自転車に取り付けて風力サイクリング「CycleWing」

日本でも東京のような都心では自家用車を利用するケースも少なくなってきており、環境への配慮だけでなくコストパフォーマンスの観点から電車やバスを利用する人は多い。最近ではカーシェアリングのようなCtoCでのシェアサービスも盛んになってきているため、今後も排ガス抑制に向けた動きは国内でも進んでいくことだろう。

そして、最もエコな移動手段として注目されるのが自転車である。人力とはいえその機動力は高く、排ガスなどを生むことなく効率よく移動できる自転車は自動車社会と言われてきた欧米においても浸透が始まっており、毎日の通勤手段として取り入れる人は少なくない。

排ガスを生まない動力としては、人力に加えて自然エネルギーの利用も挙げられる「CycleWing」はそんな自然エネルギーの力を自転車にも応用できるよう誕生したプロダクトで、まるでヨットのような乗り心地を自転車で体験することができる。

風を使った自転車アシスト

風力は自然エネルギーの中でも注目度の高い動力の一つである。風力発電や風車などに見られるように、場所や時間によっては大きなエネルギーを風から獲得することができる。風力は移動にも用いられてきた歴史もあり、例えば船は風を動力にした移動手段の最たる例といえるだろう。

現代でもヨットのように風を動力源として航行する船はよく見られ、まだまだ現役のテクノロジーであるともいえるが、CycleWingの場合はこの風の力を自転車に応用しようと試みた、自転車用のセイルである。

取り付け簡単・仕組みもシンプルなCycleWing

CycleWingは取り付け式のコンパクトなセイルで、ものの数分で自分の自転車に取り付けて使用することができる。帆を張ったあとは簡単で、難しい操作を行うことなく風の力を借りて走行することが可能となる。電動自転車はあらかじめ充電しておいたバッテリーの力でペダル操作をアシストしてくれるが、CycleWingは風の力で自転車の走行を手助けしてくれるのである。

もちろんCycleWingはその時に吹いている風の影響を強く受けるため、電動自転車のようにいつでも望んでいるようなサポートを受けられるとは限らない。それでも風が思うように吹いているときは、自転車の後部に取り付けたセイルがライダーのペダル操作を力強くサポートし、推進力を与えてくれる。

CycleWingの操作も簡単で、走行中は主に二つのボタンによって調節を行うことができる。ボタンの位置もシンプルで、自転車のハンドルを握っているときの親指で操作できるような位置に取り付けられているため、混乱してしまうこともないだろう。自転車になれないものを取り付けたときは、その取り扱いに気を取られて交通事故につながってしまうこともあるものだが、しっかりとハンドルを握って前を向きながら操作できるCycleWingの場合は、ライダーに優しい設計になっているといえるだろう。

CycleWingの基本構造は一般的なヨットなどが採用している仕組みとほぼ同様である。いかなる方向から風が吹き付けてもセイルがうまく風を受け、自分の進みたい方向へと操縦手が進むことができるというもので、せっかくの自然エネルギーが無駄になったり、CycleWingそのものが自転車の運転を妨げてしまう心配もない。

風が吹いていないときや風力を必要としないときは、CycleWingのセイル部分を折りたたんで自転車の後部に収納しておくこともできる。展開時からは想像もできないほど小さく折り畳むことができるため、都心部でもかさばることはない。収納時のパッケージは防水仕様となっているため、自転車にCycleWing取り付けたまま駐輪場に駐車しておいても問題はないだろう。

また、CycleWing装着時にはハンドルの中央部に小さなディスプレイを取り付けることになり、そこから風向きなどの詳細な情報を確認することもできる。風の状態や現在のアシスト状況を視覚的に理解することで、効率的な運転が可能になるはずだ。

CycleWing導入の注意点として、いくつか考慮しておくポイントもある。一つは所有している自転車にリアマウントが取り付けられているかという点で、CycleWingはその上に設置して利用するため後部にマウントがなければ先にそちらを導入する必要がある。

もう一つは風が吹くエリアであるかどうかで、無風の地域ではCycleWingの恩恵を思っていたほど預かれない可能性もある。

CycleWingの導入前にはこれらの点をしっかりと確認しておく必要があるだろう。