エコで便利で使いやすい電動自転車を目指して。「KVAERN」
もちろんテクノロジーの革新により、少しづつではあるがエネルギー効率を向上させることで一度に消費されるエネルギー量は減少してはいる。しかしながら完全に資源を使わずにエネルギーを生み出すことに成功しているわけではないため、根本的な解決が行われているわけではない。
このような問題を取り払うため、地球の限りある資源を有効に活用するために考えられる施策はいくつかあるが、一つは人間の持つエネルギーを活用していくという方法である。そしてもう一つが地球外からやってくるエネルギーの有効利用、つまり太陽光エネルギーを活用する方法なのだが、これら二つを有効利用した次世代の乗り物が、「KVAREN」と呼ばれるスマート電動自転車の存在だ。
なぜ電動自転車に注目が集まるのか
自動車や電車とは違い、自転車の最大のメリットは人力でありながら、歩行よりもはるかに速いスピードで移動ができるという点だ。電気やガソリンなどのエネルギーを使わず、運転手本人のエネルギーを消費するだけで移動することができるため、環境への負担は限りなく小さくなることは間違いない。
しかしながらその反面、デメリットとしてはやはり人力であるがゆえに体力を消耗し、必要以上に疲労として体に帰ってきてしまう点である。人間の体は機械ではないため、機械以上にエネルギーの回復や機能の維持には繊細に取り扱わなければならず、年を経れば機械よりも速いスピードで効率が悪くなっていってしまう。
そこで考案されたのが電動自転車の存在である。電動自転車は一般的な自転車よりも重量は増えるものの、モーター駆動により操縦者の踏み込みをアシストし、走行をはるかに快適にしてくれる機能を持っている。
多少の電気は必要ではあるが、少しの電力で運転の負担が大きく解消されるのであれば、そのコストパフォーマンスははるかに高いものであるというのは間違いない。電動自転車は一般的な自転車よりも値段は高くなるが、通常の自転車と比べた高いパフォーマンスや、自動車や電車を利用するコストに比べると、その価格はむしろお手軽であるとも言えるだろう。
強いてデメリットを挙げるとするなら、先述のように多少の電力を電動自転車は必要とする点である。一般的な自転車は完全に人力に依存するぶん環境への負担は実質無いに等しいのだが、電動自転車では依然として電気エネルギーに依存した発明であることは確かである。
KVARENの特徴について
KVARENはその点に注目し、独立した太陽光発電システムによりバッテリーをチャージすることに成功した電動自転車だ。太陽光パネルに接続した充電システムを屋外に設置すれば、あとは自動でバッテリーにエネルギーをチャージし、いつでも使える状態で待機していてくれる。
従来の電動自転車であればバッテリーを毎回家の中に持ち帰り、充電器に接続しておく必要があったのだが、KVAERNはその手間を解消すると同時に、電源への依存を解消することにも成功したプロダクトであると言えるだろう。
これは事実上一般的な人力の自転車と等しい存在であると言える。化石資源などから生成される電力に依存せず、人力と太陽光という地球に負担のかからないエネルギーのみを消費して電動自転車を成立させているためである。
太陽光発電のデメリットは天候によってエネルギーチャージ率が安定せず、どれくらいバッテリーにチャージされているのかが時間によって判別しづらいという欠点もあるが、KVAERNはスマートフォン専用アプリケーションをダウンロードしておくことで、どこからでもバテリーがどれくらいチャージされているのかを確認することができる。
外に充電器があるとはいえ、わざわざ自転車のそばまで行って確認せずとも手元からさっとバッテリーの具合を確認し、外出のタイミングを考えることができるのだ。
また、KVAERNは電動自転車としても優れた性能を発揮する。内蔵されたセンサーとコンピューター制御によって、ペダルアシストは最大まで効率化され、シチュエーションごとの踏み込み具合によって自動的にアシスト量を増減してくれるためだ。
これによって効率の良いバッテリー仕様が実現され、必要以上にエネルギーを消耗してしまう心配もない。
KVAERNは現在Indiegogoで出資者を募っており、1万ユーロを目標金額に設定している。太陽光発電システムがセットになったバンドルパックは1448ユーロ以上の出資で入手することができ、配送も世界各国に対応しているので、自転車の使用頻度も高い日本からでも購入する価値はあるといえそうだ。