Sentient Technologiesの自律的AIマーケティングプラットフォームがウェブサイトを最適化する

企業のデジタルマーケティング担当者は、どのような方法であればユーザを惹きつけられるのか日々頭を悩ませているのではないだろうか。企業のウェブサイトでコンバージョンを上げるための施策を数多く実施しているにも関わらず、思ったように効果が実感できないという場合はAIに頼ってみるのもひとつの手かもしれない。

今、AIによる自律的なデジタルマーケティングプラットフォームが次々と登場している。アメリカに本社を構えるAI関連企業のSentient Technologiesが提供しているAIマーケティングプラトフォームの「Sentient AWARE」と「Sentient ASEND」もそのひとつだ。ウェブサイトのコンバージョン率を高めるためのツールである。

以下では、同社の製品であるSentient AWARE(センティエント・アウェア)とSentient ASCEND(センティエント・アセンド)について解説していく。

Sentient Awareの機能

Sentient Awareはウェブサイト上で商品やサービスを販売している企業のデジタルマーケティングを促進するためのツールだ。例えば、アパレルのECサイトでSentient Awareを導入した場合、ユーザがクリックしたものをトリガーに関連商品をリアルタイムで表示することができる。これにはタグや閲覧履歴は必要ない。

こちらの動画はSentient Awareについて解説されたものである。動画の中では洋服の商品ページで色を選択すると、色をトリガーに同様の色で異なるデザインの洋服が表示される。

参考:Youtube

https://www.youtube.com/watch?v=Yu9JgH05qnA

Sentient Awareの特徴はディープラーニングにより商品カタログの画像を関連づけることができる。この機能によって、ウェブサイトを訪問したユーザはより良いレコメンデーションを受けることができ、より良い買い物をすることができる。

●ケーススタディ:Sunglass Hutの場合

Sunglass Hutはファッショナブルなサングラスを多数販売しているアメリカ・マイアミにある企業。同社は実店舗での小売経験や販売における専門知識をオンライン販売サイトで生かすツールとしてSentient AWAREを導入した。

AwareのAIは買い物客と視覚的な会話をして、何百もの異なるベクトルの画像を分析し顧客が最も関心を持っているものを理解し、また買い物客が望むものをAIが正確に理解できるようにした。

Sunglass HutはSentient Awareを同社サイトに「My Frame Finder」として配置した直後、AI搭載の体験に携わった顧客の消費者メトリクスを大幅に改善し始めた。これを使用した買い物客は、従来の検索とフィルタリングの経験を使った買い物客に比べ21%高いコンバージョン率と8%高いAOV(平均注文額)を記録した。

Awareのユニークな点は、訓練を受けた店員のようにカタログ内の製品間の関係をAIが迅速に理解するために、そのイメージのみを使用して小売店のカタログのモデルを構築するディープラーニングを使用することである。

参考:Sentient

https://www.sentient.ai/wp-content/uploads/2018/01/Sentient-Aware-Case-Study-Sunglass-Hut.pdf

Sentient Ascendの機能

2018062607.png 画像出典:Pixabay

Sentientのもう一つの製品であるAscendは、AWAREとは異なる機能を持ったプラットフォームである。

Ascendの特徴はウェブサイトのレイアウトを複数ページにわたり一度にテストすることができる。ユーザがどのレイアウトに対して最も良い反応を示しているかを把握することができ、ウェブサイトの最適化を行うことが可能だ。

時間がかかる上に煩雑なウェブサイトのテストを自動化することで時間を短縮することができるため、企業のマーケティング担当者はより集中するべきことに時間を割くことができる。

●ケーススタディ:Cosabellaの場合

Cosabellaはラグジュアリーなランジェリーブランドで、Neiman MarcusやSelfrigesといった世界中の高級デパートやオンラインショップで商品を見つけることができる。

同社は企業のビジョンと情熱を急速に変化するテクノロジーの状況と調和をとることを課題の1つとしていた。

同社はAscendを早速用いてヘッダー、ボタンの色、画像のサイズ、CTAの配置という4つの異なるサイト要素をテストした。彼らは最初のテストで160に及ぶ可能性のあるデザインの要素を通して広がった15のアイデアを持っていたが、いくつかのAscendのテストを通して同社は重要な結論に達した。

・より大きな画像がコンバージョン率の上昇に役立つことがわかった
・ピンクのボタンは黒のボタンより良い結果を生んだ。高級感を出すためにボタンを黒色にしていたが、顧客はピンクのボタンを押す方を好んだ
・彼らのブランドイメージに関する文章は、価格に関する文章よりも効果的だった

ユーザから良い反応を得たこれらの要素を組み合わせたウェブサイトを構築すると、コンバージョン率が38.4%増加した。

Ascendを用いることによって人間が気づかなかった洞察を得ることができ、それを実際に実行することでコンバージョン率が高くなった良い事例である。

参考:Sentient Technologies

https://www.ascend.ai/resources/cosabella-case-study/

自律的なAIマーケティングプラットフォームをデジタルマーケティングに活用するメリット

自律的なAIマーケティングプラットフォームは製品によってそれぞれ機能は異なるが、おおよそ次のような機能を持っている。

・検索されたキーワード、購買行動、興味、ユーザの属性に基づきコンテンツキャンペーンを実施することが可能

・数千、数万といった膨大な量のキーワードキャンペーンを組み合わせて分析することが可能

・ユーザが入力したキーワードをもとにチャットボットが自動的に対話する

・人が行うより短期間で複数のテストに対するユーザの反応を確認できる

ウェブサイトの最適化を行うためのA/Bテストより短い期間でウェブサイトの最適化を行うことができるため、頭が混乱する膨大なキーワードの組み合わせを延々と考える必要がない。AIマーケティングツールを利用することでマーケティング担当者の業務効率化にもつなげることができるというメリットがある。

まとめ

様々なデジタルマーケティングのアイデアを試してみたり代理店に依頼したにも関わらず、効果がいまいちであることはよくある話である。ウェブサイト改善のための分析や施策を行っているにも関わらず劇的な改善が期待できない場合は、AIによる自律的なマーケティングプラットフォームに頼ってみることで思いがけないヒントを得られるかもしれない。

AIによる自律的なマーケティングプラットフォームは、未来のマーケティングツールとして企業の経営者やマーケティング担当者が知っておくべきである。これからこのツールが企業での活用が増えていくにつれ、利用しているウェブサイトと利用してないウェブサイトでは大きな差が開く可能性も知っておく必要があるだろう。