ビギナーからベテランまで扱えるタブレット向けDTM「Wild Loops」
ただ、いきなり音楽を作ると言っても何から始めれば良いのかわからないと悩む人も多い。結局何をすればいいのかわからず、何も手を動かすことのないまま熱意を無駄にしてしまうケースは多くの初心者に当てはまる事態である。
音楽を始める際、楽器を購入して演奏してみるのも確かに始め方の1つであるが、最近増加傾向にあるのはDTMと呼ばれる、コンピューターを用いた音楽制作だ。
これまではデスクトップやラップトップなど、パソコンで制作するのが主流であったのだが、近年ではスマートフォンやタブレットに専用のアプリケーションをダウンロードして制作するという事例も見かけるようになりつつある。
この手法はアマチュアだけでなく、プロフェッショナルの現場でも用いられるほどの利便性と創造性を秘めており、プロにはこれだけで制作をほぼ完成させてしまう人もいるほどだ。
「Wild Loops」もまたタブレット向けのDTMソフトであるが、こちらも初心者からプロまで活用できることを目的に誕生したアプリケーションである。
音楽初心者に共通する悩み
音楽を始めたての頃は、まずどうすれば自分の求めている音が出るのかという悩みがある。好きな音色をまずは出したいために、ギターなどの弦楽器初級者は多くの時間を費やすのである。
一方、ピアノのように鍵盤楽器の場合、音の出し方よりもどうすれば好きなメロディを見つけたり、演奏することができるのかという悩みと戦わなければいけないという問題が起こりやすい。鍵盤であればとりあえずキーを押せば音は出るので、どこを押せばなんの音が出るかを記憶するだけで音色の問題は解決するのだ。
しかしながら音の出し方はわかっても、コード進行などを覚えなければ音楽を作ることはできない。これを覚えるだけでも一苦労なのだが、それに加えてメロディも考えなければいけないということもあり、音楽を初めていきなりやらなければいけないことが多すぎるのだ。
逆に言えば音楽はそれだけ多くのプロセスを経て世の中にリリースされているということでもあるのだが、とは言え初心者に全てを任せてしまうのはやはり大変なハードルとなってしまう。
Wild Loopsはそう言った初心者特有の問題に目をつけて誕生したアプリケーションだ。Wild Loopsは自動的にメロディやコード、ベースラインを生成してくれる機能が大きな特徴となっており、初心者のこなさなければならないプロセスを大きく省略させてくれるのである。
音楽制作は何よりもとっかかりが重要である。1つメロディが決まっていたり、ベースやドラムなどがあらかじめ用意されている、あるいは頭の中で決められたものがあれば、あとはそれに合わせて他のパートも生まれてくるようになるものだ。
高度に構築されたアルゴリズムと充実した機能
ランダムにループを生成するプロセスは、単純に無作為に音を1つ1つ並べているというわけではない。独自に開発を進めてきたスマートなアルゴリズムによって、何百ものハーモニーや音楽を駆使し、パートの自動生成に活用されているのである。
このようなパートを構成するにはサウンドそのものも重要になるが、Wild Loopsの中には多数の音源が収録されている。インスピレーションを刺激するには十分な量となっており、適当に色々と流してみるだけでも大きく制作意欲に影響を与えてくれるだろう。
メロディなどループの生成は、ランダムに行われる。生成ボタンを押しているだけで、好みのメロディが誕生するまで延々と繰り返すことも可能だ。
もちろんランダム生成だけでなく、自作でパートを作ることもできる。各パートはそれぞれあとで統合することができるので、Wild Loopsのみで制作を完結させてしまうことも可能だ。
またサウンドエフェクト機能も充実しているので、メロディに少しアレンジを加えたいという場合に活用することができる。こう言った機能は初心者よりも中級者、あるいはプロ向けの機能とも言え、制作のインスピレーションとなることが期待されて実装されている。
また、Wild Loopsは充実した機能でありながら手軽に持ち運びのできるタブレット専用アプリケーションであることもメリットで、出張先は旅行中でも気軽に取り出しては扱うことのできるDTMだ。ふと思いついた時に手軽に触ることのできるDTMという意味ではスケッチブックのような役割を果たしてくれることになるだろう。
Wild Loopsは現在Kickstarterで注文を受け付けており、1500円程度の出資で6ヶ月間のサブスクリプション利用権を購入することができる。