遠隔地でも患者とつながることができるClinivantageのIoTヘルスケアデバイス

IoTはヘルスケア分野での活用のために活発に研究・開発が行われている。インターネット接続さえあれば、遠隔地であっても医療的な診断を受けることができる時代になった。インド・デリーには2017年に設立されたヘルスケア・スタートアップClinivantageという企業がある。

Clinivantageは医師、セラピスト、専門家がいつでもどこでも患者とつながることができるIoTデバイスを開発している。このデバイスは民間および公衆衛生分野の小・中規模および第3世代の病院で利用することができる。ClinivantageのIoTデバイスはトランザクション、臨床、管理および商業データを統合システムでシームレスに管理し、プロバイダーの管理によって期待される結果を提供することができるプラットフォームである。

Clinivantageの特徴

遠隔地でも患者とつながることができるClinivantageのIoTヘルスケアデバイス
画像出典:Clinivantage

Clinivantageは患者を焦点に置いているサービスを提供している。
同社のサービスは3つに分けることができ、モバイルアプリの「MyLife」とヘルスケアプラットフォームの「ProCare」、またIoTを用いた医療機器「DoT」がある。

MyLifeはエンドユーザ向けのモバイルアプリで、患者がデバイスで自身の健康状態を確認することができる。

ProCareはすべての臨床および非臨床取引を管理するために、2000台の病院、診療所、および医師のための接続されたエコシステム。デバイスと患者をつなげることでビジネスを管理し、より高度なケアを提供する完全に統合されたERPシステムである。

そしてDoTは胎児モニター、ECG、血糖、および高度な医療機器をMyLifeやProCareに接続したものだ。全ケアエコシステムで24時間365日の健康状態を監視することが可能。医師と病院でケアを延長するための接続されたエコシステムである。

Clinivantageのサービスについていくつか紹介すると、次のようなものが挙げられる。

●遠隔治療を可能にする「Telemedicine」

Telemedicineは統合された医療IoTデバイスによって遠隔医療を行うことができる。このソリューションは、ビデオプレゼンス、IoT医療デバイスとデータ管理プラットフォームを統合し、医師の存在が限られている地域でのヘルスケア提供を可能にするものである。

●個人向けアプリケーション「MyLife」

同社はMyLifeという消費者向け接続アプリケーションを構築し、医療記録の検索と保存、プライマリケアプロバイダーへのアクセス、ケアプロバイダーのネットワークTelemedicineとの連携によるあらゆるタイプの接続済みネットワークへのライブアクセスを実現した。

MyLifeアプリケーションは患者の健康に関連する指標を取得するのにも役立つ。これは推奨された治療を開始した後に経過を示すことができる。MyLifeアプリケーションを介して患者に情報を渡した後、結果は特定の価格で提供される。 Clinivantageは、医療提供者が患者と対話し、リアルタイムで状態を評価またアドバイスを提供し、地理的な場所や時間帯に関係なく適切な救済策を提案するのに役立つサービスだ。

●患者管理システム「PMS」

この革新的なテンプレート駆動型ソリューションは、Out Patientドメイン内の作業フロー全体を効率的かつ安全に記録し、企業コンプライアンスに準拠した製品を提供する。PMSが患者アプリとシームレスに統合できるため、患者満足度が大幅に向上し、潜在的な収益が増加する。

●映像アーカイブ通信システム「PACS」

PACSソリューションは、放射線医学の作業プロセスを簡素化し、プロバイダーや患者との画像の簡単な報告と共有を可能にする。 最新の解析技術と機械学習技術を同社のプラットフォームに統合しており、3Dレンダリングにより放射線医学データの価値をさらに高めることができる。

この他にも場所に関係なくデバイス上で利用できる電子カルテのEMR, オペレーションシアター管理システムのOTIMS, 財務と効率性の向上を実現するERPなどがある。

ClinivantageはHealth Huddleプラットフォームを通じて医療提供者にとってより良い収益化の機会を提供し、より安全なClinivantage PaaSのWhat's Appのような遠隔医療やコミュニケーションプラットフォームによる商用化を可能にする。

バーレーンのSAH Globalと業務提携を発表

2018年2月にClinivantageはバーレーンのヘルスケア企業のSAH Globalと業務提携することを発表した。SAH Globalはソフトウェア開発、通信、ヘルスケア、エネルギー、不動産など多角経営を行なっている持株会社であり、Clinivantageとの提携はヘルスケア分野で協力するためである。

SAH Globalはガン治療に用いられる放射線治療のひとつであるプロトン・セラピー(陽子線治療)を提供している。陽子線治療はピンポイントでガン細胞を攻撃することで増殖能力を抑制し、正常な細胞へのダメージと患者への負担が少ないことが特徴として挙げられる。

両社はこの提携を通じて世界各地のガン患者のために接続された医療エコシステムを活用して展開するための共同ソリューションを提供する予定である。

Clinivantageの世界的な拡大

遠隔地でも患者とつながることができるClinivantageのIoTヘルスケアデバイス
画像出典:Clinivantage

医療業界全体の市場規模は2020年には2,800億ドルに達すると予測されている。インドのソフトウェアHCITは2018年に14億5,000万ドルと評価されており、年平均成長率は前年比で30%の伸びを見込んでいる。

Clinivantageは世界中に規模を拡大する目的と製品開発、導入のためのリソースの配備、および管理のために500万ドルの資金調達を目指している。Clinivantageは長期的にIoTによって患者とそれを監視する人との間を24時間接続することを検討している。

現在Clinivantageはイギリス/インド/マレーシア/インドネシア/アラブ首長国連邦/南アフリカ/ケニアの7カ国で運営されている。2019年末までに、カナダ/米国/オーストラリア/ニュージーランド/スリランカ/ノルウェーなど25カ国に進出する計画だ。

インドでは内陸部の田舎で働きたい医師は別として、1700人の市民に対し1人の割合の医師しかいない。農村医療施設はインフラが不十分であり、基本的な要件が不足している。医療機器業界はまだ未だ発達段階にあるが、IoTデバイスの活用によってこれからの伸びが期待できる分野でもある。

同社は35の病院、プライマリケアセンター、105の診療所、20人以上の専門医と500人以上の医師との取引を完了している。2019年までに1億人の患者への利用を拡大することに重点を置いており、現在は3カ月間で1,000万人の記録を達成している。ClinivantageのヘルスケアIoTデバイスとエコシステムは、インドだけではなく医療スタッフが不足している地域において最大限の効果を発揮しそうである。