カナダの環境保全プロジェクトを支援「Coastal Pollution Mapper」

環境問題といえば経済成長が著しい途上国における公害や、先進国での排ガス問題やエネルギー問題などに目を向けられがちだが、公害問題が持ち上がらない国における取り組みも注目に値するものがある。
いわゆるヨーロッパ各国やカナダのような国では環境問題への取り組みが進んでいると言われるが、単にもともと公害が発生するような土壌がなかったということや政府による取り組みだけで環境問題を解決してきたわけではない。

むしろ、国民一人一人の環境対策に対する意識の高さが実を結んだ結果ともいえ、日本からではなかなか注目されにくい取り組みが日々行われていることは注目に値する。

そしてクラウドファンディングサービスはこのような活動を支援するためにも活用されているが、「Coastal Pollution Mapper」プロジェクトはカナダの海岸線における公害を調べるためのプロジェクトとなっている。

プロジェクトの意義について

豊かな海岸の条件とは、汚染がなく、持続可能な土壌が整い、動物や人間が健康的にその土地で生活できるというものだ。条件としては至極当たり前のことかもしれないが、都市化の進む現代では人間が一時的に生活するには優れているが、動物との共存が不可能であったりサステイナブルである特性を失っているということも少なくない。

環境の保全にはその場所のバランスを維持するための取り組みが重要になるのだが、Coastal Pollution Mapperプロジェクトではバンクーバーのセイリッシュ海岸の汚染状況を定期的に調査し、自ら適切な方法を用いて清掃活動を行い環境保全に役立てるというものになっている。

まずこのプロジェクトにおいて行われるのは、土壌や粘土層の中に含まれている栄養素を含んだ肥料や二酸化炭素の低コストな調査の開発だ。このテストツールが開発されれば、環境保全に予算をかけることのできない小さな自治体であっても、効果的に環境調査を行うことができ、問題解決のための適切な施策を十分に評価することができるようになる。

カナダの環境保全プロジェクトを支援「Coastal Pollution Mapper」

また、汚染被害が集中しやすい地域を詳細に予測するためのアルゴリズムの開発もこのプロジェクトの中で行われる予定だ。このアルゴリズムは土壌の調査結果やドローンによる空中撮影によって得られた低予算で作成可能なマップによって算出することを計画しており、少ない予算でできるだけ多くのデータを入手することが前提となっている。

汚染が起きてしまいやすいホットスポットを海岸線だけでも作ることができれば、今後の公害対策にも大きく役立てることができるというわけだ。また、ホットスポットの発見によって何が原因で汚染が起きているのかという主要因の特定にもつながるため、うまく活用すればその地域での公害の発生を完全になくしてしまうことも夢ではない。

将来的には誰にでも使えるアウトプットを提供

そしてこのプロジェクトでは、ここで生まれたアルゴリズムや算出されたデータを誰にでも使えるようにすることが目的となっている。一人でも多くの人に独自に開発したアルゴリズムを応用してもらうことで、カナダ国内だけでなく、世界中の環境保全にも役立てることができるようになるだろう。

そのためにはまず正確なデータを取得できる環境を用意し、実際に詳細な調査を行うことが重要にもなっている。信用に足るデータからアルゴリズムを生成することで、多くの人にとって利用価値があると信じてもらうことができるためだ。

プロジェクトにおける取り組みはカナダ以外の地域においても活用の可能性が見られ、都心部での河川や海岸線での地理データと比較することで直接的な評価作業への影響を与えることが可能にもなると予測している。

カナダは魚や貝などの海産物も名産で、地域の漁業は伝統的な事業として古くから続けてきたが、このような調査はこれらの事業保全にも役立つことになるだろう。環境保全は単なる自然保護だけでなく、雇用を維持し、伝統的な文化を保全するのにも役立つのである。
カナダの環境保全プロジェクトを支援「Coastal Pollution Mapper」
特に日本のように海や川が国土に多く含まれる国においてはこのプロジェクトのアウトプットが役立つことになるだろう。プロジェクトそのものはカナダ国内で行われるが、その結果は日本の環境保全や河川調査にも大いに役立つことが期待できる。

Coastal Pollution MapperはKickstarter上でプロジェクト支援を呼びかけており、小学からの寄付も行うことが可能だ。