快適なコンピューティングを実現したい人に向けて開発された水冷PCパーツ「Ncore」

自作PCの世界は趣味の中でもお金がかかりやすいものの、その奥深さやカスタマイズ性、そして何より性能の高さから夢中になる人は多い。

自作PCは最初こそ慣れないこともあって組み立てに手間取ってしまったり、誤った取り扱いでパーツを破損させてしまうことも決して少なくはないものの、何度か組み立てていくうちに手順は体に染み付いてくるようになる。

そして一般的な空冷式PCの作成に飽きた時に手を出してしまうのが、水冷式の自作PCである。水冷式PCとは文字どおり水の冷却効果を利用しながらCPUへの負荷を抑えるという仕組みを導入したPCなのだが、「Ncore」はそんな水冷PCの安定性とパフォーマンスを向上させてくれる高性能PCパーツである。


水冷PCへのマニアックなニーズ

水冷PCの最大の特徴は、何と言っても精密機械の合間を縫って冷却水を通過させ、CPUの温度が上がらないようなシステムが整っている点である。一般的なPCであればファンを外側に組み込み、換気効率を向上させることでCPUの温度上昇を抑えるのだが、水冷はファンを使用せずにオーバーヒートを抑制できるユニークな方式である。

冷却効率の高さや騒音防止、ファンのように場所取りに気を使わなくても良いといった技術面や、その特徴的なビジュアルから、自作PC中級者の中には水冷式PCに手を出す人も多いのだが、デメリットとしてはやはりファンを取り付けるポピュラーなタイプに比べて初期費用がかかることや、組み込みの難易度が高いことからあまり人には勧められない方式であることも事実である。

水冷PCは精密機械にはらしくもない水を使う点が大きなポイントとなっている。水を使う以上は高い冷却効果が得られる反面、水漏れなどがおきてしまえば内部の危機は全滅してしまう恐れもある他、常に冷却水を循環させておくためのコストパフォーマンスの悪さなど、必ずしも良いところばかりではないこともある。

しかしそれでも水冷PCを自作してみたいと願う人は依然として多く、少しでもデメリットを小さくできるような設備がユーザーには求められていると言えるだろう。

水冷PC初心者にも勧められるNcore

Ncoreはそんなマニアックな水冷PC製作者のニーズに答えられるパーツとなっている。水冷PC用ソケットには二種類用意されており、Ncore V1とV1-Dで役割が微妙に異なってくる。Ncore V1はいわゆる「殻割り」されたCPU向けのソケットで、極限まで高性能を突き詰める人向けに開発されている。殻割りはやや特殊な加工が必要となり、Ncoreからも殻割り用のツールがセットになってついてくるが、やはりリスクのある工程であることは否めない。

一方のV1-Dは殻割りを行なっていないCPUに使うことのできるソケットで、こちらであれば複雑な加工を必要とせずに水冷システムの構築を行うことができる。

快適なコンピューティングを実現したい人に向けて開発された水冷PCパーツ「Ncore」


とはいえ殻割りを行なった際のCPUのパフォーマンスはやはり著しく、可能であれば殻を割った状態でCPUとNcoreを用いることが推奨されている。あらかじめ用意されているツールは初心者でも使いやすく設計されており、これまでは敷居の高い工程であった殻割りも、これらのツールを使用することで手軽に行えるようになっている。

そしてNcore最大の特徴は新しい循環システムを導入することで、ハイパフォーマンスな水冷環境を確保することができた点である。数値流体力学(CFD)の応用により、水流の抵抗を極限まで抑えることが可能となっている。

また、水冷システムを組む上での懸念事項として、水漏れ事故が考えられる。たとえセットアップはうまくいったとしても、しばらくしようし続けることでパーツが痛み、そこから水漏れが発生してしまうこともケースとして考えられる。

そのような理由から、パーツには堅牢さや構造的な不安を一切取り払った信頼性の高さが求められるのだが、Ncoreのパーツは真鍮性で、1/4インチ入出力コネクター対応となっているため、安定性も非常に高い。

快適なコンピューティングを実現したい人に向けて開発された水冷PCパーツ「Ncore」


また、O-リングには軍規格でも利用されることもあるデュポン社のラバーバンドを採用することで、水漏れなどの事故を防ぐための最大限の工夫をあらかじめ凝らされているのは特徴である。

Ncoreは現在Kickstarterで出資者を募っており、89ポンド以上の出資で殻割り用ツールを含めたNcoreのパーツセットを入手することができる。

パーツセットは殻割りツールが付属していないものなど、ニーズに合わせた展開となっており、発送は世界各国にも対応しているため、日本からでも必要を感じたパーツを気軽に購入することができるだろう。

Ncoreは2018年の8月より随時発送が開始される予定だ。