個人向けのスマートな宅配ロッカー「The Porch Pod」
日本では特に優れた流通ネットワークが形成されており、注文から発送、そして到着までの時間は極端に短く、予定通り商品を受け取ることができるのが当たり前だ。また、荷物の盗難や紛失といったケースも滅多になく、仮に発生しても補償制度があったり捜索サービスが充実していたりと安心できる環境が整えられているため、流通に対して私たちが不安を覚えることはない。
しかしながら、国や地域によっては必ずしも流通サービスが完璧に整っているとは言い難いところも多い。Eコマース最前線であるアメリカでは、オンラインショッピングサービスそのものは数多くリリースされ、多くの人が利用しているものの、流通インフラが不完全であるためにその点でのトラブルは少なくない。
中でも宅配時の盗難・置き引きは発生件数が多く、アメリカのEコマース事情にも大きな影響を与えている社会問題でもある。
「The Porch Pod™」はそのような問題を解決するための自宅用宅配ロッカーで、不在時でもしっかりと荷物をキープしてくれる頼もしいプロダクトだ。
宅配物の盗難が深刻なアメリカ
アメリカにおける荷物の盗難は深刻で、毎年2300万件もの事件が発生しているというデータがある。これほどまでに盗難のケースが膨れ上がっているのには、一つに不在票の発行や再配達のサービスが整っていないことが大きい。日本だと配達の際に家主が不在であれば荷物を持って帰り、時間を改めて再度届けに来てもらうというシステムが整備されているが、アメリカの場合は家主がいなければ玄関の前に荷物を置いて帰るというケースは珍しくない。
そのため、荷物は何のセキュリティもなく玄関の前に放置されることになるため、誰でも盗もうと思えば取って行き放題なのである。
日本では再配達によるコスト発生を削減するため、各家庭やマンションに宅配ロッカーが設置され始めているが、アメリカにおいてはこのような盗難の問題を解決するために宅配ロッカーが必要とされているのだ。
宅配物の6つに1つは盗まれるという恐ろしい試算もある中、誕生したのがThe Porch Podである。この宅配ロッカーはまず個人の家庭用向けに開発されたロッカーとなっており、玄関の前に設置することで性能を発揮する。外装はスチール製で、衝撃や野ざらしにされることによる劣化にも耐性を持っており、信頼性は高い。
また、The Porch Pod™はWi-Fi接続によるインターネットを通じたスマートロックに対応している。ロッカーのキーは自分のスマートフォンやタブレットがその役割を果たしてくれるため、鍵穴からロッカーをこじ開けられてしまう心配もない。
誰にでも使いやすく、セキュリティレベルの高いデザイン
また、運送会社にとってもThe Porch Pod™の仕様は容易となるようシンプルに作られている。配達人は荷物に貼り付けられているトラッキングコードをThe Porch Pod™にスキャンさせるだけでロッカーを開けることができるため、彼らの時間を奪ってしまうことなく宅配ロッカーを活用してもらうことが可能だ。
宅配ロッカーは設置した本人には使い方がわかっても、それを操作する届け人にも使いやすくなければ利用してもらえないこともあるものだ。そのためシンプルな操作が可能なThe Porch Pod™は、有用性の高いロッカーと言えるだろう。
The Porch Pod™はコードがスキャンされたことを感知すると、自身が接続されているWi-fiネットワークからトラッキングコード情報を送信する。サーバーが事前に登録されている追跡番号と照会し、正しい荷物が届けられているかを判断するという仕組みだ。
これによって適当なトラッキングコードでThe Porch Pod™が不正に開封されてしまうことを防ぎ、正しい配達がなされた時にしか開かれることはない環境を実現しているのである。
The Porch Pod™の設置は、自身の荷物の安全をまもるだけでなく、その地域全体のコミュニティにおける安全を守るためにも役立ってくれる。セキュリティ意識の高い地域であることを外部に伝達することで、犯罪の温床となることを防いでくれるのだ。
The Porch Pod™は現在Kickstarterで注文を受け付けており、180ドルの出資で本体を一台購入することができる。サイズが二種類展開され、家の大きさや普段注文する荷物に応じて注文することが可能だ。大型モデルは200ドルとなっているため、家を不在にしがちで宅配をよく利用する場合はこちらを購入しておけば、宅配ロッカーがいっぱいで使えないという事態を避けられるだろう。