ゼロからのハード・ソフトウェア開発を考えるすべての人へ。「CrowPi」

いわゆるエンジニアと呼ばれる職業の重要性は、日に日にその価値を増大させている。一言でエンジニアといっても自動車から電気技師、インターネット関係などさまざな種類の仕事があるのだが、現在注目が集まっているのはIT系、特にソフトウェアやハードウェアの開発に関わるエンジニアである。

特にスマートフォン向けのアプリケーション開発は近年でも高収入な案件であるとして非常に注目を集めており、大人になってからプログラミングなどを勉強し、アプリ開発で生計を立てているという人は少なくない。今後もその需要は大きくなり、ますますアプリ開発に携わる人は増加して行くことが予想されている。

とはいえ、そのようにニーズが高まっているのには消費者の需要の高まりというものも大きいかもしれないが、大きな理由の一つとして考えられるのが職業の専門性の高さから人手不足が生じているという点である。

どれだけそのニーズが上昇しても、そのニーズを埋めてくれる人材がいなければ社会は立ち行かなくなってしまうのだが、人手不足が証明するように、アプリ開発やハードウェアの開発というものは一朝一夕で習得できるものではなく、多くの人が取り組んでみるものの、途中で挫折してしまう人がほとんどであるというのが現状だ。

CrowPiはそのような人材不足の解消に役立つエンジニアスキル開発ガジェットの一つで、誰でも気軽にハードとソフトの両方の開発に取り組めるプロダクトとして注目を集めている。


全ての学習者に向けた開発ボード

CrowPiは開発ボードの一種であるが、大きな特徴の一つとして7インチのディスプレイがデフォルトで備え付けられている点である。ディスプレイはソフトウェア開発の際にはもちろん、ハードウェアの開発にも大きく役立つことになるであろうパーツの一つでもあるため、あらかじめ備え付けられているのは継続的に作業へ取り組むモチベーションを維持してくれる機能も果たしてくれる。

また、開発ボードの一つとしてポピュラーなRaspberry Piとも互換性を持っている。CrowPiと合わせて用いることにより、ユーザーは基本的なコンピューターサイエンスに関わる知識を得ることができるだけでなく、プログラミング学習や無数のプロジェクトの進行も行うことができるようになるだろう。その可能性はユーザー次第ともいえ、CrowPiは開発者のポテンシャルを最大限に引き出す役割を果たしてくれるはずだ。

そしてCrowPiはそのような機能性を備えていながら、初学者の使用を想定して制作されている点も魅力的である。

例えば電子工作やプログラミング、Raspberry Piに興味を持っていても、どのように初めていいのかわからない人や、エンジニアスキルの早期習得をカリキュラムの一環として考えるSTEM教育を実施したくとも、どのように進めていいのかわからない教育関係者、あるいはこの手のエンジニアリングについて多少のスキルはあるが、なかなか中級者以上のスキルを習得できず、試行錯誤を繰り返している学習者までの層をターゲットに考えられている。

ゼロからのハード・ソフトウェア開発を考えるすべての人へ。「CrowPi」


つまり、大人子供も関係なく、プロアマチュアも考慮されない万人に向けたターゲッティングもCrowPiの魅力の一つである。誰でも分け隔てなくスキル習得に取り組める環境を提供してくれるガジェットはそうそうあるものではないだろう。

持ち運びにも便利

また、CrowPiはケースにひとまとめになって全てのパーツが完結しているので、パーツがなくなってしまったり、使用の度にセットアップする手間は大きく解消されている。ハードウェア・ソフトウェアスキルの習得が世間に浸透しない理由として大きいのが、スキルを学ぶための苦労よりも環境設定に大きな時間がかかる点にあるとも言われている。多くの人はここでつまづいてしまい、肝心のエンジニアリングの前に労力を使ってしまうのは貴重な時間と体力の無駄であるとも言える。

ゼロからのハード・ソフトウェア開発を考えるすべての人へ。「CrowPi」
ゼロからのハード・ソフトウェア開発を考えるすべての人へ。「CrowPi」


もちろんディスプレイと開発ボードが備わっていることもあり、普通にパソコンとしても活用することができる。キーボードとマウスを用意すれば、立派な7インチのパソコンとして使用し、快適なコーディング環境を整えることができるだろう。

CrowPiは現在Kickstarterで出資者を募っており、23万5千香港ドルを目標金額に設定している。1169ドル以上の出資でCrowPiを一台リワードとして入手することができ、すでに30万ドル近い資金を集めることに成功している。

個人での使用はもちろん、モビリティの高さから教育機関での活躍も期待できる製品と言えそうだ。