない車椅子に座っていればその疲労度は大きく、長期になれば関節痛などの持病を患わせてしまう心配もあるものだ。

AbleChairはまずリクライニング機能などが充実しており、いかなる姿勢にも簡単な操作で変更できるのが魅力の1つである。腰に負担のかからない姿勢を容易に作ることができ、個人のくせに合わせた着席角度を自由に設定することができる。

次世代の多目的電動車イス「AbleChair」

椅子の角度だけでなく、椅子の高さも自在に変更することができる。椅子の角度は変更できてもたかさが変更できないというケースは外食時などに大きな不便を被ることもある問題だが、AbleChairなら椅子の高さも利用者の身長に合わせて最適な高さに調節できる。

リハビリにも有効なAbleChair

AbleChairは着席時の操作だけでなく、起立機能も備えた便利な一台である。例えばトイレなどへ行き、座りなおしが必要な際にこの機能を使って便座に座るサポートを受けることもできるし、就寝時にベッドへ移る時などにも使える。

また、この起立機能はリハビリトレーニングにも活用することができ、徐々に角度を変えながら最終的に規律の姿勢になることで、リハビリを受けている人にとって無理のないセラピーを受けてもらうのにも有効だ。

日常的にAbleChairを使っている人にとっては車椅子を乗り換えなくともそのままリハビリトレーニングを受けることができるようになるため、そのための手間や時間の削減にもつながることになるだろう。

リハビリとは一言で言っても様々な原因に合わせていくつものトレーニングがあるが、AbleChairをリハビリに取り入れることで多くの恩恵を受けることができる。例えば関節や骨の再生を促してくれるような姿勢変更機能や、運動に欠かせない肺の機能を向上させるなど、身体への最小限に抑えることで、身体機能の回復に努めることができる。

次世代の多目的電動車イス「AbleChair」

リハビリテーションは身体へある程度負荷をかけることで回復効果をもたらすものもあるが、必要以上の負荷をかけてしまうと腰痛など別の身体機能に新たな障害をもたらしてしまうこともある。AbleChairは日常を快適に過ごすだけでなく、リハビリにおいても効果的な回復を促すのだ。

AbleChairは現在Kickstarterで注文を受け付けており、購入には一台当たり8000ドル以上の出資が必要となる。一見すると車椅子としては高額に思うかもしれないが、これだけの機能を搭載していることを考慮すると妥当な価格と考えられるだろう。