誰でも手軽に高スペックPCを使える時代に「OWARE」
しかし毎年性能が向上していくとはいえ、コンピューターは一般人がそうそう買い換えられるものではない。民間用のパソコンの耐用年数は大体5年前後となっているため、高価な電子機器きを早々に買い換えてしまうのはいささか勿体無いのである。
とはいえ、必要に応じて新しいスペックのコンピューターを入手できればそれに越したことはないし、可能であれば用途に応じて異なるパソコンを使用できるよう所有する事ができれば、それほど便利なこともないだろう。
また、現代のコンピューティングはハードが小型であることも求められる。小さければそのぶん消費電力も少なく、部屋のスペースを取ることもないからだ。
そこで活用したいのがクラウドコンピューティングの技術である。ポピュラーなのはアプリケーションをクラウド経由で利用するタイプのものだが、昨今ではクラウドブックを用いたストリーミングによるコンピューティングにも注目が集まっている。
今回紹介する「OWARE」は、そんなクラウドブックをより高性能かつ誰にでも扱えるようにという思いから誕生したプロジェクトである。
次世代のPCのあり方を支えるクラウド
クラウドブックによるコンピューティングは、すなわちハードウェアをアウトソーシング化してしまうことにより可能となったテクノロジーである。
通常、家庭用としてコンピューターを操作するためには、GPUなどが本体に組み込まれ、OSもインストールされている事が必要となる。そしてその捜査官はハードウェアの性能に依存し、使用していくほどに劣化が進み、そのうち買い替えが必要となるのだ。
しかしながらクラウドブックの場合、OSやその他ハード部分をアウトソーシング化、つまりラップトップ外のサーバーにセットし、クラウドによってストリーミングでそれらを操作できるよう設計する事で、クラウドブックユーザーは高価なハードを購入せずとも自由に高スペックのコンピューターを扱えるようになるというものだ。
OSも外部サーバーに組み込んでしまうことにより、そこへ接続するためのPCは必要最低限のスペックを備えて入れば問題ない。例えば最新のゲーム機をプレイするためにはグラフィックボードやCPUは最新のモデルを備えている事が求められるが、クラウドブックによるストリーミングコンピューティングによって、低スペックのパソコンでもインターネット経由で遊べてしまうのである。
OWAREはそのような環境をリーズナブルに提供し、手軽に高スペック環境に触れられるコンピューティングを実現するプロジェクトである。
OWARE実現までのプロセス
第一段階として、オリジナルのストリーミング用OSを開発するところから始める。Linuxをベースとしたプロトタイプはすでに完成しており、どのようなPCでも手軽にインストールできるよう改良を重ねていく予定だ。
OSはストリーミング接続専用のインターフェースを備え、シンプルで使いやすいものをイメージしている。ウィルス感染などの心配はなく、ワンタッチでリモート操作できる使い勝手も魅力だ。
続いて専用のクラウドブックの開発である。クラウドコンピューティングであれば必要なスペックは最低限で良いのだが、ストリーミングを行うために必要なのは、インターネット接続に最適化しているモデルだ。
スリムで汎用性があり、インターネット接続にフォーカスを置いたモデルの開発がOWAREに求められている。
第三段階にサーバーの開発である。高スペックなコンピューターとOSを提供するためには強力なサーバーを構築する必要があり、専用クラウドブックとの親和性を高めたモデルとすることを基準に開発が進められる。
サーバー構築には多額の資金がかかり、ベンチャーキャピタルによる資本の投下も求められる。まずは一つ設置することを目標とし、徐々にネットワークを構築していくというプランとなっている。
OWAREは現在Kickstarterで出資者を募っており、少額の寄付でプロジェクトを支えて欲しいとしている。
今はまだ現物を手に入れられる段階ではないが、出資金に応じてマウスパッドなどのささやかな贈り物が贈呈される予定だ。