馬の様子をIoTで遠くからでも確認「HoofStep」

ペットも家畜も、人間の世界で飼われている生き物はできる限り人間がきちんと世話をしてやる必要があり、目を離したすきに思わぬアクシデントに巻き込まれたり、怪我を負ってしまうものである。

少しでも動物がトラブルに巻き込まれないよう、飼い主や管理者は柵を設置したり体調に気を使うなど、できる限りのケアを動物に与えてやるものの、よっぽど厳重な管理下に置いていない限りはどこかに隙が生まれてしまう。そして人の目が及んでいないときにこそアクシデントは発生するもので、取り返しのつかないことになってしまうことも少なくない。

最近ではICチップを動物の首部分に埋め込んで管理することもあるが、彼らの負担になることがなければ可能なだけ手厚い管理を行いたいものだ。「HoofStep」は特に馬の管理のために生まれた馬専用のウェアラブルデバイスで、一頭づつに装着することでその動向を常にスマートフォンから見守っておくことが可能になる。

決してバカにできない馬の怪我のリスク

Hoofstepが可能にするのは、飼育している馬の様子を確認する機能である。HoofStepを装着している馬が今何をしており、どこへ行ったのかをリアルタイムで確認できるようにすることで、馬の健康を阻害することなく彼らの安全を確保することが可能になるというプロダクトだ。

普段は馬の動向を確認しつつも、もし彼らの身に何かが起こった場合はHoofStepが自ら持ち主、あるいは持ち主の知人のスマートフォンへとアラート通知を送り、すぐさま対応を行えるようになる。

馬は愛玩犬などとは違い、広い敷地で育ててやる必要のある大型の動物である。そのため彼らを常に管理下へ置いておくことは難しく、時として人目のつきにくいエリアをも含んだ場所ですくすくと育ててやることも必要になる。

ただそうなると、いくら私有地の敷地内とはいえ馬の怪我のリスク大きく跳ね上がってしまう。調査によると、そもそも多くの馬は1日のうち20時間を人目の届かない場所で活動しており、毎年4割もの馬が人目のつかないところで怪我をするという。また、仮に馬が怪我をした場合も、いつその馬が怪我を負い、なぜそのような怪我が起こったのかという原因の追究も困難であるというデータが存在し、馬をリアルタイムで管理することの重要性が前々から存在していたことは明白だ。

馬の様子をIoTで遠くからでも確認「HoofStep」

また、怪我をしてしまった場合の治療費は決して安いものではなく、仮に怪我をした馬が競走馬などであればその選手生命を失ってしまいかねない。馬の怪我を未然に防いだり、少しでも早く治療してやれるよう準備をしておくことはそう行った面でも重要なのだ。

そこで誕生したのがHoofStepである。このデバイスは馬の頭に装着し、常に馬の生体情報をAIによって管理してくれ、バッテリーも3週間ほど充電せずに連続で使用することができるため、馬のようなアクティブな動物にも適したプロダクトである。

肉眼よりも正確なHoofStepの管理システム

HoofStepはまず、それを装着している馬の居場所をいつでもリアルタイムで確認することができる。これによってたとえ肉眼で馬の姿を確認できなくとも常にその居場所をトラッキングすることができるため、家の中からでも安心して馬を歩かせておくことができる。

また、HoofStepは場所だけでなく、馬が現在どのような姿勢でいるかも判断することができる。たとえば立っているか、座っているかや、横たわっているかなど、内蔵センサーとAIが自動的にその様子を判断し、リアルタイムでユーザーにその情報を送信してくれる。

あるいはそのような馬の挙動のデータを日頃から収集し、馬ごとの行動パターンをAIが学習することで、異常行動を馬がとった時にアラート通知がユーザーへと送られるよう設計されている。

馬の居場所だけでなく、その時の一挙一動をトラッキングすることで、肉眼以上に正確な馬の状態を24時間把握しておくことができるだろう。

スマートフォンのアプリ上では現在の馬の様子を確認できるだけでなく、統計情報なども記録されている。馬の毎日の運動量や行動パターンなど、個体ごとのヘルスチェックや正確診断にも活用できるのがHoofStepの優れたポイントの一つである。

馬の様子をIoTで遠くからでも確認「HoofStep」

あるいは専用のチャットサービスで、毎日の馬の様子についての意見交換をユーザー同士も行えるようだ。

HoofStepは現在Kickstarterで出資者を募集しており、一台当たり1万3千円程度で購入が可能だ。アプリサービスはサブスクリプション形式で展開が予定されており、スターターキットには半年分のライセンスが付与されている。