誰にでも扱えるデリバリードローン「Zing」

小型で自律飛行が可能なドローンは、私たちのライフスタイルにこれからますます浸透していくと言われているテクノロジーの一つで、誰でも操作することになるとも言われている次世代の技術だ。

まるでスマートフォンを扱うようにドローンを一人一人が持つ時代が来るとも言われているが、近い将来実現するとされているのが宅配ドローンなどの流通に携わるドローンの登場だ。現在では流通業界に人手不足の波が来ていることからも分かる通り、無人機による配送や流通インフラの整備は急ピッチで進められている。欧米諸国ではすでに試験的に無人配送が実施されており、日本においても研究機関レベルでは試験が始まっている。

産業やアカデミックのレベルだけでなく、民間においても独自のドローン開発は日夜行われ続けているが、アメリカ発の「Zing」民間から生まれた、小型ドローンをデリバリーに運用可能なモデルに変換するためのシステムとして誕生した。

家庭で使える宅配ドローンシステム

何かを輸送するためのドローンとは言っても、その種類も細かく分けていくと様々な用途ごとに分類することができる。例えば大型の荷物や一度に大量の荷物を輸送するためには、これまでだとトレーラーなどを用いていたし、小型の荷物の個別配送には小型のトラックなどを用いて個別配送を行なっていた。

特に小型配送に関しては一台のトラックと配達員で複数の荷物を各家庭に配送しなければならなかったため、必要以上の手間と時間をかけていた点も否めない。しかしながら小型ドローンによる小型配送が実現すれば配達員の負担を大きく減少させるとともに、配送のスムーズ化にも繋がるだろう。

自律運転が可能な機械は全てドローンと表現することもできる。例えば完全自動運転が可能になった大型トレーラーであれば地上走行型のドローンして活躍することができるし、空中を走行できれば浮遊型のドローンと言えるだろう。

私たちにとってなじみが深いドローンもこちらに当てはまるかもしれないが、空中飛行によって荷物を運搬することができれば交通渋滞の解消にもつなげることができる。あるいは一家に一台自家用の宅配ドローンを備えておくことで、ちょっとした近所への配達物は家から直接ドローンを飛ばして配送することができるようになるかもしれない。

Zingはそんな普段使いのデリバリーに活用することを期待して生まれたドローン用アクセサリーで、専用のアプリケーションとドローンに装着するためのデリバリーボックスを用いる設計となっている。
誰にでも扱えるデリバリードローン「Zing」

アプリケーションは通常のドローンアプリとは違い、座標や位置情報を指定して荷物を運搬できる特殊なものとなっている。開発チーム内ではすでにベータテストが行われており、フライトでも映像も公開されている。


Zingは今最もポピュラーな民間ドローンであるDJIに最適化して設計されており、テスト段階においてはすでに150回以上のデリバリーテストに成功している。現在はまだiOS向けに開発されているため、Androidからの起動には対応していないものの、十分な資金調達に成功すればAndroid対応も行われるという。

使い方次第で毎日使えるドローンに

Zingの提案する宅配ツールは軽量だ。デリバリーボックスの重量は250グラム程度で、最大積載量は600グラムに止まっているものの、軽い宅配物であれば十分なキャパシティとなっている。例えば本一冊や電子機器、化粧品など、重くはなくともシステム上の問題で他の大きな荷物と同様に個別配送を強いられることは多いものだが、Zingのような宅配ドローンを積極的に運用できるようになれば配送コストも小さく、かつ早急に送り主の元へ届けることも可能なるだろう。

そして宅配の用事ではなくとも、近くまで荷物を届けたり、スーパーから家まで荷物を少し持ってもらうといった使い方もできるだろう。かさばる手荷物はZingのシステムに任せてしまえば、毎日の買い物の手間も軽減させることができそうだ。

今はまだドローンの普及率も低く、無断でドローンを飛行させることも日本では禁止されているため、うまく運用するための環境が整っていないものの、将来的にはZingのようなシステムを搭載したドローンが街中を飛び回ることもありえるかもしれない。

Zingは現在Kickstarterで出資者を募っており、45ドル以上の出資でスターターキットを入手することができる。使用には別売りのドローンが必要だが、すでにドローンを持っている場合は利用してみる価値のあるプロダクトとなっている。