超低周波音と大気の変化を検知できる基盤「Raspberry Boom」
優れたセンサーがなければスマートフォンでプロフェッショナルカメラに勝るとも劣らない画質を実現することは不可能であったし、そもそもパーソナルコンピュータをスマホやタブレットほどのサイズに落とし込むことも20年前ではあり得なかった技術である。
ハードのハイテク化は日進月歩で進められていくが、「Raspberry Boom」は企業だけでなく、個人の開発者の研究開発すらも劇的に勧めてくれるかもしれない可能性を持った最新鋭の電子基盤だ。
民間用としては超高性能を誇るRaspberry Boom
Raspberry Boomの役割は、人間の耳には聞こえない超低周波の音や大気圧の変化を読み取るセンサーとしての役割である。
あまり普段は意識することのない分野ではあるが、気圧の変化や音を集積し、人間の目にも見えるよう視覚化してくれる技術は様々なシチュエーションで多くの可能性を私たちに与えてくれる。
いわゆる20Hz以下の低周波の音は一般人の耳には聞こえないと言われているが、必ずしも人間の耳に聞こえないからといって不要な情報であるということはない。むしろ、人間の体では感知できない情報こそ、テクノロジーの力で感知し、現在起こっている、あるいはこれから起こるかもしれない出来事に対応したり、精度の高い予測を行うことができると言えるだろう。
そしてこういった低周波音は地球上の気圧の変化によって生じる音の一つであるが、これらが自然現象として発生する理由には色々なケースが考えられる。
一つは地殻変動や地震、火山の噴火といった大地の変化である。土地が変形して何らかの現象を発生させるものは、Raspberry Boomを活用することで現地以外の遠く離れた地域においても観測することができるだろう。
あるいは雪崩や氷山の融解、移動などもこのジャンルに含めることができる。低周波音を検知できるようになることで、これらの現象を事前に察知し、素早い対応にうつることも可能となるだろう。
あるいは大地とは関係のない自然現象からも低周波音を検出することができる。滝やオーロラの発生、象の接近や風の音など、時として視覚に頼るしかないと思われていた現象や人の耳では検知しきれない音まで拾えるようになることで、汎用性の高い基盤として価値ある一台となっている。
人間の生活の場でも効果を発揮する。例えばドアの開け閉めによる気圧の変化や風力発電所、エアコンの作動音やソニックブームなど、Raspberry Boomはありとあらゆる情報をそこかしこから検知してくれる頼れる存在となっている。
隕石の落下や未確認飛行物体の接近など、これまでは民間では難しいとされていた宇宙開発の現場においても大いに活用することができるようになるはずだ。
インターネット時代だからこそ可能なもう一つの特徴
Raspberry Boomの特徴としてもう一つ上げておきたいのが、これらの検知されたデータは個人だけでなく、あらゆるRaspberry Boomユーザー同士で交換・共有することができてしまう点である。
データというものは常に多いに越したことはなく、大規模な自然災害などのデータ収集となれば世界各国の観測地からのデータが重要になってくるものである。
Raspberry Boomは大規模なデータ計測センターを設置せずとも、あらかじめ共有機能が備わっているために特定の情報は動作させている限りお互いに確認し合うことができるのである。いわば、Raspberry Boomユーザー同士は知らず知らずのうちに共同研究者としてともにデータ収集や開発に取り組むことができるようなコミュニティの機能を備えていると言えるだろう。
そのためRaspberry Boomのようなガジェットはできるだけ多くのユーザーを獲得し、様々な地域で利用されることが推奨される、グローバル時代を端的に表したような仕様で設計されているのだ。今回導入しているクラウドファンディングという形式も、Raspberry Boomの使用にとても適合した販売方法であると言えるだろう。
Raspberry Boomは現在Kickstarterで出資者を募集しており、7千ドルを目標金額に設定している。スターターセットは179ドル以上の出資で入手することができ、ハイテクセンサーでありながらリーズナブルな価格で手に入れられるのは大きい。
もちろん発送は世界各国に対応しているため、日本からの注文も受け付けている。