財布に優しく空気の状態をIoTでモニタリング「AurAir」
清潔な水や食事はお金で購入することはできても、空気は周辺環境に大きく依存するため、お金で解決することは難しい。また、空気は目に見えない環境要因でもあるため、空気汚染についての知識を理解していても、実際の対策が遅れてしまうことも少なくない。空気の状態は目に見えず、少しづつ変化していくため、身体の不調を察知しても空気が原因であるということに気づくのには遅れてしまいがちなものだ。
空気の状態をすぐに改善することは難しくとも、普段生活している空間の空気の衛生状態を普段からモニタリングし、悪化が見られた時に可視化して察知することができれば、体に症状が現れたり、悪化してしまう前に対処することも可能になる。「AurAir」はそんな空気の状態をリーズナブルに監視し、それでいてスマートフォンで簡単に確認できるようデザインされたIoTモニタリングシステムとなっている。
湿度とCO2の管理の重要性
空気の状態を確認する上で最も重要となるのが、二酸化炭素濃度と湿度である。二酸化炭素は人間が呼吸を行う時に、酸素を吸い込む代わりに放出される空気中の成分の一つであるが、室内で多くの人間が密閉状態で呼吸を続けていると、目には見えないものの徐々に二酸化炭素濃度が濃くなっていき、酸素が少なくなってしまうことで集中力の低下や免疫力の低下を招いてしまいかねない。
また、湿度の低下も時期によっては深刻な問題である。日本は夏場こそ高温多湿なため、湿度の低下に悩むことはないものの、冬場は乾燥した気候になるため、十分な湿度を確保できない場合が多い。
湿度は常に50%前後が最適であるとされているが、冬場の湿度は20%程度にまで低下する。乾燥していると体に細菌が付着し、体内まで容易に侵入してしまうために風邪をひいてしまいやすくなるものだが、部屋の温度と湿度を最適な状態にまで高めてやることで、このようなリスクを大きく低下させることも可能となる。
AurAirはそのような空気の状態管理に大きな役割を果たしてくれる。センサーを自分が必要だと感じている部屋、例えば家ではリビングやベッドルーム、書斎など、生活の中で滞在時間の長い部屋に設置し、一目でそれぞれの部屋の湿度と二酸化炭素濃度を確認することができる。
センサーの取り付けは各部屋のコンセントに差し込む形で行うことができ、取り付けに特別な工具や、スキルは必要ない。必要に応じていつでも付け替えを行うことが可能だ。取り付けた後は、各数値がデジタル数字でセンサーの表面にあるモニターに表示される。表示は明瞭で、近くで目を凝らして見る必要もないだろう。
またコンセントに取り付けるといっても穴を一つ丸ごと占有してしまうことはなく、AurAirをコンセントに差し込みながら、別の家電製品などを同じ穴で接続することも可能だ。
外部デバイスとの接続でIoT化も
AurAirはセンサーに直接表示されている数値だけでなく、専用のスマートフォン向けアプリケーションを通じて過去24時間のデータを確認することができる。データはグラフ化され、湿度と二酸化炭素濃度の変化の推移を一目で理解できる。空気の状態の変化は毎日見ていなければ気がつかないもので、まして一つ一つのモニターをセンサーのところまで行って確認することは難しい。
センサーを一括してスマートフォン上で確認できる機能は、健康意識の向上にも大きく役に立つことだろう。
スマートフォン以外にも、タブレットやデスクトップといった、自分にとって都合の良いデバイスから常時グラフを確認することができる。オフィスなどで大量のセンサーの情報を確認する場合は、デスクトップの大画面などから管理するのが良いだろう。
センサーをインターネットに接続し、好きなデバイスから確認できるIoT化は、スマートホーム化の進む現代に最適なセンサーとして活躍してくれることになりそうだ。
AurAirは現在Kickstarterで出資者を募集しており、1万5千円程度の出資で一台を購入することができる。AurAirはヨーロッパ初のプロダクトで、コンセントの形が日本のものとは異なるため日本での導入は難しいが、多くの出資者が現れれば日本向けのモデルも発売されるかもしれない。