創造性を損なわない感覚的な入力が可能になるデバイス「orbital2」

多くのデザイナーにとって、感覚的な入力が行える作業環境はまさに究極に近い現場であると言えるでしょう。どれだけ頭の中がイマジネーションにあふれていても、感覚的なアウトプットが行えなければ、その煩わしく機械的な操作によって、感性が阻害されてしまうこともあるためです。


特にPCでのアウトプット作業では、多くの分野においてキーボード入力が足かせになっていたシーンは少なくない。マウスとキーボードというツールは確かに汎用性には優れているが、専門的な挙動を求める場合には時として混乱をもたらしてしまうこともあるほどだ。

そのようなクリエイティブな環境で作業を行う人々に向けて、「orbital2」は日本で誕生したジョイスティックタイプの入力デバイスとなっており、あらゆるツールの操作に対応した画期的なプロダクトである。

キーボード入力の不便なところは、感覚的な操作性に乏しいところである。コマンドを入力することでショートカットを表示するか、あるいはマウス操作によってツールを引き出す必要があるので、プログラミングや文字を入力するとき以外にはあまり有益ではないのが現状だ。

そこで誕生したorbital2は、ジョイスティックの倒す・回す・押すといった動作によってツールやコマンドを入力することを可能にしたデバイスだ。

感覚的操作で負担を軽減

クリエイティブソフトに合わせてこの三つの動作を組み合わせることで、あらゆる挙動を実現することが可能になり、マウスやペンタブのパートナーとして大きく活躍することが期待できる。

例えばジョイスティックを傾けることにより、キーボードショートカットを表示させることができる。そして傾けたままスティックを回転させることでコマンドを選択し、クリックによってコマンドを機能できる。

また、ショートカットメニューからキャンバスの回転といった回転動作を必要とするコマンドを選ぶと、orbital2のダイヤルを回転することでその角度を調整することができる。これまでこのような回転の動きもマウスやキーボードなどによって何となく行っていたものだが、orbital2によって限りなく繊細な調整が行えるようになった。

創造性を損なわない感覚的な入力が可能になるデバイス「orbital2」


また、ショートカットキーを多用するクリエイターにとって、この点のストレスを排除することは非常に重要な課題であった。

Ctrlを用いた入力は、クリエイターによっては一時間に1000回前後入力することもあるほどで、これは通常のPCユーザーでは考えられない頻度であるため、明らかに改善の余地が存在する。

orbital2ではこのような実情を踏まえ、キーボード入力の際に発生する負荷を極限まで削減するため、握りこむような持ち方が可能になる形状が採用されることになった。超良いホールド感を維持しながらショートカットコマンドを入力できるようになるので、肩こりや腱鞘炎、腰痛といった、デスクワークの際に起こりがちなトラブルのリスクを軽減できる。

簡単操作と多彩な能力

ジョイスティックで倒す・回す・押すという操作が可能になるだけで、他にも多くの機能を実現することになった。

例えば単独でのキー入力を可能とするキーストローク機能や、アプリケーションの中でよく使う操作をあらかじめ記憶させ、ワンアクションで任意のタイミングでそれを起動できるプログラムマクロ、テキスト入力を記録させておき、ショートカットからテキストを呼び出して入力するテキストショートカットなど、できることは非常に多い。

創造性を損なわない感覚的な入力が可能になるデバイス「orbital2」


また、マウスと併用して活用できるだけでなく、右クリックや左クリック、ホイール入力をサポートするマウス機能も搭載しているので、マウスのような操作性で使用できる点も大きい。

対応するクリエイティブソフトの数も多く、IllustratorやPhotoshop、aftereffectやLightroomなど、Adobe製品には全て対応している。そのほかのポピュラーなクリエイティブソフトにも多数対応しているため、多くのクリエイターがこのデバイスを有意義に活用することが可能となるだろう。

導入方法も非常にシンプルだ。orbital2をUSBコードでPCに接続し、ソフトウェア・ハードウェアをインストールするだけですぐに使用できるようになるのである。

orbital2は現在Kickstarterで注文を受け付けており、一台あたり3万4千円で購入することができる。この価格に関しては開発チームもリスクであると受け止めており、小型でありながら高額になってしまっていることに対しては改善の余地があると考えている。

しかしながら小型で高性能を維持するためにはこの価格もいた仕方ない側面もあり、しばらくはこの価格で販売されると考えるべきだろう。