世界最小のArduino対応328PBマイコン「Pico」

複雑な電子工作を最も手っ取り早く理解するためには、自らプロジェクトを立ち上げて1日でも早くそれを完成させるべく腐心することが重要である。


工作のようにクリエイティビティを試されるスキルは、自ら手を動かし、参考書はほどほどにしておくのが一番なのだ。

そしてそのようにものを作りたいという熱意を支えてくれるのは優れたハードの数々である。昨今では高機能なものが安価で手に入ると同時に、より小さいサイズへと改良されることとなっている。

今回紹介する「Pico」はコイン一枚分の小さなボディであるというサイズながら、Arduino Unoよりも多くの機能と優れたパフォーマンス性能を持ったブレッドボード対応の世界最小高機能マイコンである。



世界最小クラスのマイコン

Pico本体は正方形が採用されており、一辺の長さは2センチ程度と非常に小さい。このサイズは瓶の王冠にも収まってしまうほどで、うっかりすると無くしてしまうほどのものであることは間違いない。

世間一般ではRasberry PiやArduinoといったマイコンが有名だが、それは汎用性とコストパフォーマンスに優れているためである。

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サイズとしてはそこそこ大きいので確かにピンの数や使いやすさも考慮すれば初心者に最適なのはこちらかもしれないが、それでもPicoのように小さなサイズであることにはメリットも大きい。
例えばマイコンそのもののサイズが大きければ、コンパクトなプロダクトを開発することは難しい。どれだけ小さなモニターやセンサーを用意できても、基盤そのものが大きければその小ささを生かすことができず、持て余してしまうことになるだろう。

そこでPicoのように限りなく小さいものを用意しておけば、マイコンが大きすぎて使い物にならないという心配はなくなるだろう。

言うまでもないがPicoはSDカードなどよりも小さいため、カスタマイズによっては多くの可能性を秘めたポテンシャルを持っている。

サイズはできる限り小さいに越したことはないのだが、これまでマイコンがある程度の大きさを誇っていたのは、ピンの出力の問題が生じていたためである。どれだけ小さくともそのパワーを出力するための端子がなければ意味がなく、使い物にならないのである。

Picoはこの点もクリアし、ユーザーアクセシブルなピンをいくつも備えることにより、すでにArduinoを所有している場合はそれらと互換性を持たせることもできる。

小さいからといって機能が独創的になることはなく、従来のマイコンともうまく親和性を維持することによって、使い勝手が悪くならないよう設計されている。

従来のプロダクトとの互換性も備えるPico

新しいプロダクトが常に抱える問題として、従来のユーザーが慣れ親しんだ使い勝手をどれだけ維持するかと言う点である。慣れれば簡単でも、その使い方があまりにも独創的であれば、よほどの理由がない限り多くのユーザーは多少のスペック不足を厭わず従来の方法で満足してしまうものである。

また、従来のやり方が通じないと言うことは、このような電子工作の現場であればまた一からシステムを組み直さなければいけないと言うことで、非常に面倒の多い手続きを強いられてしまうことになる。

世界最小のArduino対応328PBマイコン「Pico」


そのためPicoのように、従来に普及していたプロダクトを踏襲するような形で世の中に発信していく方法が重要なのである。

Picoは出資金額に応じて、様々なリワードが用意されることになっている。すでに解除されているのは通常のプロトシールド、LED マトリックスシールド、D1ミニアダプターの三種類である。

今後7000ポンドの出資金が集まればリポシールドとマイクロSDシールドが解除され、9000ポンドでDCモーターシールドと加速度計シールドが付与される。これらは別売りだが、手頃な価格で手に入れることができそうだ。

Picoそのものは現在Kickstarterで注文を受け付けており、11ポンドで一枚手に入れることができる。また少し大型のタイプであるNanoも12ポンドで一枚購入することができ、別の用途を考えている際には活用したいプロダクトとなっている。