アウトドアにも旅行にも使える個人用衛星端末「Somewear」
そして10年ほど前であれば電話回線が重視されていたのが、今ではインターネット回線が常に接続されていることがもはや不可欠となっている。
そしてネットワーク回線はただ接続されているだけでなく、常に安定したパフォーマンスを維持し続けることが求められている。今日では都市圏であれば接続状態が良好な無線通信を楽しむことができるのだが、インフラ設備の整っていない田舎や地域、大自然の中では未だに快適なネットワークが用意されていないということも珍しくない。
Somewearはそんな極端な環境でもインターネット回線を確保することを念頭に置いた個人向け衛星端末の一種で、たとえ自分がどのような環境に身を置こうともSomewear一台で快適にインターネットを利用することができる。
衛星通信を活用したホットスポット
Somewearの役割は旅行などの際に活用する事の多いポケットWi-Fiをイメージするとわかりやすい。ポケットワイファイはスマートフォンが通信会社より提供されている回線を捕まえることができない場所、例えば海外などで、現地の回線を引っ張って無線LAN環境を実現してくれる便利なデバイスである。
もちろん提供するのはWi-Fi環境であるため、PC利用者にとってもポケットWi-Fiはなれないあ署に置いて心強い味方となるのだが、Somewearは衛星から直接電波を受信し、無線LAN環境を提供してくれるというものだ。
衛星から直接電波を受信できるということは、インフラが行き届いている都市でなくともある程度自由にネットワークへアクセスできるということだ。ポケットWi-Fiはあくまでも現地の電波を受信して利用するため、田舎などの電波が発信されていないエリアでは利用することができないというのが当たり前であった。無論キャンプや山登りのような極端な環境に身を置く際にはスマートフォンはおろか、ポケットWi-Fiも使い物にならないというのが当たり前だったのである。
しかしながらSomewearは世界中のどこにいても衛星から電波を受信するため、これまでになく自由なインターネット環境を自在に構築することができるようになった。電話回線が主流であった際には衛星電話なども開発されていたが、Somewearはインターネット通信も可能にしたと言えるだろう。
Somewearを持ち歩き、あらかじめ手持ちのスマートフォンにアプリケーションをダウンロードすることで、様々な機能をアプリから利用することができる。電話やメール、チャットなどのコミュニケーションはもちろんのこと、GPS機能による位置情報のリアルタイム確認、さらには天気情報など、極端な環境で活動する際にはライフラインともなりうる情報を常にリアルタイムでキャッチすることができるのである。
こういった情報は周りに人がいない状況であればより重要性の高いものとなるだろう。例えばキャンプに出発する前は晴れの予報であると聞いていたのにもかかわらず、キャンプ中に様子が変わり、大洪水になってしまったなどのアクシデントを事前に回避することにもつながる。
キャンプなどのカジュアルなアクティビティであればまだいいが、登山や航海などに出かけている場合には、天気の情報が文字通り命に関わるインフォメーションにもなりうるものだ。広大な自然環境で生活する以上は常に最新の天気予報に耳を傾けておきたいところだが、Somewearが一台あれば天候を必要以上に心配する必要もなくなり、万全の備えを持って接することができる。
もしもの時に役立つアウトドア用デバイス
また、Somewearは万が一遭難してしまった場合にも大きな役割を果たしてくれる。スマートフォンや他の電子機器バッテリーがなくなってしまったり、紛失してしまった場合にはSomewearから直接SOS信号を各地域向けに発信することができる上、スマホなどがまだ使用できるのであれば、自分の状況についてレスキュー隊などへ向けて逐一の詳細な報告を行うことも可能だ。
Somewearの利用で心配なのはSomewear本体を紛失してしまう事であるが、本体重量はわずか100グラムにも満たず、どこに持っていくのにも困らないサイズであるため、常に腰に装着して置けばその心配もない。
常にSomewearを身につけて置くことが、もしもの時に備えた防災として大きな意味を持つことになるだろう。
Somewearは現在Kickstarterで出資者を募っており、299ドル以上の出資でSomewear本体を一台リワードとして入手することができる。
アウトドア趣味を持っている人や仕事で極端な環境が身の回りにある人にとっては頼もしいデバイスとなることだろう。