車に置き去りの子供の安全を守るために「PAYTON's Charm」
自動車の中は室内となっているため安全な空間であると思われがちだが、時期や環境によっては非常に危険な密室空間となってしまうこともある。
特に夏場は直射日光にさらされている場合、いとも簡単に車内の気温は上昇し、少し目を離したすきに中にいた人が死んでしまったというケースは決して少なくない。
特に子供や体が不自由な老人、ペットなどを車内で放置してしまっていたことによる死亡事故は毎年かなりの数が発生しており、少しの油断が命取りとなってしまっていることがうかがえる。
「ついうっかり」で死なせてしまわないためには車内に誰かを置き去りにしないことが重要だが、現在の車内の状態を把握することも大切である。「PAYTON's Charm」はそんな車内事故防止のため、常に車の中の環境を把握し、危険な状態になると通知でドライバーにそのことを伝えてくれるセンサーとなっている。
増加傾向にある車内の熱中症
現代の夏場の気温は非常に危険なものがあり、世界各国で毎年ニュースとして車内事故の話題が取り上げられている。例えば自動車が生活には欠かせないアメリカでは、平均して毎年38人の子供が車内での気温上昇によって命を落としているという。
そしてこの数字は年々上昇しており、2018年に至っては48もの尊い命が車内事故によって失われてしまっている。
これはあくまでも子供だけの数字で、体が不自由なお年寄りや障害者、ペットなどの数も含めるとさらにその数は多くなる。
また、車内に子供を放置しておくことは国によっては刑法に問われる場合もあるが、それでもこのような事故は無くなっていない。
このような事故はもちろん日本も例外ではなく、アメリカと同様の対応が求められる。日本は特に夏場の気温と湿度の上昇が著しく、車内での放置は命に関わることは変わらない。最近は室内での熱中症による死亡事故も増えてきているが、それが車の中となればより事故のリスクは高まってしまうだろう。
すぐに緊急事態を察知し、伝えてくれるデバイス
PAYTON's Charmはこのような事故を直接防いでくれる訳ではないが、アクシデントにつながるリスクを大きく軽減してくれるのがこのプロダクトである。内部には車内の気温と二酸化炭素濃度を測定するセンサーが内蔵されており、独自に開発されたアルゴリズムによって車の中の生命反応を探知してくれる。
同時に車内の気温などからリアルタイムでの環境も探知し、万が一車内が危険な状態になるとアラートを発するように設計されている。
PAYTON's Charm内部のセルラー機能からドライバーへテキストメッセージが送られ、車内の危険を迅速に伝えてくれる。その後ドライバーが携帯を見ていなかったケースも想定し、第二の連絡先にも通知が送られる。
これらのアラート機能はメッセージ受信者が返信を送ることで解除されるが、一定時間の間に両者からメッセージが得られなければ、PAYTON's Charmはエマージジェンシーコールとして直接大音量でアラートを発信し、周りの人たちへ助けを促すよう設計されている。
PAYTON's Charmの機能は自動でオンとオフを切り替えるため、ドライバーが何か操作を加える必要はない。PAYTON's Charmは車が走行中であることや停車中であることは自ら認識することができるため、駐車の際にスイッチを入れ忘れてしまったことで機能を果たさなかったという心配もない。
PAYTON's Charmを車においておくだけで、期待通りの役割を果たしてくれる手軽さも、アクシデントを避けるための工夫の一環である。
また、普段の消費電力もごく少ないため、乗車の前に充電さえしておけば、駐車している間にバッテリーが切れてしまったことで機能しないという心配もない。目を離した隙をきちんとカバーしてくれるのがPAYTON's Charmの最大のメリットだ。
PAYTON's Charmは現在Kickstarterで出資者を募っており、一台当たり200ドルで注文することができる。PAYTON's Charmはセルラー通信を用いるという都合もあってかアメリカ合衆国のみでの販売となっているため、日本からの注文には対応していない。
熱中症による車内事故は温暖化によって平均気温が上昇すれば、今後もさらに増加していくと見られる看過できないアクシデントの一つである。「まさか起きるとは」という一瞬の隙が招く事故である以上、こういった機器はあらゆる車に標準装備されていてもおかしくない時代も近いだろう。