これからは紫外線もスマートデバイスで対策する時代に「QSun」
長く続く日照りは植物を枯らし、大地を干ばつに追い込んでしまうこともあるし、人間もまた例外ではない。強烈な紫外線は人間の皮膚へ届いてしまうことで、日焼けを始めとする健康被害を生み出すことはよく知られているのだが、即効性のある健康被害ではないため、多くの場合は軽視されてしまいがちだ。
加えて紫外線は目に見えるものではないため、ついついその対策を怠ってしまうこともあるものだが、ウェアラブルデバイスである「QSun」はそんな太陽光に関する健康被害や健康への意識を大きく向上させてくれるヘルスケアデバイスとなっている。
紫外線の脅威
肌を強烈な紫外線から守ることは非常に重要である。肌が弱くて強烈な日光で痛みを感じたり、日焼け体質で海水浴に行った後の日焼けが肌にしみたりする人にとってはその重要性を良く理解しているかもしれないが、紫外線から身を守るべき理由として最も大きいのはやはり皮膚ガンの存在だ。
カナダ人の7人に一人、アメリカ人の5人に一人、そしてオーストラリア人の3人に一人は皮膚ガンを患った経験があるというデータが示す通り、皮膚ガンは先進国において身近な病気であることは間違いない。もちろん国や地域によって気候は異なるため、一概にそのリスクが同様であると言い切ることはできないものの、それでも比較的強い日光の下で活動する時間が長い人にとっては懸念すべきデータであることは間違いない。
紫外線の健康被害を考慮すべきなのはまず夏の季節だ。夏はその気温から必然的に肌の露出が多い服装で外出する機会が増え、かつ日差しもきつい季節になってくるため、紫外線対策への意識も比較的高まることは当たり前のこととも言えるだろう。
もう一つ忘れてはならないのは、冬などの寒い季節における紫外線対策である。たとえ太陽が遠ざかり、気温が低い季節になったとしても、天気が良い日は日光が夏のように地上まで届き、肌へ影響を及ぼすことは決して少なくない。加えて夏はきちんと紫外線対策をしている人であっても、気温が低いために冬の対策を怠ったばかりに日焼けや肌荒れに悩むケースもありうるので、油断しやすい冬こそ確実な紫外線対策が求められるとも言えるだろう。
アプリケーションとの連携で効果的な紫外線対策を
QSunはそんな目視では確認できない紫外線情報を個人に合わせて的確にユーザーへ通知してくれるスマートデバイスである。QSunそのものは手のひらに収まる程度の小さなデバイスであるのだが、手持ちのスマートフォンに専用のアプリケーションをダウンロードし、QSun本体と連携させることで効果を発揮してくれる。
まずアプリケーションから事前に自身の肌に関する簡単な情報を入力し、QSunをユーザーにとって最適なデバイスとしてカスタマイズするところから始まる。肌の健康は人によって千差万別であるため、注意すべき紫外線量や紫外線から身をも守るために必要なビタミンDの摂取量というものは微妙に違ってくる。QSunは入力されたデータから独自に通知すべきデータを算出し、ユーザーへ最適化されることが大きな特徴の一つだろう。
QSun本体の役割は、入力されたデータに合わせて警告すべき紫外線量を計測した際、ユーザーにそのことを通知することである。QSunはクリップで衣服に取り付けられるウェアラブルデバイスであるため、胸元などの日光の当たりやすい場所に装着しておけば、それだけで機能を発揮できる。本体を二振りすれば自動的にセンシングモードが起動し、適切なタイミングでアラートを鳴らしてくれる。そしてアラートに応じて日焼け止めを塗った後は、それからさらにふた振りすることで日焼け止めを塗った前提でセンシング機能を果たしてくれるということで、合理的な設計となっている。
日焼け止めのバーコードを読み取ることでなんの商品を使っているのかを測定し、ユーザーにとって最適な成分を通知することもできる。日焼け止め選びの際もQSunを利用することで、自分に最も適した日焼け止めを選ぶことができるようにもなるだろう。
QSunは前身モデルとしてQTempというものも存在していた。この製品の2万5千人にも昇るユーザーのフィードバックを参考に改良を施されて誕生したのがQSunであり、その性能はユーザーの声によって生み出された確かなユーザビリティを備えていることは間違い無いだろう。
QSunはKickstarterで出資者を募っていたが、現在はすでにプロジェクトが終了している。3万カナダドルの目標金額に対して5万ドル近い出資金を調達することに成功しており、近日中に出資者の元へ発送される見込みだ。
QSunは一般販売が決まれば100米ドル程度の価格で販売されることが予定されており、購入希望者はオフィシャルリリースのアナウンスを待っておきたいところだ。