バイオテクノロジーの研究をより効率的に進めるために「ProPCR」

地球上に存在する人類の数は、これまでに類を見ないほどの増加を続けている。現在70億人もの人口が存在すると言われているが、世界人口が100億人を超える時期はそう遠くないうちに訪れるはずだ。


そのような社会の中、私たちが健康的な生活を送るために研究が進められているのがバイオテクノロジー分野である。近年では特に注目の集まっている分野であるバイオテクノロジーだが、その理由は急激な人口増加による地球環境の変化に対応するためである。

一般に、特定の種が異常な増加を続けた場合、動物や植物の世界では自然淘汰が行われ、環境のキャパシティに応じた正常な数へと戻るようデザインされているという話がある。

これは客観的に自然を眺める立場であれば納得のいく話ではあるが、仮に人口増加もまた異常な増加であるとすれば、これは聞き捨てならない人類の危機であると言えるだろう。

水質汚染や森林の破壊は間違いなく人間の引き起こす公害だが、なぜそのような問題が発生するかというと、元をたどれば人口の増加による農業需要の増加や、都市の工業化などが主な要因であるとも考えられる。

人間はある意味で人口を適正な人数に調整するため自ら公害を引き起こしていえるが、それでもバイオテクノロジーによる解決を考えるのが人間的な振る舞いというものだ。

「ProPCR」はそんな自然環境の問題を解決すべく、少しでも多くの人にとって研究を効率よく進めるために誕生した実験器具の一つだ。

バイオテクノロジーを躍進させてきたPCR

ポリメラーゼ連鎖反応、通称PCRは、分子生物学の中ではポピュラーな技術の一つである。1983年のツールとして開発されて以降、分子生物学研究においては不可欠の存在となり、あらゆる分野において活躍している。

PCRが優れているのは、その作業効率の優秀さである。1分子のDNAからおよそ数百万個のコピーを短時間で生み出すことができるのは現状PCR以外ではあり得ず、現在も改良を加えて各分野で活躍する。

ただ欠点として、PCR法を活用するための機器は高額であるという点が挙げられる。一般的なモデルであれば一台当たり数千ドルすることは珍しくなく、これは途上国での研究となるとそうそう購入できるものではない。

バイオテクノロジーを必要とする現場はたいていの場合先進国ではなく途上国であることが多く、経済的な問題から十分な研究が行えないということは珍しくない。

バイオテクノロジーの研究をより効率的に進めるために「ProPCR」


そこで誕生したのが「ProPCR」だ。この機器は世界でも類を見ない安価なモデルとしてデザインされ、より多くの研究者にPCRを活用してもらうことが目的となっている。

誰にでも使える機器を目指したデザイン

価格は一般的なも出るの10分の1程度に収まっているだけでなく、機器の小型化により使い勝手の面でも大幅に向上している。

同時に、ProPCRはWifiに常時接続されているため、手持ちのスマートフォンから現在の稼働状況をチェックすることも可能だ。

このようにProPCRは、スマートフォンのような外部の機器に一部システムの動作を委託してしまうことで、本体のコストダウンや小型化に成功し、より多くの人にPCRを活用してもらうことができるようスリム化されたのである。

バイオテクノロジーの研究をより効率的に進めるために「ProPCR」


スマートフォンはあらゆる地域の人々が一人一台は所有している驚くべき普及率を誇る高性能コンピュータである。コストダウンを考える上で、スマートフォンを使わないという選択肢はないだろう。

またWifiネットワークに接続することで、ProPCRはそれぞれをお互いに接続し、スマートフォンから操作することで一括管理を行うこともできる。必要に応じてProPCRを買い足すなど、経済的に機器を取り扱えるデザインは大きなメリットとなるだろう。

スマートフォン上で操作する専用インターフェイスも使いやすいものとなっている。特別なソフトウェアやアプリケーションを用意する必要はなく、どのwebブラウザでも気軽にアクセスし、使用することができる。

インターフェイスはレスポンシブデザインを採用しており、デスクトップからのアクセスだけでなく、スマートフォンやタブレットからのアクセスでもストレスを感じることはないだろう。

ProPCRは現在Kickstarterで注文を受け付けており、375ドル以上の出資で一台購入する子ことができる。今回は試験的な販売ということもあり販売個数は限定されているが、今後大きく普及することになれば、大量生産が可能となり、一台当たりのコストダウンもさらに進むことが予想される。