スマートフォンを用いて気軽に測定ができるマルチメーター「Vion」

DIYという言葉が流行してしばらくがたったが、自力で何かを組み立てたり、工作することに取り組む人は以前よりも増えてきていると言えるだろう。

自力で工作をするとなると、必要になるのが作業効率を向上させてくれる優れた器具の存在だ。手始めは周りにある安い工具を使えば良いのかもしれないが、DIYに慣れ親しんでいくうちに質の高い工具が欲しくなってくるということもあるだろう。

その中でも特にお金をかけておきたいのが電子工作用の器具である。電気というエネルギーを使用して動作するものを作ったり手を加える場合、取り扱いの方法によっては回線がショートを起こしてしまったり、自身がやけどや感電といった怪我を負うリスクも大きくなってしまう。

この度リリースされる「Vion」は新型のマルチメーターで、スマートフォンと連動させて使用することによりこれまでにないスマートさを兼ね備えて作業効率を向上させてくれるガジェットとなっている。


電子工作に欠かせないマルチメーター

マルチメーターは回路計・回路試験器とも呼ばれる計測機器の一種だ。使用用途としては乾電池などの電圧・電流の測定やドローンなどのバッテリーの測定、電球のコネクタ部分の抵抗測定など、電気を使用する様々なケースにおいて用いられる。

電流や電圧が正常な範囲で計測されているかどうかを調べるのは重要で、正しい数値が測定されていなければ何らかのパーツに支障をきたしており、著しい劣化の進行や、最悪の場合発火や漏電などの危険なアクシデントにつながりかねない。正しくパーツを取り扱い、それぞれに問題を抱えていないことを確認することは非常に重要な作業なのである。

しかしながらこれまでのマルチメーターは、その作業の重要性とは裏腹に使いにくいものが多かった。マルチメーターは主に接触用の金属棒とリード線、そして測定結果を表示する本体で構成されていたのだが、小回りが要求される仕様場面の多さに反して扱いづらい側面を持っているのである。

マルチメーターを取り出すたびにリード線が絡まってしまったり、天井に設置されている部分の測定を行いたいのにリード線の長さが足りずに計測機器が引っ張られて接続が切れてしまったり、そもそも使い方が難しいなどの理由から、マルチメーターを用いた作業は敬遠されることもあった。

Vionはそういった問題点に注目し、大幅な改善を加えて新たに誕生したマルチメーターとなっている。まずVIonの場合、接触用の金属棒とリード線のみで完結しており、計測結果や詳細設定を行うための本体は付属しない。その代わりにVionにはBluetooth機能が備わっており、手持ちのスマートフォンに接続することでスマホを本体として用いながら使用するという仕組みだ。

スマートフォンを用いて気軽に測定ができるマルチメーター「Vion」


この方式を採用した結果、Vionはマルチメーターとして驚きの取り回しの良さを獲得することになった。測定の際に本体がぶら下がってしまうことがなくなり、片手でも測定を行えるほどモボリティは改善されるようになった。

さらにLEDライトが接触棒の根元に取り付けられたことで、現在接触している部分が直流なのか交流か、入力なのか出力かなどの情報も読み取ることができるようになった。時として接触部分の向きを間違えてしまうことで、計測器や計測したい機器をだめにしてしまうこともあるものだが、LEDライトの点灯する色を見ながら判別することで、あらかじめそういったアクシデントを予防することにもつなげることができる。

本体部分をスマートフォンのアプリケーションに落とし込んでしまうことで、その使いやすさも格段に向上した。各操作に関するインジケーターはわかりやすく表示され、さらには音声ガイダンス機能を搭載しているため、たとえ電子工作や測定が初めてであったとしても簡単に取り扱うことができることだろう。音声も多言語に対応しており、英語はもちろんのこと日本語にも対応していることから、日本人でも問題なくガイダンスに従っての利用ができることだろう。

スマートフォンに接続して利用することを活用して、オンラインショッピング機能も搭載されている。例えば電池の残量を調べた際にその電池がからであることがわかった場合、自動的に電池を販売するオンラインストアに接続し、すぐに購入することができてしまうといった具合だ。Vionはあらゆる側面でユーザビリティの高さを発揮するデバイスとなりそうだ。

スマートフォンを用いて気軽に測定ができるマルチメーター「Vion」


Vionは現在Kickstarterで出資者を募っており、1万ドルを目標金額に設定している。1台50ドルで世界各国への発送も対応しているため、日本からでも気軽に出資して購入することが可能だ。