これからはテニスボール拾いもロボットの仕事に。「Tennibot」
例えば洗濯や掃除など、これらは間違いなく雑用に含まれるだろう。掃除や洗濯に特別なこだわりがあるなら別だが、世の中の多くの人はやりたくてやっているわけではないのではないだろうか。
あるいは趣味の世界でも同じようなことは多数見受けられる。例えばサッカーをするためにサッカー場へ行く手間だったり、日曜大工のための工具や材料を買うコストなど、私たちは本当にやりたいことに没頭できる環境を作るため、多くの時間とお金を費やしているのが現実だ。
趣味や何かのスキルを始めたり、習慣化するためにはこれらの手間がモチベーションに大きく関わっているという話も聞くが、「Tennibot」はテニスプレイヤーにとって大きな負担の解消になる可能性を秘めたロボットとなっている。
趣味における雑用のもたらす弊害
スポーツの中でも球技は特に雑用の多い種目が目立つ。ボールを使うための用具の手入れやボールそのものの管理など、実際に良い環境でプレーするためには多くの手間がかかっているのは球技経験者であればよく理解している話だろう。
中でもボール拾いは非常に手間のかかる雑用の一つで、よくスポーツ系の漫画やドラマでも地位の低いプレーヤーがやらされているシーンを見かけたことがあるだろう。
これがパスケットボールやバレーボールのように、ボールが大きいものであればまだ放置しておける数も限られているのでましなのだが、卓球や野球、テニスとなると非常に手間がかかってくる。
あちこちにボールが散乱してしまい、下手をするとそのまま無くしてしまうということも珍しく無い。
ボールをなくしたままにしておけるほどの余裕があれば良いが、一般的にはすぐには見つからないボールも、見つかるまで探さないといけないということもよくあるため、そのようなことに多くの時間を割いてしまわないといけないのは非常に時間も体力ももったいないものだ。
そんな雑用に一役買ってくれるのがTennibotだ。これはテニス専用のボール拾いロボットで、コートに散乱しているボールを自動的に回収してくれる便利な存在だ。
未来的なデザインと実用的なパフォーマンス
ボール拾いロボットとは都合の良いものができたものだと思われるかもしれないが、事実SF映画で見たような機能を備えたボール拾い専用のロボットが誕生したのである。
挙動やフォルムはルンバのようなデザインとなっており、地面を自動で移動しながら自動的に落ちているボールを検知し、後部に備えているカゴへ自動的に回収していってくれるのである。
使い方もいたって簡単である。Tennibotはちょうど小さなキャリーバッグほどのサイズで、手持ちで持ち歩くことも可能なため、どこのテニスコートにも手軽に持ち込むことができる。
Tennibotをコートに持ち込んだ後は、ネットポスト部分に専用の小型ステーションを設置する。これにより、Tennibotは自動的にそのテニスコートの空間を認識し、自分が活動すべき場所を自動で判断できるようになるのだ。
後は専用のアプリケーションをスマホにダウンロードし、Tennibotにボールを集めて欲しいコートの場所と時間を設定すれば、自動的にボール拾いに勤しんでくれるという仕組みになっている。
基本的にTennibotは自動でボールを集めてくれるが、人間がプレイするテニスである以上、ボールが予想外の場所へ飛んでいってしまうことも少なくない。そのような場合はマニュアルでの操作に切り替え、Tennibotに拾いにいってもらうこともできるようになるだろう。
たかがボール拾いなのだから自分で拾いに行けば良いと思う人もいるかもしれないが、Tennibotはむしろビジネスにおけるテニスのシチュエーションで大いにその効果を発揮する。
時は金なりというが、テニススクールや個人レッスンを受ける場合、レッスンを受ける時間が直接費用に関わってくるものだ。時間は有限なため、与えられた時間の中であらゆる用事をやりくりしなければならない。ボール拾いもまた重要なタスクであるが、そのおかげでレッスンの時間が減ってしまうとなれば、大きなお金の無駄遣いになってしまうのである。
一時間あたり80ドルのテニスレッスンを週に一度受ける場合、Tennibotの導入により年間で
14,560ドルぶんの節約が可能であるという数値も出ている。小さな手間の積み重ねだが、1年間で見てみるとそれだけのお金に値する時間をボール拾いに費やしてしまっているのである。
Tennibotは一台あたり700ドル程度での販売が予定されている。テニススクールなどの施設に導入するにはうってつけのモデルとなりそうだ。