1億分の1スケールの地球儀でAR・AI体験「EARTH」

カメラなどを通し、現実空間に実際には存在しない物体や生物を投影する拡張現実、通称ARは、スマートフォンの普及により私たちにとって身近な技術となった。少し前までは遠い未来の話だと言われていたテクノロジーも、ほんの数日で大きくその立ち位置を変えてしまうことはもはや珍しくないのである。

VR技術と同様に様々な分野における応用が見られるが、ARは教育においても大きな活躍が見込まれている。実際には存在しないものをカメラ越しに投影することができれば、歴史の授業や理科の実験がこれまでになくエキサイティングになる可能性を秘めているためだ。

今回リリースが予定されている「EARTH」もその一つであると言えるだろう。一見すると小さな地球の模型でしかないのだが、スマートフォンと併用することでEARTHはそのポテンシャルを存分に発揮してくれるようになるのだ。


小さなスケールなのにたくさんの用途

一般的な地球儀とは違い、EARTHは手のひらサイズとして完成されている。そのスケールは本物の地球の約1億分の1以下のサイズとなっており、誰にでも片手で持てるサイズ感が特徴だ。

その表面をじっくりと見てもわかるように、小さいとはいえ非常に精巧に作られているのが写真からも確認することができる。まさにスモールスケールの「地球」そのものと言っても過言ではない。

1億分の1スケールの地球儀でAR・AI体験「EARTH」


そしてこのようなサイズに収まっているのには理由もある。EARTHは専用のスマートフォン用アプリケーション越しにカメラで捉えることにより、地球にまつわる様々な情報をユーザーに提供してくれるAI地球儀となるのである。

例えば地球の大気に含まれる二酸化炭素濃度をサーモグラフィーで写した様子である。教科書や様々なメディアでこの二酸化炭素濃度にまつわる写真や動画を見たことがあるかもしれないが、実際に球体に即した形で投影される二酸化炭素の流れを、タイムラプス的に閲覧できる仕組みに触れたことのある人はそうそういるものではないだろう。

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時間軸に沿って球体には二酸化炭素の流れが表示され、ユーザーはより立体的な理解に近づくことができるのである。

このようにして、EARTHは二酸化炭素以外にも様々なデータにまつわる情報を地球の表面に投影し、タイムラプス形式で現代に至るまでの動向を表示することができる。

教育用にも使いたい次世代のガジェット

例えば特定の動物の過去から現在に至るまでの生息地の変化や生存数、植物や作物の動向、人口増加や減少の流れなど、表示できる情報の幅は広い。地球規模での観察が必要な環境問題に関する調査や、地理や歴史の授業にはうってつけのアイテムとなることは間違いなさそうだ。

遡れる時間も壮大で、1000年以上もの生物や環境の胴体も表示することができる。小さいながらも、膨大なデータに気軽に触れることができるよう設計されているのである。

手軽にデータを閲覧できるもう一つの仕組みとして、ボイスコントロール機能が採用されている点も無視できない。手で知りたいデータを入力して調査するのもなかなか手間のかかるもので、声での操作が可能であれば迅速な検索ができるようになる。

例えば「ニューヨークには何人の人が住んでいるの?」や、「北アメリカで隕石が落ちたところはどこ?」など、声で質問してみることで、様々なデータを検索しては表示してくれるようになる。このボイスコントロール機能の管理者、すなわちAIには名前がつけられており、「Hi, Gaea」と呼びかけることで反応してくれるというものだ。

最近ではスマートスピーカーやスマートフォンに搭載されているSiriなどもポピュラーになっているように、これからの世代の人間にとってボイスコントロールはごく当たり前になるとされている。EARTHはそのような世代に合わせて開発されたプロダクトであると言えるだろう。

1億分の1スケールの地球儀でAR・AI体験「EARTH」


もちろん地球の模型を使わずとも、Gaeaを利用することができる。通常のボイスコントロールAIのようにスマートフォンだけで利用し、様々なテキストや画像、動画などを参照することができるのである。

EARTHは現在Kickstarterで出資者を募集しており、3万ドルを目標金額に設定している。しかしながら情報公開からわずか2時間でこの金額は達成され、現在は8万ドル近い金額を集めるプロジェクトとなっている。

EARTHは教育機関用としての活用も期待されているため、出資プランの中には一度の出資で複数台を購入できるバンドルパックも存在する。200ドル程度で5台のEARTHが購入できるプランはすでに売り切れており、一番安いものであれば一台あたり199ドルで購入できるものが最安値となっている。

注文は世界各国から受け付けており、日本への配送も対応しているため、興味のある方は一台購入して見ても良いかもしれない。