水中での活動を専門とする新型ドローン「Navatics MITO」
だが、ドローンとは何も飛行していなければ認められないというわけではない。これまで需要があったのが空を飛ぶタイプのロボットや新しいビークルであったというだけで、その他のエリアで活動できるドローンのニーズも決して無視できない。
ドローンの役割にはさまざなアクティビティが求められているが、最も大きい要素として人跡未踏の場所や人間では到達が困難な場所での柔軟な活動が挙げられるだろう。軍事や産業用としてはもちろん、エンターテイメントや一般の娯楽としても、低コストでユーザーの好奇心を満たしてくれる存在として、ドローンは注目されている。
「Navatics MITO」はこれまでポピュラーだった飛行型とは異なり、水中での活動に特化した新型ドローンとなっている。
数少ない水中ドローンであるMITO
空中をホバリングしながら自由に映像を撮影するというのは確かに人間の手では難しい活動の一つであった。ヘリコプターを使えば騒音や風圧で落ち着いた映像など撮れたものではなく、いわゆるジェットパックのような新しいガジェットの開発も実用段階に至っていない。
そこで活躍したのが空中ドローンだったのだが、このような問題は水中においても言えるだろう。
空中以上に難しいとされているのが、人間の水中における活動である。重力に逆らい空の上へ上へと登っていくことが難しいように、水中の下へ下へと潜行していくことも多くのコストを必要とする。
宇宙へと出て行かない限り、空中には空気が存在し、また重力もあるので方向感覚が失われてしまうこともないが、水中は身近にあるにもかかわらずその中へ入った途端無重力となり、空気を吸い込むこともできなくなってしまう。
海底や深海も人類に残された数少ないフロンティアと言われることもあるが、地上で生きる人類にとって、水中で活動することは時として宇宙へ向かう時と同様の準備が求められるほど、過酷で危険の伴う行為であるのだ。
Navatics MITOはそのような背景を考えると、私たちにとって大きな手助けとなる可能性を持ったドローンと言えるだろう。Navatics MITOは民間用のドローンであるが、そのポテンシャルはつい持て余してしまうほどの高さがある。
人間を超えるMITOのポテンシャル
まず、サイズに関しては誰でも持ち運べるようコンパクトに設計されている。一般的なリュックサックにおさまる程度の大きさで、ビート板を持っていくような感覚で取り扱うことができるだろう。本体には4基のスラスターが備わっており、機動力はもちろん、安定性も抜群だ。
Navatics MITOはドローンである以上リモートコントロール精度も高く、最大500メートルの範囲で活動することができる。娯楽用や簡単な調査で扱うのにも十分な活動範囲と言える。
そして普通のラジコンとの大きな違いとして、やはり高精度の撮影機能を備えている点が挙げられる。カメラは1080p4K画質対応の最新水中カメラで、ワイヤレスでの動画・写真撮影はもちろん、ストリーミングによるライブ放送にも対応している。
また、本体の安定性能に加え、カメラ用のスタビライザーも備わっているので、不安定になってしまいやすい水中の中でも確実にターゲットを捉え、画面酔いが起きないような見やすい動画撮影が行えるようになっている。
本体には撮影角度を最大45度まで傾斜させることで確保する機能が付与されており、シャッターチャンスを逃しにくい柔軟な仕様も大きな特徴である。
また、撮影した写真は専用の青瓜ケーションから加工が可能で、カメラでは表現しきれない水中での色鮮やかさをワンタッチで取り戻すことも可能だ。通常のカメラはついつい濁った表現が目立ってしまうが、この加工機能ではその濁りを簡単に解消することができるだろう。
バッテリーももちろん防水機能が備わっており、機体内に水が侵入してしまうことによるトラブルも起こりにくい。活動時間は最大4時間という長時間活動に対応しているのも、人間を凌ぐメリットとなっている。
また、海などの自然環境での活動には周りの環境への影響も懸念されるが、Navatics MITOは限りなく静音に近い駆動音となっているので、周りの動植物など生態系に悪影響をもたらさず、かつ刺激せずに撮影に臨むことができるのも大きい。
Navatics MITOが普及すれば、プロのダイバーカメラマンの座も取って代わられることになるかもしれない。