心の健康はアプリで守ろう「ABLmind」
心の健康は身体の健康とは異なり、目に見えない分その状態を自覚的に確認することは難しい。また他人から見てもその判別はつきにくいため、メンタルヘルスに関しては自覚的に対処できるすべを身につけておく必要があると言えるだろう。
「ABLmind」はそんなメンタルヘルスの自己管理を適切に行うため、心の病の早期予防や再発防止のために誕生したスマートフォン向けアプリケーションである。
悪循環を抑えるために
メンタルヘルスを考える上で、開発チームは重要なコンセプトとして「メンタルイルネスの回転ドア(Mental Illness Revolving Door)」を提示している。これは心の病を一度患ったことのある人の心理的な変化を四つのフェーズに分けて説明するもので、それぞれのフェーズをたどることで一種の循環が生じているという。
一つ目はマネジメントフェーズである。この段階においてはケアに当たっていた医療チームの指示に従い、患者はうまく治療を進めているものの、再び彼らを苦しませていた症状が表面化し、それに悩まされてしまいかねない段階だ。
二つ目に予防フェーズで、これは患者が再発する症状に悩まされたり、症状そのものが悪化していってしまう段階である。この時点で患者へは何らかの大佐j巣が必要であるはずなのだが、予防する手段を持ち合わせていないケースは多い。
三つ目に再発フェーズである。症状がさらに悪化し、個人の力ではどうすることもできず、専門家の手助けを借りる必要がある状態だ。
最後の四つ目に回復フェーズが差し込まれる。専門家の相談と治療を受け、専門の処方チームによって専用の治療プランを構築し、快方へ向かっていくという段階である。
心の病を患ってしまった場合、以上の四つのフェーズを循環して繰り返していくことになるが、ABLmindはこの悪循環繰り返さないよう手助けしてくれる機能を備える。
ABLmindがまず提供するのは、マネジメントフェーズにおける患者の自発的な治療への取り組みを促進する働きだ。処方された治療プランに従うことができるようABLmindはユーザーフレンドリーに対応し、うまく治療を進められるよう促す。
またABLmindはユーザーの精神状態をリアルタイムでモニタリングし、仮に本人の状態に何らかのトラブルを確認した場合、かかりつけの医療チームや周りの家族へと警告を行なってくれる。周りの目からはわかりにくい心の病だからこそ、アプリケーションのモニタリングシステムで管理することが家族への安心にもつながるのである。
アプリ利用で自律的な治療を促進
ABLmindがフォーカスを置いているのは、上にあげた回転ドア式のフェーズを進ませないことにある。できる限りマネジメントや予防の段階で患者が自発的に問題を対処できるようサポートするのがこのアプリの大きな特徴だ。
ABLmindがサポートするのは医療関係者ではなく個人である。一人で大きな病気と立ち向かうことは困難を極めるが、アプリケーションなどでサポートを受けられることができれば、その難易度は大きく減少する。ABLmindの利用方法もシンプルで、普段からスマートフォンを利用している患者にとってはアプリの利用方法に困ってしまう心配もないだろう。
ABLmindの利用で得られる効果としては、例えば誤った治療プランを進めてしまうことを防いだり、治療を途中でやめてしまうことを防いでくれるといったものが挙げられる。なんども専門家の治療を受けることで治療費が高額になってしまう心配も防ぐことができ、結果的に低額での治療を行うことにもつながるはずだ。
自己管理ができない患者として病院に入院させられてしまったり、重症患者向けの精神病院などに隔離されるリスクも低下させることが可能だ。
スマートフォンだけでなく、ABLmindはApple Watchなどのスマートフォンへの対応も検討されている、スマートフォン以上に肌身離さず身に着けているスマートウォッチに対応すれば、より高い再発予防効果が期待できるだろう。
ABLmindは現在Kickstarterで出資を募っており、5ドルからの寄付で開発を支援することが可能だ。