ワンタッチで使える食品用IoT真空パック「Silo」

古来より食品の保存方法には様々な工夫が用いられてきたが、今最も有効な保存方法として考えられているのが真空状態での保管だ。


食品が傷んでしまったり、新鮮な状態から風味が変化してしまう最も大きな要因が、空気である。空気中の細菌が食品に付着し、作用することでその色合いなどを悪くしてしまう。

そのためそういった細菌も含めた、ほとんどの生物が活動できない真空状態の中で食品を保存することで、ただ冷蔵庫で保管するなどよりもはるかに高い保存状態を維持することができるのだ。
ただ、従来の技術では真空状態を家庭で手軽に作り出すというのは難しく、規模の大きな食品工場などでなければ実現することはなかった。

しかしながら今回ニューヨークで誕生した「Silo」は、家庭用の真空パックをワンタッチで可能にするIoT機器として家庭の食品事情を支えてくれる。

家庭で手軽に使える真空パック

私たちが普段食品を保存するために活用するのは、冷蔵庫や密閉容器、サランラップなどである。
冷蔵庫や冷凍庫は低い温度の環境に置くことで細菌の増殖を防ぐために使われ、密閉容器なども空気に触れる面積を減らすことで、少しでも食品の変化を遅らそうということだ。

しかしながら、これらの手法ではどれだけ密閉しても隙間から空気が入ったり、密閉した際に入り込んでいた空気が食品に影響を与え、少しづつ変化させてしまう。

Siloはそのような食品衛生の心配を解消してくれる、画期的な家庭用機器だ。専用の密閉容器に対応した瞬間真空密閉システムを使用することで、容器に入れられる食品はこれまでよりもはるかに長期の間フレッシュな状態を維持することができる。

このシステムを可能にするのは、特許取得済みの技術であるIoT対応ワンタッチ真空テクノロジーだ。

誰でも簡単に真空パックを行えるようにするこの技術は、従来の2倍から5倍の期間の保存を可能にしてくれる。

ワンタッチで使える食品用IoT真空パック「Silo」


例えば調理済みの鶏肉は通常3~5日が安全な保管期限であり、それを過ぎると傷みも現れる可能性がある。一方Siloを用いて真空状態で保管すると、およそ10日感は鮮度の良い状態をキープできる。

香りが重要なコーヒー豆も通常は1~3ヶ月での消費が良いとされているが、Siloの中に保管しておくことで1年間は鮮度の高いコーヒーを淹れることができるだろう。

Siloの真空容器で保管できるものは多岐にわたる。生鮮食品や調理済みの料理、お菓子など、腐りやすいものだけでなく風味が落ちやすいものもSIloを用いて保管することで、長期間の保存が可能となる。

また、容器のサイズにはS・M・Lの他に縦長のものとそうでないものといったものもあり、用途に応じての使い分けが行いやすい。どのような食品にも対応することができる。

一家に一台のスマートスピーカーとしての役割も

Siloの扱いは利便性が高く、ワンタッチで真空状態にすることができるだけでなく、真空にした容器をタグ付けすることもできる。

SiloにはAmazonの提供するAIであるAlexaが搭載されているので、ボイスコントロールが可能だ。そのため真空にする際その容器に入っているものを記憶させることができる。

ワンタッチで使える食品用IoT真空パック「Silo」


これにより、保管した食品がいつパッキングされ、いつまで保管することができるかなどは、すべてAlexaが判断してくれる。Alexaにその食品がいつまで食べられるかを尋ねれば、わざわざ付箋などで日付を記録せずとも容易に確認することができるだろう。

また、Siloはリビングやキッチンで使用されることを想定され、Alexxaを通じて様々な機能を利用することができる。レシピを記憶させることもできれば、好きな音楽をかけてもらうこともできる。SiloはいわゆるAIスピーカーとしても活躍してくれるのだ。

また、専用のスマートフォン向けアプリケーションを利用することで、よりSiloを効果的に運用できる。

保存している食品のトラッキングやストレージ状況の確認など、詳細な情報をデータ化して確認したい際は有効だろう。

Siloは現在Kickstarterで注文を受け付けており、ベーシックセットは175ドルで販売されている。この価格はセットに付属するボックスの数に応じて異なり、より多くの容器を求める場合には上位のバンドルパックを利用可能だ。

食品の状態をきちんと確認し、長期間保存できる仕組みを整えることは、食品の大量廃棄の問題を解決する上でも重要だ。

世界の食品の3分の1は食べられずに廃棄され、特に野菜や果物の半分近くは捨てられてしまうというデータも存在する。

これはレストランなどの飲食業だけの問題だけでなく、家庭から出る食品ごみも同様である。食べ物を食べずに捨ててしまうことの原因は、家庭で長い間食べずに保管してしまったことで発生する。

しっかりと買ったものを食べる食べにも、いつその食べ物を購入し、いつまで食べられるかをわかりやすくしておくことは、地球環境を救うだけでなく、無駄に家計を圧迫することも削減してくれるだろう。