パワフルなユーロラックモジュラーシンセ「Percussa」

弦楽器や吹奏楽器とは違い、電気の力で音を発生させる楽器はシンセサイザーと称されるが、今やこのタイプの楽器で演奏される音楽は日常的に聴かれるようになった。


シンセサイザーは機械であるため、そのほかのマシーンと同様、時代に応じてアップデートなどが定期的に施されるし、全く新しいモデルも数多く登場してきた。

最初のシンセサイザーが誕生してすでに半世紀以上の月日がたったものの、いまだに新製品の開発は続けられており、これからもアップデートを続けていくだろう。

「Percussa」はそんな機械楽器の一つであるモジュラーシンセサイザーの仲間で、現代的なパワフルな性能を発揮していくれるのが大きな特徴となっている。



パワフルなユーロラックモジュラーシンセ「Percussa」


複雑なモジュラーシンセをシンプルでパワフルに

モジュラーシンセサイザーは、音を発するための各要素、いわゆるモジュールが別個に用意されており、それぞれを独自に組み合わせていくことで音を出すという仕組みになっている。

そのため取扱いは通常のシンセサイザーと比べて複雑で、自在に扱えるようになるためには時間を要するものの、一度使い方を覚えられれば音作りの多様性は随一である。

Percussaはモジュラーシンセサイザーにおけるユーロラック規格を意識して構成されている。ユーロラック規格はドイプファーというメーカーが提唱しているモジュラーシンセサイザーの規格の一つで、本来はこのメーカーのシンセサイザーの製品を総称するものとして使われてきたが、今では他社メーカーでもユーロラックを意識して作られたモデルをこういった呼び方で扱われることも多い。


パワフルなユーロラックモジュラーシンセ「Percussa」


Percussaは高速のARMプロセッサ、1.8GhzのクアッドコアCortex A17に加え、ハイエンドAKMオーディオコンバータがサンプルレート192kHzで32-bitのレゾリューションを可能にする性能をベースにパワフルなDSPモジュールとして完成している。

デモビデオでは、以下のような機能を確認することができる。

・3モーフィング、ADSRエンベロープ、入力モジュレーション、MIDIモジュール、そしてバスモジュールを搭載したウェーブテーブルオシレーターからなるそれぞれの音声がMIDIを経由して8音のシンセパッチがコントロールできている様子。

・入力モジュレーション付属のグラニュラーパッチ、およびディレイとリバーブプロセッサーがアウトプットモジュールの直で作動している様子。

https://vimeo.com/301930425

https://vimeo.com/301900006

十分にパワフルなPercussaだが、これだけのクオリティを実現しているのはより高価で洗練されたDSPアルゴリズムを導入し、より高いサンプルレートで駆動させるだけでなく、DSPアルゴリズムを並列で動かし、より多くの音声とチャンネルを使用可能にしていることが理由だ。

高性能なパーツを導入したことで、Percussaは小さなサイズでありながら質の高いユーロラック規格を再現することに成功したのである。

扱いやすいデザイン性にも注目

また、Percussaはその利用方法も実にシンプルだ。Percussaには初めから50種類のモジュラーシンセがあらかじめローディングされており、ユーザーは簡単にパワフルなサウンドを生成することができる。

モジュラーシンセパッチはボタン操作で簡単に切り替えることができ、モジュールのパラメーターはパラメーターページから変更も可能だ。

パラメーターの変更は本体に記憶され、いつでも好きな設定を呼び出すこともできる。モジュールのミュート・ミュート解除はパッチ機能として標準装備されており、トグル設定によりモジュール間の内部ルーチンは自由に変更が可能となっている。

従来のモジュラーシンセでは考えられないユーザーインターフェイスのわかりやすさも魅力の一つだ。現在の設定をダイヤルだけでなくビジュアルでわかりやすく画面に表示されるので、設定ミスの心配もない。


パワフルなユーロラックモジュラーシンセ「Percussa」


通常のシンセサイザー同様、その他機器との接続環境も充実している。USB MIDIコントローラー、およびUSBフラッシュドライブに対応するUSBホストポートを二つ備えており、デベロッパー向けUSBイーサネットアダプターも付属する。

本体ストレージは4GBフラッシュ、2GB RAMとなっている。

Percussaは現在Kickstarterで注文を受け付けており、プロダクションユニットは1セットあたり549ドルで購入することができる。発送は世界各国に対応しており、2019年の6月に随時行われる予定だ。