VRゲームにさらなる没入感を「2DOF LC Motion Simulator」
仮想現実、いわゆるVRは新しいエンターテイメントとして広く受け入れられつつあり、アミューズメント施設だけでなく家庭でも親しまれる機会は増加傾向にある。VRは視覚的な没入感を深めてくれるため、これまでの二次元的な映像では味わうことのできなかった立体的な演出を楽しむことができる。
視覚に訴えかけられる効果は驚くべきものがあるが、VRは映像に連動した体感装置と一緒に活用することで、さらに娯楽性に富んだエンターテイメントとなる可能性を秘めている。
様々なメーカーから実験的にアミューズメントパークで導入が進められているVR併用体感装置だが、「2DOF LC Motion Simulator」は家庭でも扱える体感装置として誕生したVRシミュレーター機器の一つである。
人工知能ソフトで高い同期性を確保
VRを活用したコンテンツにも様々なタイプが存在するが。今最もポピュラーなのはVR対応ゲームやシミュレーションだろう。これまでのビデオゲームに比べて圧倒的な立体感を直に味わうことができ、多くの人にとって従来のゲームとの比較が容易なため、VRはビデオゲーム産業においては大きな注目を集めている。
また、シミュレーションゲームやシミュレーターにもVRが幅広く活躍している様子が伺える。例えばドライブシミュレーションやフライトシミュレーターなど、乗り物の運転を室内に居ながらにしてリアルな操作感覚で体験することができるソフトは実際の訓練の現場などで導入されて高い効果を上げているだけでなく、ビデオゲームコンテンツとしても人気のジャンルである。
一人称視点で遊ぶことのできるシミュレーションは特にVRとの相性が良く、設備によってはまるで本当に運転しているかのような感覚を味わうことができる。2DOF LC Motion Simulatorもまたそのようなシミュレーション体験をサポートしてくれる機能を果たし、従来のゲーム体験を覆すような臨場感を提供してくれる。
これまでのシミュレーションゲームに欠けてきたとされるのは、所々に現れるビデオゲームらしさである。どれだけリアルとはいっても、シミュレーションゲームはあくまでもゲームであるため、現実との違いが際立ってしまう節もあるものだ。
2DOF LC Motion SimulatorはそういったVRシミュレーターの現実との乖離を穴埋めするために開発され、様々な側面から臨場感の追求を行う。
例えば、人工知能を搭載したソフトウェアの導入である。VRゲームに臨場感をもたらすため、多くの周辺機器は例えばゲーム画面と連動した振動や椅子の回転などの動作を行うが、これにはやや高度なテクノロジーが活用されている。一般的に普及しているものはまだまだ実戦レベルで安定した挙動を示すには至らず、アミューズメントパークなどで採用されている大型の筐体でなければ体験することは難しい。
2DOF LC Motion Simulatorはソフトウェアに人工知能を搭載することにより、ゲーム画面との同期性を底上げする手法を採用する。従来のソフトウェアで多発していたクラッシュやフリーズといったエラーを抑制し、より安定性が高く、臨場感のある繊細な挙動を実現する予定だ。
家庭用としての開発努力
2DOF LC Motion Simulatorは開発途中のプロジェクトだが、可能な限り最新ゲームには常にキャッチアップできるようなハードウェアにしたいと考えているという。ビデオゲームは毎年新作が発表されるため、常にハードウェアの側でも最新ゲームへの対応が求められ続けている。2DOF LC Motion Simulatorはできる限り長く使い続けられるよう、徹底したソフトウェアの開発に力を入れるという。
2DOF LC Motion Simulatorは家庭での利用を想定しているため、小型化の努力がなされている点にも注目したい。本体の椅子部分は通常のオフィスチェアと変わらない大きさで、特別大きなスペースを確保しなければならないという懸念は必要ない。そこにペダルやデスクなどが設置され、多少は全体の大きさが膨らんでしまうものの、それでもゲーミングチェアとしては許容できる範囲の大きさとなっている。
これまでゲームの周辺環境構築に力を入れてきたという人であれば、スペース作りに苦慮することなく2DOF LC Motion Simulatorを導入することができるだろう。
2DOF LC Motion Simulatorは現在Kickstarterで出資者を募っており、一台当たり1200ドル程度の出資で本体を一台購入することができる。やや値段は張るかもしれないが、新しいゲーミングチェア、それもVRとの連動機能を搭載したゲーミングチェアということであれば、それほど高い買い物であるわけでもなさそうだ。